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魔導兵物語(仮)  作者: zero
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魔獣たちと決着

「ゴメン!もう限界」

ファイアーボールを放つリィズだが、その火球はかなり小さくなっていた。

上位冒険者チームとは言え、魔獣数百匹を相手に戦い、倒し続けるのは難しい。

それでも大型魔獣数匹を焼き尽くしたファイアーボールだが、同時に息が荒いリィズが両膝を付く。

防護柵外ではアレン、カイラス、ライン、矢が尽きたロンドが陣形を組み魔獣と戦い続けるが、やはり、勢いが落ちてきている。

トルネオは回復と支援のみを行い、魔力を温存しパーティーの生存に全力を注いでいる。

タモンも魔力が尽き、長槍を持ち後方から援護している。

ニールは補助魔法を使い続けているが、やはり魔力は残り少なく手には長槍を持っている。

回復魔法は、傷の治療等は出来るが、体力の回復等しないし、病気を癒やす事も出来ない。

その為、前衛4人は体力の限界を迎えつつあった。

「参ったね、これは」

アレンが丸っきり困った感じのしない顔でぼやく。

「あちらは、流石剣聖、悪魔5人相手にして、残り1人みたいだぞ?」

ロンドが双剣を構えて言う。

「まぁ、2度と見られないでしょうね」

ラインがクスリと笑みを浮かべる。

「なぁに、こっちもまだまだ、これからこれから!」

カイラスが前に出て、近づく魔獣を槍で弾き飛ばし、叩きつけるも大型魔獣の突進を受けて柵まで飛ばされる。

そのまま突っ込んで来た魔獣に対し、タモンが槍を突き出して魔獣に刺し、追撃を防ぐ。

カイラスが起ち上がり、魔獣に追撃を行い倒す。

そのまま、更に戦い続ける。


僕から見て、魔獣たちの戦意が目に見えて下がってきた感じがする。

護られてばかりの僕は、悪魔から恐怖を感じていただけで、真面に戦っていないから疲れてもいない。

後ろに師匠の力を感じ、勝手に勇気を与えられた感じになって、周囲の近づく魔獣相手に魔法を使い、倒しながら考える。

迂回して挟み撃ちにする事にした。

走り出し、魔力を集め練り両手からファイアーボールを作り、魔獣の群れに放つ。

リィズさんと違い破壊と攻撃の使い分けが出来ないので着弾と共に爆発し雪を融かし地面を焼き炎上する。

更に魔力を集め練り、力ある言葉と共に雷の槍を放ち続けて火炎の矢を放つと魔獣たちの動きが変わる。

周囲を魔獣たちが囲んでくる。

瞬発力の高い魔獣が距離を一気に詰めて襲い掛かってくる。

魔力を練り、力ある言葉を放ち眼前に土の壁を造り魔獣たちを防ぐが、何匹かは土の壁に押し上げられ吹き飛ぶ。

神の目が教えてくれる。

土の壁を跳び越え、魔獣が襲って来る姿を視て、魔力を練り力ある言葉を放ち、後ろに跳ぶ。

魔獣たちが壁を越えて襲ってくるも既に僕は魔獣たちの前に居る。

魔力を集め練り、力ある言葉と共に放つ。

「爆炎弾!」

リィズさんの火炎球程度の大きさの火球だが、着弾と共に大爆発を起こし、自分も吹き飛ぶ。

土の壁でアレンさん達を巻き込むことはないが、自分を巻き込むことは考えてなかった。

『汝はその、アホなのか?』

神の目がかなり呆れた感じで言ってくるが、言い返せるわけが無い。

イメージを絞ったから、火傷等は無いが、爆風だけはどうしようも無い、真面に魔獣の群れに突っ込んだ。

魔獣たちも驚くのかと感心しながら、魔力を練り、力ある言葉放ち跳び、更に魔力を集め練り、両手を真下に突き出して力ある言葉を放つ!

「雷神の槍!」

無数の雷の槍が魔獣たちに降りそそぎ貫き電撃を流し、燃やす。

落下しながら、魔力を集め練ろうとする瞬間、空を飛ぶ魔獣に襲われ吹っ飛ばされ地面に叩きつけられる。

叩きつけられ、動けなくなったところに魔獣たちが、襲って来た。

調子に乗りすぎた結果、やられるのかな?等とボンヤリと考える。

『自分自身の魔力を使わんかい!』

神の目がツッコミをいれてきた。

自分の魔力を使うと言う、魔法使いなら当たり前の事を、僕はやったことがない。しかし、やるしかないと思い、集中し自分の中の魔力を練りイメージを作り上げ、言葉と共に魔力を放つ。

「風神の壁!」

暴風が巻き起こり、魔獣たちを吹き飛ばす。

身体の痛みに何とか耐えてヨロヨロ起ち上がり、呼吸を整え状況を確認する。

魔獣たちが唸り、身構えるが動こうとしない。

膠着状態は、身体の痛みで魔法に集中出来ない今はありがたいのだが、魔獣たちが動揺している。

『汝、悪魔は倒された。魔獣たちは戦意を失っているぞ。』

師匠が悪魔を倒したって事か。

魔獣たちを使役していた悪魔が居なくなり、魔獣たちが支配下から解放されて動揺し、浮き足だったのか。

それならばと、体の痛みを堪えて魔法を幾つも放ち、魔獣たちを倒しながらなんとか進み、アレンさんたちに合流した。

「よう!まさか、ボウズが来るとはな」

アレンさんが笑顔で話しかけてくる。

一応、全員無事な様で安心した。

お互いに無事合流し、更に魔獣たち相手に戦い続ける。

しばらく経ち、魔獣たちが逃げ始めた。

「やれやれ、やっと終わりですかね」

カイラスさんが逃げ遅れた魔獣を倒しながら言う。

「よくも生き残れたものね」

ショートソードを地面に刺し、全身で息をしているようなリィズさんは、完全に座り込んでいた。

「伊達に上位冒険者チームを名乗っていないってことさ」

ロンドさんも座り込む様で、周りを見ると全員が座り込んでいた。

神の目を使い、魔獣たちが潜んでいないか確認し、安全だと分かった瞬間、僕も膝から崩れて座り込んだ。

しばらく誰も話せず、荒い呼吸ばかりであったが、徐々に呼吸を整えたのか、静まりかえってきた。

僕は仰向けになっていて、空を見るとまだ夜明け前であった。

少し回復したようだが、皆座り込んだままか、寝転がったまま考えていたが、多分、1番元気な僕が皆を小屋まで連れて行くべきだなとあたふたしている間に、師匠が近づいていた。

「お疲れさんだな。アレン」

師匠にしては軽い挨拶だな、一仕事終えたからかな。

「シファさん、悪魔5人相手に勝つとは流石ですね」

「いや、悪魔そのものには逃げられたよ。下位の悪魔だけさ。そんな事よりも、とりあえずは小屋に戻って休もう、折角勝ったのに風邪を引きたくもないだろう?さぁ」

師匠がアレンさんに手を差し伸べる。

アレンさんが手を取り、起ち上がる。

皆、ヨロヨロと起ち上がると、誰ともなく勝ち鬨を発した。

何となく皆を見回すと、お互い見ているようで、ひとしきり笑いあい、そうして、フラつきながらも小屋に帰り、それぞれの部屋に戻ってひたすら眠った。


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