表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔導兵物語(仮)  作者: zero
6/20

悪魔と師匠

「ミツケタ…ミツケタ…」

中央の悪魔が同じセリフを繰り返し、翼を動かし降りてくる。正直、あんな翼でどうやったら飛べるのかは分からないが、魔法を使っているのだろうか。

悪魔は白い翼を持ち、白い鎧のようなモノを着用している様で、月光を反射している。

悪魔の両腕が少し長く、手甲なのだろうか、指先が鋭くなっているようだ。

師匠が言う異形の意味が近づくにつれ、ハッキリと分かった。

神の目が有りながら、しっかりと確認しなかった愚かさを後悔しながら、改めて視ると、白い翼には鉤爪が付いており、翼は腰の辺りから生えている様だ。

そして、両腕が長いと思っていたが、左右に脇の下から更に腕が生えており、腕が4本あるのかと妙に納得した。

その顔には、赤黒く光る目があり、顔には皮膚が無く頭蓋骨そのものに見えるのだが、何か違う。

もう少し確認しようとしたが

「初めまして、滅び行くモノ達。そして、お久しぶりですね?創られしモノと新たなるモノ」

此方から見て中央左の白い笑顔の仮面の悪魔が大仰に挨拶をしてくる。

笑顔の悪魔は、白い鎧で全身を包み込んでいる。

隙間すら無く、腕を動かしているのに、関節部分も変わらない。

ただ、その威圧感は凄まじく、師匠が隣に居なければ、逃げる方法を考えるか、逃げ出しているだろう。

アレンさんたちは、魔獣を相手に戦っているが、笑顔の悪魔の声は聞こえているのだろう、こちら側を気にしつつも、魔獣たちに阻まれて来られないでいた。

右の白い怒ったような仮面の悪魔が語気を強め、仮面の目の部分を赤く光らせて言う。

「どちらにせよ滅び行くだけのモノ達ではないか。さっさと終わらせるべきだ。」

「そうですか?万里眼ではなく、こうして出会えたのですよ?もう少しお話ししても良いではありませんかね?」

笑顔の仮面が窘めるように言う。

「なら、好きにしろ。これ自体はオレの役目ではないのだ。やらないのなら帰るからな!」

「おや、貴方が帰るのならば、私も帰らないといけませんね」

「そんな勝手を許すと思うなよ!」

師匠がいきなり斬りつけるが、両隣の頭蓋骨剥き出し?の悪魔2人がそれぞれの持つ武器で受け止めた。

「魔人の出来損ないが……舐めるな!」

激昂したかのような師匠の言葉が聞こえた瞬間、2人の魔人?が全身から血を吹き出したかのように見え、倒れる。

白い鎧は中央の悪魔と同じだが、鎧を繋ぐ様に管が出ており、その管からも血が出ている。

「ハッ!所詮は旧式プロトタイプだな。しかし、この創られしモノは強いな?」

「ふむ、調整不足でしたかね?旧式プロトタイプとはいえ、かなりの改良型なんですよ。まぁ、創られしモノのデータも採れましたし、後は使徒に任せて帰りましょうか?」

「逃さんと、言ってるだろうが!」

師匠が更に白い仮面の悪魔達に斬りかかる。

「ヤラ、セナイ…スベテ…ハ、カイ……」

悪魔が動き出し、師匠の剣を手甲?爪?で受け、そのまま斬り合いを始めた。

とてもじゃないが、加勢はおろか援護すら出来そうに無かった。

未だアレンさん達は、魔獣達を相手にするだけで精一杯という感じだし、どうしようかと思ったが、弟子として、師匠の役に立たないといけないよな。

両腕を広げて魔力を集めて練り、両手の先にイメージを浮かべ、力ある言葉を放つと同時に両腕をクロスさせる。

「風神の刃!」

風をイメージし、不可視の刃を白い仮面たちに放った。

「遅い上にまだまだ弱えな!」

怒り仮面が腕を振り下ろすと、不可視の刃が文字通り、叩き潰された。

「な!?」

怒り仮面も、全身白い鎧を身に着けているとはいえ、片手で消されるのか!流石に驚いて次の行動に出られない。

「固まりましたか?今でこの程度なら、外れですかねぇ?」

笑顔仮面が頭を傾げる。

「いや?堕天使程度なら、今でも相手に成る感じだぜ。ガキならマシな方だろ?せっかくだ、連れていくか?」

「見た感じ、この創られしモノの出来に比べてかなりも弱いですし、不要ですね。」

「そうか?じゃあ、帰るぞ。使徒に命ずる!この者達を滅ぼして後、この地を清浄なりし地とせよ」

怒り仮面が悪魔に命令するが、悪魔は師匠相手に打ち合いしているのだが応える。

「メイレイ、ヘンコウ……スベテ…ホロボシ…ジョウカ………」

「創られしモノよ、確かに強くなっている様ですが、この使徒に勝てますか?最後まで見届けたいのですが、彼が帰りたがっているものでしてね?2人一組の契約が無ければ良かったのですがね」

「新たなるモノよ、もし生き残ったなら、死ぬ気で強くなるんだな?生き残れたら、だがな!」

2人の悪魔が消えた……消えた?彼奴ら、飛んで来たはずなのに?神の目を使う。

「おのれ!魔人があぁぁぁぁ」

悪魔の攻撃を捌いた隙を付き、勢いのまま師匠が上段からの一撃を悪魔に叩き込む。

真っ二つに切り裂く師匠だが、怒りが凄まじい。

真っ二つに切られた悪魔が起ち上がる。

真っ二つに見えるが、間に幾つもの紐の様なものが蠢き、支え合っている。

よろめく悪魔は後退り、止まる。

其所には最初に倒された悪魔の死体が有り、真っ二つの悪魔の間から紐が伸び、倒された悪魔に巻き付く。

「しまった!」

師匠がハッとして、駆け出そうとするが、悪魔の動きの方が早く、飛び上がる。

師匠が斬撃を放つが弾かれる。

真っ二つのまま、体から出る紐で2体の悪魔を持ち上げて、二つの体の間に挟み、体を付け合わせる。

2体の悪魔がどのように挟まったのかは分からないが、悪魔の体が回復したように見える。

「ハカイ…ハカ、イ……ハ、カ、イ………」

変わらず、不思議な声で同じ言葉を繰り返し、再び降りてくる。

「師匠!」

師匠に思いっきり声を掛ける。

「!」

振り向いた師匠の顔は一瞬驚いた顔を見せたが、直ぐに何時もの顔になった気がした。

「弟子のお陰で冷静さを取り戻すとは、未熟だな」

師匠が何かを言ったようだが、聞き取れなかった。

降りてきた悪魔は、一気に間合いを詰めてきたが、師匠の腕が動いたと思った瞬間、悪魔が弾き飛ばされた。

「トモキウス、アレン達を援護してこい!」

師匠が見もせず言うが、その声は、何時もの師匠の声だ。

「師匠!悪魔と魔獣、何方が先におわらせるか、勝負ですよ!」

言いながら、アレンさんたちに向かう。

「勝ったら勉強時間を倍にするからな」

師匠の声がからかう様な明るさがあるが、悪魔と斬り合いしているとはおもえない。

「じゃあ、僕たちが勝ったら、悪魔について色々教えて下さいね!」

アレンさん達に向けた体を反転させて言い、そのまま更に反転させて、勢いをつけ走り、ショートソードを抜き放ち、近づく小型の魔獣を斬り伏せる。

ついで、魔力を練り、風魔法をイメージし力ある言葉を放つ!

「風神の刃!」

白い仮面の悪魔にはかき消されたが、周囲の魔獣を数十匹は切り裂いた。

更に身体に風魔法を掛け、飛ぶように走る。


「全く、この程度の相手に無様なものだな。冷静さを失わなければ、魔人を倒せたものを、情けない」

シファは剣で斬り合いながらも、落ち着き、冷静さを完全に取り戻し、相手の力量を完璧に把握した。

そして、手にした聖剣に魔力を流し、瞬時に悪魔を切り刻むと、大量の血の様なものと体の部品がばら撒かれ、大きな魔石が落ちる。

「成る程、3体分の魔核か。」

シファは魔石を拾い上げて、魔力を流すと魔石が形を変え球体と成る。

シファはそれを腰の袋にしまい、近づいてきた魔獣を倒していく。

「勉強時間は倍だな」

少し楽しそうに言い、怯み始めた魔獣を斬り捨てる。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ