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断罪せし暗殺者  作者: ひょうすい
第5章 陰謀包む『文化祭』
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81GF 交錯する『文化祭』



 密かに闇は動いていた。文化祭に現れたイレギュラーの闇と、社会の裏として存在している闇が合わさった時、いったい何が起こってしまうのか。それは、首謀者にしか分からないことだった。



 「外がうるさいな」


 「まあいいだろ。うるさいのはいつもだ」


 「そうか。なら始めよう」


 「ああ、そうだな」


 「真祖の姫を生贄にして始まる……」


 「文化祭に潜ませた大量の人造人間。それに含まれているロストエネルギーを使って行われる……」


 「お前が首謀者だからな? 月天」


 「そうでしたね」


 「お前は潜ませた意味を理解しているのか?」


 「わかってますよ。とりあえず、街中に溜まったロストエネルギーを吸収して、それを自身の能力に合わせて放てばいいんですよね?」


 「そういうことだ。とっとと行け」


 「……わかりました」



 月天は部屋を出た。



 「俺もよくわかんねぇんだよ。こういうのは」


 「じゃあ話し合いに参加しなかったらいいじゃねぇか」


 「まあさ、参加はしてぇだろ? 暇じゃねぇか」


 「それはわかるが……」


 「とりあえずよ、俺はあいつが能力を発動するまで生きていればいいんだろ?」


 「そういうことだ。任せたぞ、伊舎那天」


 「任せとけって」



 伊舎那天も部屋を出た。



 「あの人たち……、やっぱり気に食わないんですよ……」


 「しょうがねぇだろ。あいつらがいねぇと俺達今頃どうなってたよ」


 「戦争に参加ですよ」


 「断罪者を倒すチャンスが無くなるところだったって言え。現実を突きつけんな」


 「嫌なんですか?」


 「あんな「正々堂々が悪」とかいう世界には行かねぇよ。ああいうのは性格の悪い奴らに行かせておけばいいんだよ」


 「自分のこと性格いいって言ってますよそれ」


 「まあいいからな」


 「否定はしません。ですが肯定もしません」


 「肯定って?」


 「だからバカは……」


 「何か言ったか?」


 「何も言ってません。とりあえず行きますよ」


 「了解了解」



 一方、部屋に残っていた1人の男は……。



 「神月が言っていたプロジェクト……。利用するとか言ってた癖に最終的には全部壊すのかよ……。内側から壊すのも楽しいな……、これ……」


 「何をしている?」



 そこに1人の男が入ってきた。



 「いや、何も無い」


 「俺は聞いていたが?」


 「どこから聞いていた?」


 「神月が言っていたってところから」


 「全部じゃねぇか」


 「とりあえず、何のプロジェクトのことなんだ?」


 「終焉の理計画だ」


 「あれか。すんごい厨二病みたいなプロジェクト名」


 「そう。今は順調なんだろ?」


 「まあな。世界戦争を起こしてくれたネイソンはよくやったよ」


 「あいつも我が組の傘下だからな」


 「ドイツが傘下とは嬉しいことだ」


 「だが、それを神月には伝えていないんだろ?」


 「ああ。これほど面白いことは無いさ」


 「フランスと軍事介入をした神月は一見、裏切り行為のように見えるが、俺たちからすると嬉しいことなんだよな」


 「同時討ちってやつだからな」


 「まあ、神月が無駄に死ぬだけだろうがな」


 「無駄って酷ぇな……。まあ、自身を擬似真祖にでも強化して前線に出てるんだろうな」


 「早く結果が聞きたいところだが、とりあえず待つしかない」


 「今回も両方を潰すための行動なんだろう?」


 「ああ。逆に何故、このような好機を逃さなければならないのだ」


 「それは言えてるな」


 「奴らを殺すためならなんでもする。そのためならアメリカだって支配する」


 「もうしてるだろ」


 「そうだったな」


 「……死んでくれ」



 後から入ってきた男は、先に部屋にいた男の心臓部分を、ナイフで突き刺して殺した。その男はアメリカ軍の指揮を行うための無線機を奪い取り、通信を行った。



 〔臨時として私が王となる、鍵政(かぎまさ) 方俊(みちとし)である。以後、元の王が戻るまでは我の指示に従え〕



 鍵政組。それは仙台を拠点を置く指定暴力団である。表社会では建築会社や不動産、学校法人など幅広く活動しているのだが、裏では薬物はもちろん、人造人間関連にも手を染めている、裏社会では1番の極悪集団である。それが鍵政組であり、それの173代目当主が、鍵政 方俊である。年齢25歳のまだまだ未熟な者ではあるが、実力は確かである。誰も方俊を止めることが出来ないことから、裏社会では『暴走組長』と呼ばれている。



 (真祖の姫を使ってどうすると言うんだ……。私はただただ十二神か断罪者、どっちかが死んでもらえればいいのだ)



 今の方俊の目標は、人造人間を減らすことだった。そして秘密裏に、ある装置を作っていたのだ……。



 〔例のものはできたか?〕


 〔いえ、まだです〕


 〔事態は早く収束させた方がいい。そのための消滅装置だろう?〕


 〔はい〕


 〔なら急げ。8ヶ月以内に完成させろ。それまでに完成させなかったら……、わかっているな?〕


 〔わかっておりますとも〕


 〔ならとっとと作れ〕


 〔はっ〕



 無線を切ると、また考えだした。



 (真祖と真祖の姫にはあれは効かない……、なら直々に手を下さなければ……。約15年における作戦だ。親父から受け継がれたこの作戦……、成功させなければな……)



 鍵政組は闇として、密かに動いていた。



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