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断罪せし暗殺者  作者: ひょうすい
第1章 断罪者
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8GF 滅罪者



 雷風がパソコンを見ている時、入り口から気配を感じた。それは一般人のような緩い気配ではなく、雷風のような闇社会に住んでいる引き締まった気配だった。



 (まさか……、後ろの奴ってこの組織の戦闘員か?)



 すると、後ろにいた者は雷風を蹴った。雷風は振り返って蹴ってきた足を止め、その足を掴んでその者を上へ投げた。そして、落ちてきたその者を、壁にめり込む程の威力で蹴った雷風は、その者の元へすぐに近づいて上へ投げ、飛び蹴りをその者の腹部へ放った。



 (……、蹴ったり投げたりした感触は人間。しかも任務外の奴かもしれん……。やりすぎたな)



 雷風は威嚇の意味を込めて、その者に刀を向けた。それはその者の喉に当たるギリギリで、少し奥にやると喉が裂けてしまう近さだった。その者は藍色の瞳に藍色のロングヘアーだった。



 「お前は誰だ。正体を明確に話せ」



 雷風はそう聞くと、その者は話し始めた。



 「瑠璃 霞。18歳で滅罪者」


 (こいつがまさか……、最後の断罪者か?)



 すると、霞は思い出したかのように話し始めた。



 「待て、お前のことは少し見覚えがある。まさか雷風か?」


 (……、は?)



 雷風は、「なんでこいつが俺のこと知ってるんだよ。」と思った。雷風は霞についての記憶がない。だが霞には雷風についての記憶があり、鮮明に覚えている。それは何故か。雷風は、昔の出来事などを忘れがちであるのだ。



 「いつまでたっても私はお前に勝つことはできないのか……。完敗だよ」


 「そうかよ」



 霞は雷風を見て、何かを見透かしたような口調で言った。



 「それで?どうせ同じ学校なんだ。断罪者の部活でも作っているんだろう?」



 霞のその、「何かを見透かしたような口調で核心を突く発言」に雷風は嫌悪感を抱いた。だが、その嫌悪感が雷風の記憶の中にあった。



 (このすんごいウゼェ記憶……。なんか覚えがあるんだよな……)



 雷風は必死に思い出そうとした。



 (何かあるか?)


 「大丈夫か?」


 「ちょっと黙っとけ」


 「えぇ……? これでも年上なんだけどな……」


 (記憶を辿れ……。……えー、なんだったか?)



 その時、雷風は思い出した。



 「思い出したぞ!! お前、俺に昔エグい思想押し付けてきたあの滅罪者だろ!!」


 「エグいって失礼だなぁ……」



 雷風は昔の、霞にとある思想を押し付けられていた。その内容は、「自分にとって存在しているのは自分の精神だけで、それ以外のあらゆる存在や知識、認識は信用できない。」とする唯我論だ。霞はそれを心情としており、その信用できない部分を仕事で破壊しているに過ぎないのだ。



 「なんだっけか? 唯我論とかだったよな」


 「そうそう。さあ、3年間待ってたんだ。断罪者が5人全員揃う瞬間を」


 「何かのアニメみたいなセリフだな」


 「まあまあ、とりあえず行こう」


 「そうだな。 ………………………………………どこに?」



 そして今……。



 「あっ!! 霞さん!!」


 (白夜と霞。世界で一番会っちゃいけねぇ2人が会ってしまった……)


 「久しぶりだねぇ~。 白夜~」


 「ねぇ、この人誰?」



 寝起きの慧彼が雷風に聞いた。



 「前に白夜が「知ってるよ」って言ってた人。つまりは最後の断罪者ってこと」


 「なるほど、ありがと」



 雷風は今、寮の部屋にいるのだが、霞が無理矢理部屋に入ってきた。盾羽はもう寝ているが、雷風は風呂を入った後、なんやかんやありリビングのソファで慧彼に膝枕されている。だが、雷風はその状況に慣れていた。



 「お前らも早く寝ろよ~」


 「はいはーい」


 「りょーかーい」


 「OK」


 (わかりました系の返答ってこんな種類あんの?)



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 そして翌日、雷風はわざわざ3年の教室まで向かった。



 「あのー、瑠璃さんいませんかー?」


 「何故に棒読み?」



 雷風は霞の近くに寄り、小さな声で話した。



 「いいから合わせろ。 とりあえずこれ渡しとく」



 雷風は、霞に入部届を渡した。



 「何これ」


 「入部届。お前の予想通り」


 「流石、見込んだだけはあるね」


 「お前に見込まれても嬉しくねぇよ。とりあえずさっさと書いて出せ」


 「せっかちだね」


 「んで、放課後校長室来い。部活だ」


 「は、はあ……」



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