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断罪せし暗殺者  作者: ひょうすい
第4章 グラジオラスは存在を明確に表し始める
73/206

73GF 帝国主義は国民の心のアセビで成り立っている



 フランスはドイツの大量にいる人造人間に対して、たった3体の人造人間で戦闘していた。それによってフランス軍は常に疲弊しており、敗北は目に見えていた。



 「天城 神月、到着した」


 「来たか。これでどれだけ戦況をひっくり返せるか……」


 「こっちは1000万程用意したが……、足りるか?」


 「もし遊撃兵が1000万いたとしても勝てないだろう……。相手はセフィロトだ」


 「そうか……」



 神月は考えた。ドイツ軍に所属する11体の最強部隊であるセフィロト、それが全面的にフランス軍に侵攻している緊急時である。何を行えばいいのか、義勇軍として来た神月には決めれないものだった。



 「ダルタニャン、お前に任せる」


 「わかった。では送ってきた人造人間の内訳を教えてくれ」


 「わかった。雑魚兵が700万、偵察兵が5万、遊撃兵が280万、そして高度能力兵が15万だ」


 「なるほど。それで……、お前は擬似真祖になったのか?」


 「ああ、ブレイクエナジーを上手く体に融合させたよ」


 「擬似真祖がいるのは心強い。これをどう使うかだな……」


 「俺はこの辺で失礼する。用があったら呼んでくれ」



 神月は部屋から出た。



 (三銃士は今疲弊している……。それに今はドイツ側も侵攻を始める様子もない。……偵察兵を2万程、ドイツとの国境付近に配置しておくか)



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 ドイツ軍最高司令本部、そこにはセフィロトと呼ばれる11体の人造人間がいた。それぞれが国を単独で落とせるレベルの人造人間であり、ドイツが世界各国から恐れられている理由でもある。更に、ひとりひとりが下に1つの軍を持っており、それがまとまってドイツ軍と呼ばれている。

 ドイツはこの戦争を始める前に、ベルギー、オランダ、デンマーク、スイス、ルクセンブルク、ポーランド、チェコ、オーストリア、スロバキア、ハンガリーの10ヶ国を占領しており、全てドイツ軍の監視下に置かれている。

 そして、子供を産ませては人造人間に改造させるという行為を、占領した10ヶ国の国民のほとんどにさせている。それによって完全にドイツの帝国主義は完成し、世界の人造人間を有する国にさえ手を伸ばそうとしている。それはネイソンの願いの一つである「世界統一」を体現しており、セフィロトはその意思を受け継いでいるのだ。

 完全なる恐怖で支配する政治に、誰も逆らおうとはしなかった。それは無駄に死ぬという行為と大差なく、国民の意見を聞こうとしない政治にどれだけ文句を言っても変わらない。もし他国からドイツの政治について干渉しようものなら、戦争すらも厭わない国なのだ。それを国民は肌に感じている。だから反逆をしないのだ。それにまず、国民と呼べる国民はほとんど残っていなかった。ドイツ国民は人造人間に、占領下の国民も人造人間に変わっている。大量のロストエネルギーを消費して、軍事力に変えているドイツに、敵う者など0に等しかった。



 「帝国主義を他の列強が真似るのはよくない。帝国主義を再現させたのは私達というのに……。それをアメリカやロシア、イタリア、イギリスが行う……。本当に人造人間というものは真似をするのが好きな生物だ……。それは人間にも言えることか」


 「そうですね。マルクト様」


 「お前が言うから長々と話したのだぞ? イェソド」


 「いえいえ、私はマルクト様について行くと決めていますので」


 「裏切ったら容赦はせんからな」


 「私ごときが敵う相手ではありませんよ。マルクト様は」


 「そうか。単純な戦闘力では私の方が下な気がするがな」


 「能力が強すぎるじゃないですか。まともに戦闘できませんからね」


 「まあ、3日間の休憩を終えた後、会議を行う。3日後の18時、セフィロトをここに集めろ」


 「わかりました」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 3日が経過し、ダルタニャンはドイツに全面的に攻撃を仕掛けた。見張りに出ていたドイツ軍の雑魚兵は十二神の能力で一掃された。



 「一時的に神月に能力を変換してもらった……」


 「今回だけは特別だからな」



 梵天と帝釈天は、持ち前の身体能力で人造人間を殲滅していた。それはもう派手に。人造人間を上に投げ、自分が跳んで足を振り上げてかかと落とし。大きな土埃が舞うのは当然だった。実際、それは相手に見つかっていたのである。



 「あれは……?」


 「派手にやってんな。多分義勇軍だろう」


 「袋叩きにするか」



 ドイツ軍は、ケテルとケセドの2人だけで出ており、それ以外はただの見張りとして常に前線にいた人造人間である。



 「前出るか?」


 「いいなそれ。正面突破ってやつか」



 ケテルとケセドは岩陰から姿を現し、梵天と帝釈天に向かって全力で走り出した。



 「挨拶がてらの1発喰らえ!!」



 ケテルは梵天のみぞおちを殴り、前方へ吹き飛ばした。それと同時にケセドも帝釈天のみぞおちを殴り、前方へ吹き飛ばした。



 「さて、袋叩きにされたいか?」


 「される気なんか毛頭ないっつーの」


 「気がなくても結局はされると思うがな」


 「おいケテル。お前は南にいる人造人間をやれ。俺はこいつら2人を一人でやる」


 「南には何体いる?」


 「5体だ」


 「わかった。行ってくる」



 ケテルは南へ走った。



 「さて、どう死にたい?」


 「逆に聞く。どう死にたい?」


 「どうやら殺る気のようだな。勝てないとわかっていながら」


 「戦う前に負けるって思うバカがいるか?」


 「ああいるさ。目の前に2人もな」



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