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断罪せし暗殺者  作者: ひょうすい
第1章 断罪者
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6GF 遊戯者



 翌日、雷風は慧彼と盾羽、白夜と買い物に出かけていた。だが、思った以上に早く買い物が終わったため、雷風はとある提案をした。



 「よし。お前ら、遊びにでも行くか」


 「え? 急だね……」


 「まあ、いいんじゃない?」


 「いいですね。行きましょう」



 白夜は何処に遊びに行くのかが気になったため、雷風に聞いた。



 「それでさ、何処に行くつもりなの?」


 「……考えてない。だからお前らで決めろ」


 「……はあ」



 白夜は、雷風の無計画さに少し呆れた。



 「それで、何処に行く?」



 慧彼はそう盾羽と白夜に問うと、さっきまで呆れていた白夜が一番早く返した。



 「ゲーセンかな」


 「賛成です」


 「それじゃゲーセンで決定かな」


 「じゃあ、最近できたあのショッピングモール行くか」



 そして雷風達は、最近建設された巨大なショッピングモールの中にある大きなゲームセンターに入った。



 「今日の金は全部俺が出す」



 普通なら、雷風の口から絶対に聞かない言葉が慧彼達には聞こえた。そして、それを嘘だと思った慧彼はもう一度問いただした。



 「え? それってマジ?」


 「おん。マジマジ」



 雷風の言ったことが全て本当だと理解した盾羽は、雷風の財布の心配をした。



 「お金の方は大丈夫なんですか?」


 「大丈夫だ。そのためにトランクケース持ってきたからな」



 金属製のトランクケースの中に入っていたのは、ぎっしりと敷き詰められていた一万円札の束だった。その額は一億円であり、雷風はそのトランクケースを慧彼達の目の前で見せた。



 「エグっ……」


 「マジだ……」


 「早く閉じてください。周りからの視線がヤバイことになってますよ」



 そのトランクケースは盾羽によって閉じられた。



 「まあそんな感じで好きに遊んでくれていいぞ。まあ、とりあえずお前らに一万円分ずつ渡しとくな」



 雷風はそれぞれに、一万円分の100円玉を両替して渡した。



 「じゃあ俺ここでレースゲームしとくからさ、金無くなったら言いに来い」


 「わかった」


 「けど、最初にやるのはこれでしょ」



 雷風はレースゲームの座席に座ると、残った3つの座席に慧彼、盾羽、白夜が座った。



 「一人でやるつもりなんだ」


 「ちょっとでも交流は深めようよ」


 「寂しいひとですね。雷風さんは」


 「盾羽。お前が一番失礼だからな?」



 そう言い、全員は100円玉を入れた。少し経った後、ゲームがスタートした。だが、それは雷風の圧勝であった。盾羽が最下位争いから少し離れた位置で走っており、その後ろでは慧彼と白夜による最下位争いが始まっていた。



 (ゲームって意外と性格出るもんなんだな)



 そして結果は、一位雷風、二位盾羽、三位慧彼、四位白夜という結果になった。三位と四位はほぼ同率でのゴールであり、極めて底辺の争いだったのだが、意外と白熱した展開であったため、先にゴールしてきた雷風は後ろからレースを見ていた。



 「お疲れ。意外と白熱してたな」


 「でしょ?」


 「でしょ?」



 慧彼と白夜は同時に答えると、雷風はその2人を煽った。



 「まあどんだけやってもさ、所詮はどんぐりの背比べ。その程度で満足すんなよ?」


 「煽りセンス抜群じゃん……」


 「それでは、各々好きなゲームでもしましょう」



 盾羽の言葉に合わせて、全員がバラバラに行動した。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 盾羽はクレーンゲームをしていた。景品は盾のフィギュアであり、お店の中での最高基準とされるレベル10であった。



 (……とりあえずとりましょう)



 そう盾羽が思ってから30分後、クレーンゲームの景品は全部の台で一つ減っていた。つまりは全ての景品を取ったということだ。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 白夜と慧彼はメダルゲームをしていた。2000円分のメダルを、どれだけ増やすことができたか競っていた。



 「はいジャックポット」


 「何回ジャックポットしてるの?白夜」


 「ざっと10回はしてるね。絶対に」


 「すごっ……」


 「まあこれってコツとかあるから」



 すると、少し離れたところでずっとジャックポットしている者がいた。



 「なあお前ら」



 雷風が慧彼達の元へ近づいてきた。



 「コツとかわかんねぇけどさ、メダル増えすぎた」



 それは、地面から積み上げて天井に届く位のメダルのタワーが20個程形成されていた。



 「あれはコツ?」



 慧彼は白夜にそう聞いた。



 「違うよ。あれは化け物」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 そして、ゲームセンターに入って約1時間、雷風達は昼飯としてカレーを食べていた。



 「次どうする?」


 「それも他人任せ?」



 白夜はそう聞くと、雷風はさっきと同じような返事をした。



 「そう。まあ、全く考えてねぇから任せた」


 「考えたくないんだね……」



 慧彼はそう言うと、盾羽と白夜に聞いた。



 「それで、何処に行く?」


 「さっきもそれ聞いた」


 「遊園地はどうですか?」



 盾羽がそう言うと、雷風はそれを了承した。



 「じゃあ遊園地行くか」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 そして雷風達は遊園地に入場し、最初に訪れたアトラクションはジェットコースターだった。



 「え? 最初っからこれ? さっき食ったカレー出てくるぞ」


 「そんなわけ無いじゃん。これが普通だって」


 「逆に聞くけど、最初はジェットコースターが常識じゃないの?」


 「お前らの常識が意味わからなさすぎる」



 慧彼と白夜の強い推しに雷風は負け、ジェットコースターに無理矢理乗らされることになった。ちなみに盾羽は影で乗り気だった。

 雷風はとてもジェットコースターが苦手である。過去に、ジェットコースターから落ちたことがあり、そこから乗り物は自分が運転するものしか信用しないようになっている。だから今、最初の上り坂の段階で雷風は……。



 「いーや……。無理無理無理無理無理無理無理無理無理!!」



 そんな雷風の声はジェットコースターに届くわけもなく、あっという間に頂上についた。



 (あっ……、俺死んだわ……)



 そしてジェットコースターは物凄いスピードで降下を始め、そのスピードを保ったままレールの上を走行していた。雷風は別にスピードも高さも重力も怖くはない。だが……、トラウマなのだ。



 「最高!!」


 「最高!!」



 雷風の前で座っている慧彼と白夜は、両手を上にあげてテンションが上がっていた。そして、横に座っていた盾羽もだが、静かにテンションが上がっていた。



 (え? なんでこいつらそんなにテンション上がるんだよ……)



 そして、雷風にとって長い、永い、ジェットコースターという地獄の時間が終わった。雷風はジェットコースターから降りた瞬間に倒れそうになったが、そこは気力でどうにか保った。



 「お前ら……、元気すぎんか?」


 「苦手なんですか?」


 「まあな」



 そんな雷風をよそに、慧彼と白夜はテンションが上がったままだった。



 「とりあえず絶叫マシーン系はコンプリートするぞ!!」


 「オー!!」


 「雷風さん、ついて来てもらえますか?」


 「お、おう……」



 その後、2時間程絶叫に乗っていた雷風は、トイレで5分程嘔吐し続けていた。そしてトイレから出てくるや否や、雷風はずっとベンチで放心状態のような状況になっていた。



 「後はお前らで乗ってこい。俺疲れたからここいるわ」


 「声枯れすぎじゃない?」


 「これは声だけではないでしょ。全部だよ全部」


 「誰がこんなんにしたんだろうな」



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