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断罪せし暗殺者  作者: ひょうすい
第4章 グラジオラスは存在を明確に表し始める
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58GF フォルセティは隠蔽を続ける



 7月21日、19時36分。雷風達は夕飯を食べていた。結局、予告していたコロッケからカツカレーに変わった。



 「予告されたのと違うの出てきたんだけど」


 「気分が変わった」


 「気分だけで夕飯ってメニュー変わるんだ……」



 何気ない会話が食卓を囲む。だが、慧彼はそんな空気をぶち壊した。



 「ねぇ、雷風」


 「どした?」


 「人間じゃない、もっと高次元の生命体って何だと思う?」


 「なんだそれ。……お前らじゃねぇのか?」



 雷風は少し考えた後に答えた。



 「いやさ、今日戦闘したでしょ?」


 「あー、結局逃げられてたやつな」


 「見てなかったでしょ」


 「そんなこと気にすんな」


 「その相手がさ……、私の妹だったんだよ」



 その時、白夜と風月、盾羽、霞が動きをピタリと止めた。



 「え? 何これ……」


 「いや……、俺もわからん……」



 雷風と雫は何が何だか全くわかっていないが、この4人は事の重大さがわかった。



 「待って……、慧彼の妹って確か……」


 「わかってるよ、白夜。私がしっかり殺した。脳味噌を銃で撃ち抜いて殺した。慧羅もその事についてはビックリしてた」



 雫と雷風は目を合わせ、そこからゆっくり慧彼お方を向いた。



 「それで、ネイソン・ブラッドレールが慧羅をドイツへ連れて行ったって言ってた」


 「は!? あのネイソン!?」



 雷風はネイソン・ブラッドレールという名前を聞いた瞬間、立ち上がって慧彼の方へ体を倒して聞いた。



 「そう、あのネイソン。ドイツの大統領のネイソン・ブラッドレール」


 「待って」



 風月が会話を止めた。そして雷風に近づいた。



 「ネイソン・ブラッドレール。その事について何か覚えてない?」


 「姉さん。残念だけどひとつも思い浮かばない」


 「そう……、……ならいいや」



 風月は自分が座っていたイスに座った。雷風も同じようにイスに座った。



 「なんで雷風に聞いたの? 風月」



 慧彼は風月にそう聞いた。その疑問は風月を除いて全員が思ったことであり、何故雷風にだけその質問をするのか。何故雷風が心当たりがあると思ったのか。他にも疑問に思ったことは無尽蔵に出てくるが、風月は何かを知っていそうである。そう思った盾羽は、風月に聞いた。



 「雷風君について何か知ってるんですか?」


 「いや。雷風ってさ、私が拾う前の記憶って一切無いんだよね。なにか思い出したこととか無いかなって思って……」


 「なるほど」


 「まずまず、普通は生まれてすぐの記憶なんてあるわけないじゃん? けど、何でそれを私達は知ってると思う?」



 そう、慧彼、盾羽、白夜、霞、風月、そして雫の6人は生まれてからの記憶が存在している。だが、それは人間から人造人間へと人体実験をされた時に思い出したのではない。そのことを、風月は全て知っているのだ。



 「わかんない……」


 「確かにそれはわからない……」


 「いつからかはわからないけどいつの間にか思い出したような……」


 「そうですよね……」


 「全くわからない」



 5人はわからないと回答した。



 「雫は改造された時に、記憶回路の奥底にあった幼少期の記憶を再び中枢神経に与えられて、そしてロストエネルギーと融合させてる事で全ての記憶がスラスラと出すことができる」


 「へぇー……」


 「そして私達5人は、記憶を後で開放された」


 「……後で?」



 風月の「後で開放された」という言葉に疑問を持った。慧彼達には到底わかる話ではなく、ただただ聞くしかなかった。



 「そう。後で記憶を返還されたんだよ。詳細なことはデータごと見せるね」



 風月はスマホを取り出し、全員にデータを送信した。



 「これに書いてるの?」


 「そう。読んでって」



 そこには読むのがとてもめんどくさい文があった。無駄に長くされている文は、読みづらい文に変化する。



 『鬼頭 風月、瑠璃 霞、裁断 慧彼、護神 盾羽、満月 白夜の5人は、7歳までの記憶をこのデータの中に収納し、過去について一切語ることを許さない。また、再び5人のうちの誰かがこのデータを見た瞬間には、見た本人の記憶だけが戻る。そのため、必ず見せてはならない』



 「つまりは、私たちの記憶は抜かれてて、このデータを見たら取り戻すよってこと。それを私達はビルド本部を襲撃した時に見たからこうやって記憶が戻ってきてるってこと。OK?」


 「なるほど。わかりにくくてめんどくさいこの文を、いちいちわかりやすくしてくれてありがとう」


 「ネガティブな言葉が多すぎて褒め言葉なのかわからなくなってきた……」


 「大丈夫。しっかり褒め言葉だから」


 「霞、もっとわかりやすく言った方がいいよ……」



 雷風は、それより後の文に注目した。



 「姉さん、これ……」



 雷風はその画面を風月に見せた。



 「消されてるよね……」


 「鬼頭 雷風は……。この後が知りたいんだけどな……」


 「誰かに無理やり消されたとかかな?」


 「さあ……? これが何なのか……」


 「謎が深まっていくねぇ……」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 一方、慧羅は走っていた。



 (さて……、お姉ちゃんはあそこ周辺にいる……。……マイマスターの科学力はいったいどうなっているんだ……? いや、マイマスターは絶対に疑ってはいけない信仰すべき存在……)



 慧羅は青函トンネルを抜け、函館市に入った。



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