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断罪せし暗殺者  作者: ひょうすい
第3章 Bullying and revenge
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51GF Great existence



 翌朝、慧彼達は朝風呂をしていた。周りにはたくさんの人が温泉に入りに来ている。その中で普通に会話をしていた。



 「確かバイキングだったよね?」


 「そうですね」



 朝食、夕食はバイキングであり、そこにある中の好きな物は好きなだけ食べれるという、非常に自由度が高い方式なのだ。それを確認した慧彼は、楽しみにしていた。



 「好きなものを好きなだけ食べれるバイキングってやっぱり最高だよね、白夜」



 慧彼は横にいた白夜にそう話しかけた。すると、白夜は「え?」と言わんばかりに慧彼の顔を見た。



 「急に話しかけられたらビックリするって。身構えてたら全方位からでも反応できるけどさ」


 「ごめんごめん」


 「んで、「バイキングって最高」って話だったよね?」


 「そう。あってるあってる」


 「わかる。すごくわかる。美味い飯を大量に食べれるんだからね。しかもこの体は太ることもないし痩せることもない。老化することもないし若返ることもない。これほど最高な体はないよ」


 「尋常じゃない痛みと引き換えだけどね」


 「それは言わないお約束」



 そして温泉から出て、ホテル内にある卓球スペースで卓球をしていた。



 「弱っ……」


 「……強くない?」



 白夜は、霞に翻弄されていた。身体能力の高さで霞のプレーに追いついていたが、スマッシュを放つとネットギリギリのスマッシュで返され、スマッシュをカットで返すとスマッシュの勢いでエッジを放たれる。それは普通意図してできないものであり、エッジで点が入ることは至って稀である。だが、霞はそれを意図して放ったのである。返すことが困難なエッジを返す白夜に、霞は驚きながらも翻弄していた。



 「粘るねぇ……」


 「まあ……、粘らないと勝てないじゃん……」


 「ま、粘っても勝てないけど」



 霞は本気でスマッシュを放った。白夜の体勢が悪い時に、絶対に行けない場所に放った。それを止めることはできなく、最後の1点が霞に入った。



 「はい勝った」


 「……強すぎ」



 2人の試合がかなり激しかったことから、周りで卓球をしていた人達は全員その試合を見ていた。そして、周りの人達は拍手を送った。



 「霞、なんか拍手されてるじゃん」



 風月が霞に近寄って言った。すると、霞はそれを否定した。



 「私にじゃないよ。白夜にだよ」



 風月は、床で転がっている白夜を見た。



 「あー……、疲れたー……」


 「……汗流すだけでいいから温泉入ってきたら?」


 「まあ、そうするよ」



 白夜と霞は温泉に入りに行った。



 「あの2人、結構バカだよね」


 「バカなりに頑張ってるんだからいいじゃん」



 そう話す慧彼と風月に、盾羽は後ろから話しかけた。



 「あの2人が温泉から帰ってくるまでここで待ちましょう」


 「そうだね」



 そして白夜と霞が温泉から帰ってきて、全員でバイキングへ向かった。指定された時間にはギリギリで着き、早速自由に取り始めた。



 「好きなのめっちゃあるんだけど」


 「確かに。好きな食べ物めっちゃある……」


 「全部知ってる? ってくらいにあるね」


 「どこかで盗み聞きとか……」


 「怖いこと言わないで霞」



 席に座り、食べながら話している5人は、雷風が何をしているかということを予想しあった。



 「雷風って今何してると思う?」


 「どうせ人助けしてるんでしょ」


 「まあ……。なんやかんやお人好しだし、子供の相手してるんじゃない?」


 「子供の相手か。……めっちゃありそう」


 「絶対それでしょ……」



 バイキングの時間が終わり、ホテルを出た慧彼達は、十和田八幡平国立公園にある奥入瀬渓流へ来ていた。



 「ここが奥入瀬渓流……」


 「幻想的……」



 自然の姿を全身で感じている5人は、十和田湖から唯一流出する河川である奥入瀬渓流の水の流れを見ていた。紅葉のシーズンであれば、奥入瀬渓流はより幻想的な空間に化すのだが、夏でも幻想的という感情は感じ取れる程、都会から隔絶されている空間である。

 慧彼は水に触れると、非常に冷たいことに気がついた。そう、この水はすごく冷たく、飲んでしまいそうなくらい綺麗なのである。霞はその水に触ると、少し驚いていた。



 (これが自然本来の水……、都会にある水とは全然違う……)



 霞はこの水を操作し、手元に小さな鶴を作った。そして形を崩し、手を濡らした。霞は数回瞬きをすると、少し強い風が吹いてきた。風が吹いている方向を向くと、そこには何かがいたような気がした。



 (あれは……、……何?)



 霞はそれが何かなのかはわからなかった。だが、何かがいたということ、そして、自分はそれを知っているということはハッキリとわかった。記憶にはない何かだが、大切なものとして自分の奥底で眠っているのだろうと思った。



 「おーい、行くよー」



 風月が霞にそう言うと、霞は風月の後を追いかけていった。



 「さて、もう夜か……」



 気づくと、いつの間にか夜になっていた。ホテルに帰り、温泉に入り、バイキングを済ませて、今は部屋にある椅子に座っている。



 「1日溜めた慧彼の過去、話してもらうよ」



 風月が慧彼に向かって言った。



 「わかった。少し長くなるけどね……」



 慧彼はそう言うと、自分の過去を話し始めた……。



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