5GF 提案者
テスト最終日の最終科目のテストが終わった瞬間。それは世界一浮かれる時間である。それと共に幸せと解放感も襲ってくる。その波は、勉強をひたすら頑張った者であればある程大きくなる。
だが、雷風は全くテンションが上がっていなかった。それに対し横の席である慧彼は、エベレストにでも登頂したのかと言うくらい狂喜乱舞していた。
「今日、バイトもあるし仕事もある……」
そう、テスト終わりの日に用事がある者。特に塾がある者は素直にテストが終わったことに喜ぶことができないのである。だからテンションは上がることはなく、慧彼と雷風は今、対義語として使える程テンションの差が激しかった。
「ははは……、お疲れ~……」
(あー……、今日任務入ってなくて良かったー)
内心とても安心していた慧彼であった。
「じゃ、俺今からバイト行ってくるわ」
テストは3科目すると帰宅することができる。だがら、テストのある日は3時間しか学校がない。それに仕事は夜。その間の時間が暇だと感じた雷風は、喫茶店のバイトを入れることにした。面接は必ず受かるように裏で国が手を回してくれている。
「ねぇ、働きすぎじゃない?」
「いつか過労で倒れるかもな。そのときはよろしく」
「そういうこと言わない」
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そして雷風は喫茶店に着き、早速バイトをしていた。ホールの仕事を順調にこなしており、喫茶店に客がいなくなった時だった。
「なんでお前らがいるんだよ」
「悪いですか?」
「すんごい気まずい」
「まあまあ……、ねー?」
「ねー?」
「慧彼、白夜。お前らいつの間に仲良くなったんだよ……」
慧彼と盾羽、白夜の3人は、雷風のバイトが終わるまで喫茶店にいた。雷風は、慧彼達を完全に無視してバイトをやり遂げた。
「おいお前ら、とっとと帰れよ。外も暗くなるしな」
「わかってるって」
「白夜……、お前が一番わかってなさそうなんだよ」
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雷風は今、青森にいた。ターゲットは県議会にほぼ参加していない政治家だ。政務活動費を不正に受け取り、その金を使ってギャンブルをし、その度に破産を繰り返している。つまりは政治家としての自覚を持っていない者である。その者を暗殺するためにわざわざ青森県へ来ていた。
(ぱっぱと終わらせて寝るか)
雷風は、改札を出た瞬間にその場から消えた。そして、あっという間にターゲットの家にたどり着いた。家のセキュリティは万全ではなく、簡単に寝床を襲うことができた。
(国や人に与えるイメージの反動が体にかかる負荷である。なら心臓を抉りとる位が丁度良いか)
雷風は一瞬にしてターゲットの心臓を抜き取り、ターゲットが心臓を抜き取られると感じる前に殺害した。
(よし……。んで、青森はリンゴだな)
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雷風はお土産として見つけた「気になるリンゴ」を買って帰った。
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「おーい、帰ったぞー」
雷風が寮に着いた時、慧彼はいつも通り雷風のベッドで寝ているが、白夜と盾羽はソファで座っていた。
「おい、何してんだお前ら」
「いや、全然寝れないからさ」
「同じくです」
「普通の奴はもうそろそろ寝る頃だろうよ」
「断罪者の時点でもう普通じゃないでしょ」
すると、白夜は雷風に提案をした。
「明日、全員で買い物行きませんか?」
「ああ、いいなそれ。たまにはそう言うのもやってみるか」
そして、雷風と盾羽と白夜の3人は2時間程、明日の計画について考えていた。