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断罪せし暗殺者  作者: ひょうすい
第3章 Bullying and revenge
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41GF The battle that began with destiny, part 2



 雷風は羅刹天の跳んだ高さを見てから1度しゃがみ、勢いよく上へ跳んだ。一気に近づいてくる雷風の姿を見た羅刹天は、恐怖感が一気に体中に伝わって、ゾッとした。

 羅刹天は雷風と高度が同じになった時、事前に生成していた魔法円から光線を一気に放ち、それを雷風が対処している間に、地上に向かって降りた。



 (戦闘を重ねるほど強くなっていく……。こいつ……、やるな……)



 雷風も遅れて地上へ着地したが、着地する直前に羅刹天は魔法円を形成し、光線を放っていた。それを正面から当たる直前にまであった雷風は、光線の軌道を真上へ逸らした。



 〔準備ができました。展開しますか?〕



 盾羽が、何かの準備ができたようだ。それを知っている雷風は、それを了承した。



 (何これ……)



 羅刹天は、自身と雷風を囲んでどんどんできていく盾の壁を見て思った。羅刹天は盾に触ると、変哲もないただの盾だった。だが、雷風にとってこの壁は、機動力を上げる最大のフィールドであり、この戦法を実戦で使うための試験という意味でもあった。

 雷風は地面を強く蹴り、盾を蹴り、盾を蹴り、その空間内を縦横無尽に跳び回った。それと同時に羅刹天の体に浅くダメージを入れていくのだが、そのスピードが尋常ではないためかなりのダメージが入った。



 (これは使えるな)


 〔解除していいぞ〕



 雷風は盾羽にそう伝え、盾を全て消した。



 「羅刹天だったか? お前と戦ってだいたいわかった」



 羅刹天は、雷風の言っている意味がわからなかった。体は自動再生するため、意識して再生させる必要はないのだが、何を言っているかがわからなかったため、意識して再生させることで再生速度を上げた。



 「お前、十二神で孤立してるだろ?」



 その時、全てが読まれたことを羅刹天は感じざるをえなかった。この戦いの間は武人のような人造人間になっていたのだ。だが、今の精神状況まで読まれているような気持ちになったのだ。



 「まあ、お前がどういう状況なのかは問わない。けどな、俺はお前を殺そうとは思わない」



 羅刹天の心の中には、何か足りないものがあった。それは、プレッシャーという重い存在を支えるものだ。これまで羅刹天は、プレッシャーという重い存在を、心のバランスだけで支えてきたが、そのバランスが崩れたらプレッシャーも同時に落ちてくるのだ。それを今、一気に支えられたように感じた。



 「鬼頭 雷風。あなたはさ、人造人間の(コア)に触れたことってある?」



 唐突な質問だった。それは誰もが感じることだろう。だが、羅刹天は信用しようとする心が生まれたのだ。その心に正直になって質問をしてみた羅刹天は、雷風がどんな答えを残しても、答えを残してくれること自体が嬉しいのだ。



 「いや、斬ったことはあるけど手で直接(コア)に触ったことはねぇな」


 「体の中にロストエネルギーがある者は、人造人間の(コア)に触れることで、触れた人造人間のの能力を使用することができる。けど、それを使えるのは(コア)に触れている間だけ」


 「へぇー……」


 (結構ガチで初めて知った……)



 すると、羅刹天は自身の左手に小さな(コア)を生成した。その左手を雷風の方へ出し、雷風に触らせた。すると、雷風の体の中にあるロストエネルギーが、明らかに反応していることがわかった。



 「……体内のロストエネルギーが結構反応してるぞ」


 「そう。それは私の能力が使える証拠。けど、左手を離すと?」



 羅刹天は雷風の手を離し、(コア)を消した。



 「体内のロストエネルギーの反応が消滅して、能力が使えなくなる」



 ここで、雷風の中に1つの疑問が生まれた。その疑問は至ってシンプルなものであり、戦わなければ更に深まっていただろう。雷風はその疑問を率直にぶつけることにした。



 「何故俺にそんな情報を教えた」


 「簡単だよ。十二神を壊滅して、天城 神月を殺してほしい」


 「神月は仮にもお前らの主だろ? 何故殺したいっていう感情が生まれる? それに十二神もだ。何故俺が殺さなければならない?」



 その時、羅刹天は少し悲しそうな顔をした。



 「私はあいつらが許せない。だから強くなって殺す。それの手伝いをしてほしいんだよ」


 「……それはさ、『お前の友人もか?』」



 雷風は戦闘をして羅刹天の全てを知った。そのため、神月を殺してほしい理由、十二神を壊滅したい理由、そして何よりも、友人さえも殺したいと思った理由を知っている。だが、それを口で言わせたのだ。決して性格が悪いからということではない。雷風は、気にかけているからこの行動に出ているのだ。自分の口で言わせるということが、精神が壊れかけている状況の中では一番大切なのだ。



 「……支配されている状況で生かしてあげても何も嬉しくないと思う。だから殺してあげて自由にしてあげたい……」



 弱々しい声で話した。これが羅刹天の本音だと理解している雷風は、これが本当のことだとわかっていた。だからその時、雷風は羅刹天にこう言い残した。



 「一回ビルドの本部に帰ってその人を救おうと努力しろ。それでも無理ならここに来い。俺は屋上にいる」



 その言葉と同時に、雷風は屋上へと一瞬で跳んだ。少し遅れて羅刹天は大阪へ帰った。



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