36GF The sudden reality is the two characters "despair"
翌日、十二神内での総合的な順位付けをするための試験が行われた。それの結果が発表された時、羅刹天の人生を大きく狂わせた……。
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「……火天?」
羅刹天はこちらに走ってくる火天を見ていた。そして、火天はすぐに羅刹天のいる場へと着き、話し始めた。
「順位見た?」
「いや、まだ見てないけど……」
「じゃあさ、一緒に見に行こ?」
「いいよ。今から行こ」
そして、順位が貼り出されているところへ着き、羅刹天と火天は順位を確認した。
「最下位……」
「そんなに落ち込まないでよ……」
順位の結果は、火天が4位、羅刹天が12位だった。十二神は、名前の通り12体の人造人間から構成されており、その中で順位を決めるため12位まである。その中で12位だった羅刹天は、酷く落ち込んでいた。火天は慰めるように動こうとしたが、誰かに止められた。
「やめとけ」
「なんで?」
止めるように言った者に、慰めてはいけない理由を火天は聞いた。すると、火天の耳に衝撃を与えるような一言がその者から注がれた。
「最下位、しかも成績も最悪。そんなやつに慰める言葉など無い。慰めるだけ無駄だとお前は思わないのか?」
「……は? 梵天……。……いや、お前……。殺されたいのか?」
火天は鬼の形相で梵天を睨んだ。その時、火天の後ろから誰かが歩いてきた。
「おいおい火天、それまでにしておけ。梵天の言っていることは事実だ」
「お? 帝釈天か。結果見にきたのか?」
「違う。この喧嘩を止めに来たんだよ」
帝釈天はなんの物怖じもせず、羅刹天へ近づいた。そして、羅刹天の横腹を蹴って離れた壁へと打ち付けた。
「こうやって指導しないといけないだろう?」
羅刹天は、梵天や帝釈天の態度に苛立ちという感情は抱いていなかった。「自分が強くあればこのようなことにはなっていなかった」ということをずっと考えており、自責の念に苛まれていたのだ。
その事を知らない火天は、激しい怒りを梵天と帝釈天へ放つと共に手を超高温の炎で燃やしていた。
「羅刹天。少し来い」
火天の腰ほどの身長しか持たない者が、超高温の炎で燃えていた手を取った。
「は、はい……」
その者は火天の手を離した。
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羅刹天はその者に連れられて、荒廃した大阪のビルの屋上にいた。
「毘沙門天さん、まさかあなたも火天を……」
「俺は奴らとは関与しようと思わない。だが、奴らと関わろうとするのは、お前と火天にとって最善の手ではないだろう」
「推測だけで動くのはよくない、毘沙門天」
羅刹天のいたビルより高いビルの屋上から、誰かが羅刹天のいるビルへ移動した。そして、その者は毘沙門天に向けて忠告した。
「お前なら確証が持てるのか? 焔摩天」
「ああ」
自信を持って言った焔摩天は、羅刹天に言った。
「お前は自分の思ったように行動しろ。だが、火天とは関わらない方がいい」
「なんで?」
羅刹天は、火天と関わってはいけない理由を聞いた。すると、焔摩天の口から驚きの言葉が出た。
「火天はお前と関わろうとしない。というかできないだろうからな」
「その訳は?」
焔摩天が言ったことに納得することができない羅刹天は、火天が羅刹天に関わることができない理由を聞いた。
「帝釈天に『支配』されているからな。意思を支配、体を支配、行動を支配されている火天に、お前が会ってどうにかなると思っているのか?」
唐突な現実を突きつけられた羅刹天は、絶望していた。目を逸らすこともできない、逃げることもできない、信用できる友すら失い、何もできることがなかった。
「……ならない」
「まあ、俺と毘沙門天は奴らの行動自体に賛成しているわけではない。どちらかというと反対側だ」
「羅刹天、お前ができることは1つだけだ」
「1つだけ……」
「そう簡単に答えを教えるわけにもいかない。それを自分で見つけ出すというのも大切だからな」
毘沙門天と焔摩天はそう言い残し、その場を去った。
「自分にできることは1つだけ……」
羅刹天は、荒廃した大阪をしばらく歩いていた。
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一方、火天は梵天と帝釈天の前にいた。
「火天、お前は羅刹天の何なんだ?」
「私は……」
「友なんて言うなよ? 笑い転げるからな」
梵天は火天のことを嘲笑いながら言った。それと同時に、帝釈天は能力を発動した。
「洗脳したぞ、梵天」
「おう、ありがと」
帝釈天が完全に制御した火天の鳩尾に、梵天は勢いよく拳をぶつけた。
「いやー、こんなにいいサンドバッグは他に無いな」
「俺も殴らせてくれよ」
「殴ってみろって。マジでこれ良いぞ」
梵天は帝釈天に殴ることを勧めた。その言葉を聞いた帝釈天もまた、火天の鳩尾に拳をぶつけた。火天は痛がる顔を一切しなかった。
「お前の支配能力、やっぱり最高だな」
「素材もいいからな。まあいいサンドバッグになるのは必然だろ」
そう言った2人は、日が落ちるまで火天を殴り続けた。




