34GF A school of such a size that it is completely pointless
翌日、雷風達は編入先の学校へ向かった。ネットで調べると「家から徒歩30分」となっていたのだが、雷風達はビルの屋上を飛び回って移動していたため、予想到着時間よりかなり短い時間で到着した。
「校門でかいな。市が管理してるってのもあるけど、こんなにでっかくする必要あるか?」
雷風の疑問に、慧彼は確証がなかったが答えた。
「あれじゃない? 仙台にある有名な文化祭で、学校入るための受付用じゃない?」
「あー、なるほどな」
雷風はインターホンを押した。すると、そのインターホンから声が聞こえた。
「用件を」
「編入してきた鬼頭 雷風なんですけど、学校見学と聞いたので早めに来させてもらいました」
「わかりました。中へどうぞ」
その声が雷風達に聞こえた時、正門の大きな扉が自動で開いた。
「あ、開いた」
白夜がそう言っている間に、全員校舎の中へ入っていった。それを追いかけるように白夜は校舎へと入っていった。
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「ここが広場的な感じか?」
「学校に噴水って……、金あるな~」
雷風達は広場にいた。地面は芝生で寝転がることができ、中央には大きな噴水がある。校舎側にはベンチがあり、憩いの場として使われることが多い。
雷風と白夜はベンチに座って、寝転がっている慧彼と風月、広場内を探索している盾羽と霞を見ていた。
「もうそろそろ時間か」
スマホで時間を確認した雷風は、全員に次のところに行こうと提案した。
「次行くか?」
「どこに何があるのかは大体把握しました。次に向かっても大丈夫ですよ」
「同じく」
盾羽と霞は、広場の構造などを目で見て理解した。
「寝転がりたい~」
「同じく~」
慧彼と風月は、芝生から離れようとしなかった。ベンチから立った雷風と白夜は、慧彼と風月に近づいて言った。
「置いてくぞ」
「置いてくよ」
雷風と白夜は同時に声をかけた。すると、慧彼と風月はゆっくり立ちながら言った。
「あ、それは迷子になるやつだ」
「雷風~、それはダメだって~」
雷風と白夜が慧彼と風月の元を離れて次の場所へ向かうと、慧彼と風月はその後をついていった。
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次に雷風達が向かったところは、体育館だった。それは、バスケットコートが4面まるごと入るほどの大きさであり、それでも余裕があるというスケールが物凄く大きい体育館だった。
「……広くね?」
「うーん……、……これは広いね」
「バスケットコート4面入ってるじゃん。それでも余白はしっかりあるし……」
体育館のあまりの大きさに、全員驚いていた。正門も大きく、広場もあり、体育館も広い。それは、学校自体のスケールが大きいのだと雷風は考えた。
「アクションとかで使えそうだねぇ~」
「映画監督の目線で体育館を見るな」
慧彼がふざけながら入り口から歩いている間に、風月はもうステージの上に立っていた。
「ここから見ると、入り口で見た以上に広く見えるよ~」
体育館の大きさは、大声で喋らないと声が届かないほどの広さであり、風月の声はギリギリ届くくらいであった。
もちろん、この学校にも部活動はある。その中でバスケ部やバレー部、バドミントン部、卓球部、ハンドボール部、ドッヂボール部が体育館で練習をしている。この体育館の使用方法だが、バスケ部とバレー部、バドミントン部と卓球部、ハンドボール部とドッヂボール部の組み合わせで、交代交代で使用している。
そして、慧彼と白夜ははどの部活に入ろうかと悩んでいた。
「ねぇ白夜」
「何?」
「どの部活入る?」
「入るんだったら同じ部活の方がいいよね」
その会話を雷風は聞いていた。部活に入ったことがない雷風は、部活に入ったことがないなりにアドバイスをした。
「お前ら部活入るのか」
「入るよ?」
「入るよ?」
慧彼と白夜は同時に返事をした。
「部活入ったことねぇけど……、まあ一応アドバイスだけはしとく。好きなところとか、入りたい部活に入れ。周りに流されたりすんなよ? 後で後悔するかもしれんからな」
その言葉を聞いて、慧彼は話し方に壁を感じた。そこから感じたことを、そのまま雷風と風月に伝えた。
「え? 雷風と風月は部活入らないの?」
「入る気はないな。今のところは」
「私もないね。私と雷風は放課後にやることが残ってるから」
即答だった。
「まあ、仮入部期間くらいなら見に行ってやるよ。……保護者目線でな」
「……あの人達は何してるんだ」
白夜が向いている方向には、体育館のサイズ、窓の数、床にある印の意味などを調べていた盾羽と霞がいた。
「もうそろそろ校長室行くよ」
その声に気づいたのか、盾羽と霞はすぐに戻ってきた。
「調べれたの?」
風月は盾羽に質問をした。
「はい、慧彼さんが気づいたときにはもう終わってました」
「じゃあ調べてたのは何?」
「演技ですね。霞さんの命令です」
「言っちゃうんだそれ……」
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雷風達は、校長室の前に着いた。雷風は扉に2回ノックし、校長室へ入った。その後ろから全員が校長室に入った。
「君達が今日からこの学校で授業を受けてくれる
子達かな?」
「まあ、そうですね。書類だけで会話してたから顔とか声とかわからないですもんね」
「まあ、そちらの事情は把握しているよ。不審者や人造人間がこの学校に侵入した場合は君達に全て対応してもらうよ」
「あなた達の安全だけが完全に保証されてる回答をありがとうございます」
「それでは……」
校長先生はある書類を机の上に出した。
「瑠璃 霞、鬼頭 風月は3年B組、鬼頭 雷風、裁断 慧彼、護神 盾羽は2年A組、満月 白夜は1年C組でいいかな?」
「はい、全然問題ないです。全員同じクラスにしてもらった方がいいですし」
「では、各教室へ向かってくれ」
雷風は校長室から出ようとしたとき、何かを思い出したかのように引き返した。
「あ、ちょっといいですか?」
「何かな?」
「俺は基本的に屋上にいます。人造人間がもし、上空から襲ってきた場合に対処できないので」
「わかった。鬼頭 雷風は基本的に屋上にいることを許可する。教室に戻るタイミングなどは完全に任せる」
「ありがとうございます。失礼しました」
雷風は校長室を出た。
「んじゃ、各教室に向かってくれ。これからは自由行動だ。会話は常に無線でな。んで、無線繋がってるよな?」
全員は無線が繋がっていることをチェックし、繋がっていることを雷風に伝えた。
「よし。んじゃ、放課後に広場のベンチ集合な」
そう言うと、3組はバラバラの方向に歩き、自分の教室へ向かった。




