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断罪せし暗殺者  作者: ひょうすい
第2章 過去という信念
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30GF 真実という深淵



 慧彼達は宮城県上空を飛行していた。



 「……あの光って何?」



 先頭を飛んでいた風月は、全員に謎の光について聞いた。



 「レーザーかな? 空中から出てるみたいだし」



 風月は不思議に思い、斬撃を消して光の出ているところの下へ降下した。それを見た慧彼と盾羽、霞もまた、風月の後を追って降下した。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 白夜は着地すると突然、アトミックアニーから警告された。



 《警告、正体不明の人造人間が4体、高度2000mから降下中です。戦闘になる可能性があります》


 (……上?)



 白夜は上を見ると、風月が上空から高速で降下してきていた。その後ろに慧彼と盾羽、霞の3人が降下していた。



 《今私が見てるのが正体不明の人造人間?》


 《はい》


 《あれは私の友達だよ》


 《そうでしたか。特定の人造人間のロストエネルギーの密度を計算、……完了。対象の敵性感知を解除しました、マスター》


 《ありがと》



 風月は着地した。そしてその後に慧彼と盾羽、霞が着地した。少しの煙が上がったが、安全に着地した。



 「白夜、雷風は?」



 慧彼が白夜に雷風の居場所を聞いた。すると、白夜は自分の後ろを振り返って指を指した。その先には、アトミックアニーの範囲攻撃から逃れた人造人間を狩っている雷風がいた。それを見た風月は、雷風のいる方向へ広範囲の斬撃を飛ばした。



 (この能力……、姉さんか?)



 雷風は人造人間を切り上げながら、上へ跳んで斬撃を避けた。雷風の周囲にいた人造人間は全員、(コア)を的確に斬られて消えた。



 (あ、全員いるのかよ)



 雷風は風月の元へ行き、頭を下げた。



 「ごめん姉さん。何も話せなくて……」


 「私は別に怒ったりしてないよ。謝ることでもないしね。人なんて誰でも悩みを抱えるものだよ」



 風月は雷風を撫でながら話した。



 「悩みが爆発するなんて本当に誰でもあるものだよ。……私だってあったし。まあ、謝るんだったら私じゃなくて慧彼達にしてきた方がいいよ」


 「……わかった」



 雷風は慧彼達の元へ行き、同じように頭を下げた。



 「緊急任務、送らせるように言ったのは俺だ。本当にごめん」


 「あー、そんなの別にいいよ」



 慧彼はすぐに返答をした。それに続き、盾羽達も雷風に対して言った。



 「頭を下げてください……。悩みなんて誰でもあるじゃないですか」


 「これからはしっかり、外に出る用件を言ってから出てね」


 「謝ることじゃない」



 盾羽は雷風の頭を上げた。



 「まあ、そんなことは今どうでもいいんだよね……」



 白夜はそう言った。それは、地下の入り口から人造人間が続々と出始めているからだ。



 「あそこからビルドの本部に入れると思う。中は人造人間だらけだと思うから」



 その時、慧彼は戦艦のことを思い出した。



 「そういやあそこも人造人間いっぱいいたよね」



 戦艦のことを知らない白夜と雷風は、緊急任務先のことかと思って中へ入ろうとした。



 「俺はまっすぐ突っ走る。とりあえず、ボスの部屋だと思う部屋以外は全て入って人造人間を狩れ。ボスの部屋だと思わしき部屋を見つけたら即行、俺に言ってくれ」



 全員は頷き、雷風は地下への入り口へ向かった。



 (この人造人間の量はどうにかしねぇとなぁ……)



 雷風は刀を使い、迫る人造人間達の(コア)を的確に狙って斬りながら地下へと入っていった。その後を追って慧彼達も地下へ入った。



 (地下って確か2階までだったよな……。なんでこんなに下まであるんだ?)



 地下2階とは思えない程深いところにあったビルドの本部は、人造人間達が溢れていた。



 「人造人間……、やっぱり多いな……」



 雷風の前には、正面、右、左の3つの道があった。



 〔入ったら3つの道がある。俺は正面に向かうから、各々決めて進んでくれ〕



 雷風は無線でそう言い、正面にいる人造人間達の(コア)を斬りながら進んだ。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 地下深くまで降下している慧彼達は、雷風の無線通信を聞いて作戦を立てていた。



 「私は雷風の後を追う。だから慧彼と盾羽は右、白夜と霞は左に行く感じでいい?」


 「いいよ」


 「わかりました」


 「異論無ーし」


 「それでいいや」



 風月がそう提案すると、全員了承した。そして全員が着地すると、一斉に自分が向かうべき方向に向かって走り出した。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 慧彼と盾羽は右へ走った。すると、走ってすぐに大量の人造人間が道を塞いでいた。



 「数で押し切ろうとしても意味ないよ」



 慧彼は能力を発動し、アンバーの瞳をマルーンの瞳に変化させた。



 「串刺し」



 慧彼は、自分の背後に大量の黒い天使の輪っかのようなものを生成し、それのひとつひとつから槍を射出した。それは人造人間の(コア)を的確に貫き、大量にいた人造人間があっという間にほとんど消えてしまった。慧彼の攻撃から生き残った人造人間は、後退しようと走っていた。それを逃さんとする盾羽は、鋭利な盾を出現させて追尾(ホーミング)弾のように飛ばした。それは(コア)を的確に貫くと共に、逃げようとしている人造人間の元へ向かう。それを、盾羽は全員倒すまで続けていた。



 「殲滅完了ですね」


 「とりあえず先に進むしかないね。ここに来た目的は「ここにいる全ての人造人間の殲滅」だし」



 人造人間を倒しながら進んでいくと、そこには1つの大きな部屋の扉以外何もなかった。



 「ここ以外ってどこにも行けないよね……」


 「壁全体伝って移動してましたもんね……。それでもないってことは、ここは一本道ということでしょうね」



 慧彼と盾羽はその部屋の中に入った。入ると電気が続々とついていき、全ての電気がついたときには、正面に巨大な人造人間1体が現れた。それと同時にありとあらゆる扉はロックされ、その上に鋼のバリケードが張られた。



 「倒さないと先には進めなさそうですね……」


 「とりあえずこいつ倒すか」



 その時、人造人間が唐突に喋りだした。



 「誰ダ」


 「自我あるんだ……」


 「貴様達モアルデハナイカ。貴様達ハ人造人間トシテ全ウニ生キテイルノカ?」


 「……私たちが人造人間として全う生きているというというのはどういうことですか?」



 盾羽は、なぜ自分達が人造人間であることを知っているのか聞いた。それは心に思ったことであり、会って短期間で知ることは困難であると予想したからである。



 「言葉ノ通リダ。貴様達断罪者ノ「鬼頭 雷風」以外ノ4人ハ、全員人造人間デアル。今、私ガ言ッタコトハ全テ本当デアル」



 その情報を明確に知ってることに驚いた盾羽は、冷静さを保って話した。



 「……それを証明するデータはここに存在するんですか?」


 「存在スル。ソレヲ貴様達ガ知ル方法モアル。ソレハ、私ヲ倒シ奥二進ムトコレマデビルドガ行ッタ、人造人間二関スル全テノデータガ存在シテイル」


 「あなた親切なんだね」


 「私ハ奴ガ嫌イダカラナ」



 そう言うと、人造人間は戦闘体勢に入った。それに反応するように慧彼と盾羽はすぐに戦闘体勢に入った。



 「カトイッテココデ簡単二倒レルワケニハイカナイ。ココデ消エテモラウ」




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