3GF 防衛者
休み時間になると、雷風と慧彼は3組の前にいた。校長先生からスマホに詳細なデータが送られているため、見た目、性格、趣味、身体スペックなどだいたいどのような人物なのかはわかる。
「あれじゃね?」
「確かに……」
雷風が発見したのは、データとほぼ全てが合致している生徒。それは、大量の生徒に囲まれていた。その者が3人目の断罪者だと思った時、雷風とは目を見開いていた。
(あれが断罪者か……)
(ちょっと変な感じの子かな……?)
すると、雷風と慧彼が見ていた恐らく断罪者と思われる生徒が近づいてきた。碧眼と青髪の肩にかかるくらいの美女だった。
「どうしたんですか?」
その者は雷風に話しかけた。
「いや、何もない」
「そうですか。それでは」
雷風と慧彼は、一度教室に戻って詳細を確認していた。
「あいつだよな?」
「うん、送られた情報と何も変わらなかったよ」
護神 盾羽。3月1日生まれの16歳。14歳で断罪者に入団。悪人以外は絶対に殺さず、騙されたりすることも多い。
「確かに特徴は当てはまってんだよな……」
「放課後呼び出しておこうか?」
「よろしく」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
そして放課後、慧彼は盾羽に話しかけた。
「ちょっといい?」
「はい、何の御用ですか?」
「君に用があるんだけど、ちょっと一緒に来てくれない?」
「……わかりました」
盾羽は訳もわからないまま、慧彼の後を着いていっていた。そして先導していた慧彼が校長室に入り、盾羽も校長室に入った。
「連れてきたよ」
「わかった。んじゃ、始めようか」
「……何をですか?」
雷風は盾羽に座るように促し、ソファに座らせた。そしてソファの前にあるテーブルの上に問題用紙を置いた。
「これを解け」
その言葉で出された圧は息苦しいものだった。早くやらないといけないという精神的な圧迫感と共に、盾羽は問題を解き始めた。
盾羽は問題を解き終わり、雷風に問題用紙を提出した。すると、答えは慧彼と全く変わらずDANZAIであった。その回答を横から見ていた慧彼は、盾羽の方を向いて言った。
「君が防衛者で合ってる? 盾羽」
「え? まあ……、そうですけど……」
「これで残りは2人だな」
雷風と慧彼の話している内容が全くわからない盾羽は、状況の説明を頼んだ。
「どういう状況なのか説明してください」
「あー、忘れてた。じゃ、説明よろしく、慧彼」
「人使い荒くない? ……まあわかったけど。私達がここにいるのは部活の一環。それでこの部活の名前、帰宅部って言うのは今やってる活動に全く関係ないよ。実際は断罪者を集めるためだけに作った部活だからね。まあ、私が判定者の裁断 慧彼。」
「俺が暗殺者の鬼頭 雷風」
「なるほど……」
「あとは覆滅者と滅罪者だね」
「そうだな」
雷風は危惧した。今の断罪者が自分以外全員女性であることを。
「待てよ? この調子でいったら俺以外全員女になるんじゃね?」
思わず口に出ていた雷風の言葉を聞いていた盾羽は、雷風にとって絶望的な答えを返す。
「雷風さん。この他に1人、断罪者を知っているんですが女の人でしたよ」
「あっ……、そう。ありがと」
その時、ドアを開けて入ってきた校長先生が全員に言った。
「覆滅者と滅罪者の情報さ、スマホに入れようか?」
「はい。是非入れてください」
そう盾羽は言うと、全員のスマホに覆滅者と滅罪者の詳細なデータが送られた。雷風は送られた瞬間にそのページを開き、急いで性別の欄を見た。
「あー……、もうダメだ。昔は男同士で仕事してたんだけどな……」