28GF 戦艦という脅威
ガベルに乗って上昇していた慧彼と風月の目にはは、飛行船らしき物体が見えた。その時、風月は思ってしまった。そしてそれを口にして慧彼に言った。
「あれ絶対に飛行船じゃない。飛行戦艦」
「あれ? 違ったかぁ……」
「まあ、とりあえず乗り込むよ」
「はーい」
慧彼と風月は、戦艦へ向けて思いっきり跳んだ。跳んだ際に慧彼はガベルを消した。
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一方、戦艦の中では警報をあらわす赤のランプが点滅しており、サイレンが中で鳴り響いていた。那覇の大通りで行動していた人造人間は、戦艦が侵攻されたことで自動的に戦艦内へ転送された。
「前方甲板上空にて、侵入者を確認。直ちに向かえ」
艦内に響くアナウンスに従い、人造人間達は前方甲板向かっていた。その人造人間の数は、5万をゆうに越えていた。
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慧彼と風月は、続々と集まって陣形を形成していく人造人間達を上空で見ていた。
「ちょっとあの人造人間達どうにかしないといけないよね……」
「任せたよ」
慧彼に人造人間のことを任せ、風月は斬撃を具現化させて、その上に乗って操縦室へと向かった。
「えぇ……、まあするけどさ……」
慧彼は能力を発動し、アンバーの瞳がマルーンの瞳に変化した。
「内部破壊」
慧彼がそう口にすると、慧彼の視界に入っている人造人間は核を内部から破壊されていった。
「なんだ!?」
慧彼の能力が発動する時間は個人差があり、先に灰となってすぐに灰すら消える姿を見た人造人間達は、反抗する手段もなかった。ただ、死ぬのを待つしかない恐怖しか残っていなかった。攻撃しようと思ったが攻撃ができない。それは……。
「よし、全部消えたね」
全員が灰となって消えていたからだ。
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一方、盾に乗って上空へ向かっていた盾羽と霞。降ってくる人造人間を倒しながら進んでいくのだが、人造人間の降ってくる数がかなり多いため、最短ルートで乗り込むには人造人間を倒していくしかないのだ。
「数が多いですね……」
「ま、倒してけばいいんだから楽だろう?」
「私の能力知ってます?」
「わかってるよ。だからさ、これを持ってきたんだ」
霞はポケットから盾のフィギュアを取り出した。手の上で収まるサイズのフィギュアに、盾羽は見覚えがあった。
「あの……、それってどこから取りました?」
「え? 盾羽の部屋からだよ」
「ですよね。前にUFOキャッチャーで取りましたからね」
「それを持ってきたんだよ」
盾羽は、霞の言っていることに理解が追い付かなかった。
「私ね、各断罪者に合う武器を作ってるんだ。まあ、雷風から教えてもらった技術だけど」
「ということは、それは私専用の武器ということですか?」
「そういうこと。特定の人造人間に触れたら吸収されるから」
「……とりあえず貰いますね」
霞は盾羽に、盾のフィギュアを渡した。それを受け取った盾羽は、盾のフィギュアが体の中に吸収されていった。
「……まさかあのフィギュア、改造しました?」
「したよ」
「あのフィギュアとるの苦労したのに……」
盾羽は頭を抱えて言った。だが、それはもう戻すことができない。
(……もうどうしようもないんですよね)
「……まあ、そんなに考えている暇なんてないですね」
盾羽は能力を発動し、鋭利な盾を瞬時に、そして大量に生成した。
(出せる絶対数がかなり上昇してますね……。それに……)
盾羽は「最強の盾」と呼ばれている海上自衛隊の戦艦、イージス艦を大量に生成した。
(盾とつくものなら多分出せるんですよね……)
イージス艦から大量の砲弾が放たれ、降下していく人造人間達を殲滅していった。砲弾が核を破壊し、消滅していく姿を見た霞は……。
「……化けた」
攻撃手段を新たに手に入れた盾羽は、イージス艦達を全て消した。そして霞を連れて、人造人間達が降下をしている戦闘機の格納庫へ侵入した。
「……私能力使えない」
霞はそう言うと、近くにいた人造人間達から血を大量に収集した。その血で剣を生成した霞は、血とロストエネルギーをその場で混ぜて擬似的なレーザーを作り、それを剣先から放った。
「まだ制作途中だけど、私強化武器まだ無いからなぁ……。ま、盾羽には負けるわけにはいかないな」
「霞さん。最初からかなり口調変わりましたね。人間らしくなったというか……」
鋭利な盾を大量に放ち、人造人間の数を着々と減らしていっている盾羽は、初めて会った時の霞の姿とはかけ離れている今の霞を見ていた。話すという機会があったことで変わったのだろうと、盾羽はそう思っている。
「それさ、失礼だと思わない?」
「褒め言葉ですよ」
「結構トゲあるけどね」
その時、その場にいた人造人間達が撤退していった。撤退していく意味がわからなかった盾羽だったが、霞は格納庫を物色し始めた。
「これ……、結構やばいやつだと思う」
「どれですか?」
「これこれ」
霞が見ていたのは、隠して開発していた核爆弾だった。
「核でこの戦艦ごと爆破しようという魂胆でしょうか……」
「ま、とりあえずこの核はしっかり処理しなきゃね」
霞は手で核爆弾を触り、ロストエネルギーを核爆弾に流した。そして、ロストエネルギー本来の効果である「物体を消滅させる」というものを発動し、核爆弾を破壊させることなく消滅させた。
「盾羽、他にも核爆弾がないか探して。あったらその瞬間にロストエネルギーの効果発動させて核爆弾を内部から消滅させて。隅々まで消滅させてね」
「わかりました。とりあえず分担して進めましょう。会話は無線で」
「了解」
盾羽と霞は、分担して格納庫にある核爆弾の消滅をしていった。




