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断罪せし暗殺者  作者: ひょうすい
第2章 過去という信念
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23GF 共闘という繋がり



 「間に合った……」



 雷風は白夜のことを視認した。その時、複雑な感情が心をよぎった。



 (あいつ、……俺の居場所を特定した? どういうことだ? まさか姉さんが……。いや、それよりもなんでいるかだ。緊急任務を与えたはず……)



 雷風は考えた。すぐに結論が出た。考えたくもなかった結論だが、それ以外の答えが雷風に出すことができなかった。



 (こいつめっちゃ速く任務終わらせたのか……。もう……、こいつらを巻き込まずにやるっていうのは無理なのか……)



 心の中で嘆きながら戦闘をしていた雷風に、白夜は人造人間をなぎ倒しながら語りかけた。



 「あのさ!? 雷風がなんて思ってるかは私にはわからないよ!? けどね!?」



 人造人間の(コア)を的確に潰しながら語りかける白夜の姿は、緋く染まっていた。そして、顔に血がかかったときに映る黒い瞳の先には、同じく緋く染まっている雷風がいた。そこへ語りかけていく声は、どんどん大きくなっていった。



 「私たちは!! 雷風がどう思っててもついてくよ!! 死ぬまでね!!」


 「じゃあ俺がどんだけ離れたところに行ってもか?」


 「ついてくよ!!!」


 「お前らじゃ確実に死ぬところでもか!?」


 「ついていくよ!!!!」



 白夜のその意思の強さは、風月の話を聞いていた時から強くなっていた。風月が雷風に想う気持ちに共感していた白夜は、風月が協力しているのもあり、絶対に見つけ出さねばならないと思っていた。白夜は、意見を突き通すまで譲らないと決めていたのだろう。雷風はそんな気がしていた。



 「私たちはさ!! おせっかいだと思ったらいい!! だから!! 雷風は気にせずいつも通りいたらいい!!」



 人造人間がどんどん地下から押し寄せてくる。殺しても、殺しても、殺しても、殺しても。無限のように湧き出てくる姿を見続けた。雷風の体は体は徐々に疲弊していた。その中でかけられたこの言葉は、雷風の心の中にあったモヤモヤを消してくれた。簡単に言えば、吹っ切れたのだ。



 「……わかった」



 雷風は何か決めた目をし、人造人間達から距離を取った。そして、しまっていたアトミックアニーを取り出した。



 「おい!! 白夜!!」


 「え!?」



 雷風が白夜にそう呼びかけると、白夜の方へアトミックアニーを投げ飛ばした。いきなりのことに驚きながらもそれを取った白夜は、何故かそこにロストエネルギーを流した。



 (は? あいつ……、アトミックアニーにロストエネルギー流してんのか?)


 (なんで流してるんだろ……)



 白夜は、何故アトミックアニーにロストエネルギーを流しているのかが自分にもわかっていなかった。



 (……というか勝手に吸われてる!?)



 白夜はアトミックアニーに、自分の中にあるロストエネルギーを吸われていることに気づいた。白夜はとりあえず人造人間達から距離を置き、ロストエネルギーを吸っている状態のアトミックアニーの様子を見ていた。



 「認証。パスを接続完了。基本設定完了。『M65 原子砲』、起動」



 その時、いきなりアトミックアニーが喋りだした。その声は機械音でもなく、まるで誰かがアトミックアニーから語りかけているようなことばであった。



 「言うの忘れてたわ。それさ、適正者見つけたら壊れるか死ぬまで適正者のサポートするから」


 「それ先に言ってよ」



 雷風がそう補足している間にアトミックアニーは現状を把握し、白夜に提案をした。


 「能力を把握。敵に照準を合わせてトリガーを引けば、敵を一掃することができます」


 「ねぇ、脳に語りかけるみたいな感じでできる?」


 「テレパシーでしょうか」


 「まあ、そんな感じ」


 「可能です。実行しますか?」


 「もちろん実行でしょ」


 「実行開始。……完了。今すぐ移行します」



 その瞬間、白夜の脳にアトミックアニーの声が直接流れてきた。まるで心に思っているかのように話し、何故かそれを当たり前かのようにアトミックアニーは話している。



 《思念を送ることで用件を伝えることができます》


 《え? こんな感じ?》


 《はいマスター》


 (あっ、そんな感じね)



 落ち着いて状況を把握し、話し方を理解した上でアトミックアニーに用件を伝えた。



 《とりあえずこの人造人間達一掃するからさ、何か効率的な方法無い?》


 《自動的に補助し、少ないロストエネルギーで最大限の火力を出すことができます。ロストエネルギーの量は調整しますのでご安心を》


 《ありがと。それじゃよろしく~》



 白夜は非常に他人(ひと)任せである。



 「雷風、離れといて。ブッ放すよ。」


 「お、おう。」



 白夜は雷風にそう伝え、砲撃を打つ準備に入った。

 雷風は周囲の人造人間達を一掃した後、仙台駅を出た。それを確認した白夜は、仙台駅の天井を全て突き破って上空へと飛び、アトミックアニーを構えた。



 「じゃ、消えろ。」



 白夜はトリガーを引いた。その時、銃口から途轍もないロストエネルギーが放たれた。それはレーザーのようであり、夜では目立つ白い光を放っていた。仙台駅周辺までをも破壊し、仙台駅にいた人造人間達は全て蒸発した。月光に照らされた白夜の姿は、黒い影に身を包んでいた。



 「……すご。」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 一方、ワシントンにいた霞。ホワイトハウスを目の前にして、初めて口にした言葉は……。



 「……任務送るの絶対に適当でしょ。」



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