20GF 謝罪という会議
霞と盾羽に諭されてから3日が経った。学校に行っていない風月は、暇があればずっと考えていた。盾羽に言われた、「慧彼と白夜が怒っていたような、怖い顔で質問をしていた理由。」ことを。
(……)
風月は、そのことを考えながら昼食を作っていた。慧彼があそこまでして雷風を探そうとしていたのか。白夜があそこまでして風月の真意を探ろうとしていたのか。今の風月にはそれを読み解くのに精一杯だった。
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慧彼と盾羽、白夜、霞の4人が学校から帰ってきた。風月はそれに気づき、帰ってきた霞の元へ向かった。
「6時になったらリビングに全員集めることってできる?」
「あ、ああぁ……」
霞は少し驚いたように了承した。その時に、霞は風月の顔を見た。それは、3日前の泣き崩れそうな顔をしているのではなく、堂々としている顔をしていた。
(わかったのか……)
霞はその時、全てを察したかのような顔をして全員に声をかけに行った。
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そして6時、全員がリビングに集まった。ソファには慧彼と白夜、座椅子に座っている盾羽と霞。そして、ソファの前に風月が正座をしていた。
「集まってくれてありがとう」
霞はそう言って話が始まった。
「盾羽、お前が考えさせたこと。わかったらしいぞ」
「本当ですか!?」
盾羽は驚いた顔をして、風月の方を向いた。すると、風月は小さくだが1度、うなずいた。
「じゃあ風月、言いたいことを言え。」
風月は慧彼と白夜の方を向き、真剣な顔で話した。
「まず……、すみませんでした……」
風月は土下座をして謝罪をした。その時、慧彼お白夜は慌てた。
「え!?」
「いやいやいやいや、頭上げて頭上げて!!」
風月は頭を上げ、謝った理由を話した。
「私は雷風の行動を信じてしまうがあまり、みんなの気持ちを読み取ることをせずに対立してしまいました……。状況を搔き乱したり、雷風を探す時間を削って、本当に申し訳ないと思っています……」
そう言うと、風月はまた頭を下げた。そして、その状態のまま頭を抱えて話した。
「けど、私は雷風を失うことが怖いです……。だから私達の判断で雷風を失ってしまうのなら、雷風自身に判断を委ねた方がいいと思っていました。けど、みんなは雷風を助けるっていう行動理念で動いていることをこの3日で知りました。私だけが雷風を大切に思っているんじゃなくて、ここにいるみんなも雷風のことを大切に思っているんだと」
風月は顔を上げ、姿勢を元に戻して話した。
「私は雷風っていう存在に依存していたんだと思います。だから雷風を失うのが怖い。けどそれは私だけじゃないって知ったときに安心感を覚えました。私だけが雷風を支えているんじゃないって。みんなで雷風を支えていっているんだって」
その時、慧彼はソファから降りて、風月の前で正座をした。そして、慧彼は風月の頭を撫でた。
「私も言いすぎたよ。あれはキツすぎたと思ってる。風月さんがこんなに言ってくれてるんだったら、私もその気持ちに答えなきゃいけないでしょ?」
慧彼は両手で風月の手を触り、言った。
「だからさ、そんなに頭下げなくてもいいんだよ?」
すると白夜もまた、ソファから降りた。風月の前で正座をし、風月の頭を撫でた。
「私も悪かったよ。決して風月さんが悪いことをしたわけじゃないんだからさ。風月さんのしようとしたこともさ、また鬼頭君のためじゃん?」
慧彼はソファに座った。そして、白夜は風月を抱きしめた。
「私も悪かった。ごめん」
その時、慧彼と白夜、そして風月の間にあった大きな亀裂は、跡形もなく消えた。
「さて、全員が揃ったことで始めましょうか」
盾羽がそう言うと、全員は何を始めるのか疑問を浮かべた。
「何を始めるの?」
慧彼がそう言うと、盾羽は話した。
「まず、雷風君は風月さんの復讐のためにビルドの本部壊滅に行ってるんですよね?」
「う、うん……」
「風月さんは雷風君のいる場所、進むペースがわかるんですよね?」
「ま、まあ。一応わかるけど……」
風月がそう言うと、盾羽は話を進めた。
「では、今雷風君がどこにいるのかを言ってください」
「えーと。福島県の大橋川周辺。目的地は仙台駅ね」
「丁度半分っていうところですか……」
その時、白夜が提案をした。
「じゃあさ、明日の夜に仙台に行ったら自然に会うんじゃない?」
「そうですね。それで行きましょう」
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雷風が仙台駅に着くまで残り56時間47分16秒




