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断罪せし暗殺者  作者: ひょうすい
第1章 断罪者
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2GF 判定者



 慧彼は校長室の中に入った。先に入った雷風は、ソファに座ってテーブルにとある1枚の紙を置いた。



 「これは?」


 「問題用紙」



 そう、雷風が校長先生に作らせた物は問題であった。全部で6問、そして回答は「DANZAI」となる問題であった。規則性がわかれば簡単な話であるが、この問題の答えはアルファベットの数字として出されるため、普通ではわからないものであった。



 (普通に解いたら答えは4、1、14、26、1、9になるけど……。  ……あぁ、そういうことね)



 慧彼はアルファベットの規則性に気付き、問題用紙に大きく「断罪」と書いた。



 「正解、合格だ」



 雷風はそう言った。だが、慧彼は合格の意味がわからなかった。



 「合格?」


 「そう、合格」


 「どういう合格?」


 「まあ簡単に言う。お前は断罪者だ」



 雷風は慧彼のことを断罪者だと確信した。



 「まあ……、そうだけど……」



 慧彼は自分の正体を当てられたからなのか、少し動揺しながら答えた。だが雷風は慧彼の動揺している顔を見て、全く察すること無く話を続けた。



 「まあ、お前が今から入る部活は帰宅部って言う。だが、実際は断罪者を集めるための部活だ」


 「確かに断罪者は全国にバラけている……。けどそれをいっぺんに集めるんだったらさ、本部に全員呼ばせることもてきるじゃん」


 「……あのな。1つ教えておく。本部はそんなポンポン行くところじゃねぇ。だって俺本部に行ったのって断罪者結成の1回だけだからな」


 「え?私10回位行ってるよ?」


 「バカか、絶対お前怒られてんじゃねぇか」



 慧彼は雷風の発言に疑問に思ったが、質問をしたいという感情の方が高かったため、その方を優先した。



 「あ、聞き忘れてた。私は裁断 慧彼。コードネームは判定者。それで、あなたのコードネームは何?」


 「コードネームか。暗殺者」


 「……。え? ……暗殺者?」



 その瞬間、校長室に沈黙が流れた。



 「……そんなにおかしいことか?俺が暗殺者ってこと」


 「いえいえ、すごく光栄です」



 雷風が暗殺者だと理解した慧彼の態度は、タメ口から敬語へと急変した。



 「まさかあの『暗殺者』が今、目の前にいるんですから」



 雷風は、これほど褒められたことが人生で一度もなかったため、少し焦っていた。



 「俺ってそんなにすごいのか?」


 「もちろんですよ。3歳で暗殺を始めて6歳で断罪者入り……。こんなに凄いこと無いですよ」



 その瞬間、雷風は少し暗い顔をした。



 「大丈夫ですか?」


 「大丈夫だ。まあ、さっきも言ったんだが、この部活では全国各地にいるかもしれない断罪者をこの学校に集めるための部活だ」


 「そのために本部に行く必要は無い。それに多分、この学校にはもう断罪者はいる。それを探しに行って欲しい」



 雷風は長い説明をした。それを頷きながら聞いていた慧彼は雷風の言葉に対してすぐに返事をした。



 「なるほど。明日から早速探しに行きます」


 「任せたぞ。俺今日はバイトと仕事あるかるさ」


 「とりあえず帰りましょう」


 「そうだな」



 雷風は居酒屋でのバイトが終わり、福岡にいるターゲットを殺害しに向かっていた。



 (福岡か……)



 ターゲットは福岡にいる資産家の大富豪である。最近、ターゲットに関する悪い噂が立っており、罪を犯しても権力と金で揉み消すという非常に下劣な者である。



 (だからこの世の悪は消えないんだよ。こういう奴らがわんさかといるからな……)



 雷風は博多駅に着き、ターゲットの自宅内部へ簡単に侵入することができた。



 (いびきか……、うっさ……)



 ターゲットのうるさいいびきを頼りに、ターゲットのいる寝室へと簡単にたどり着いた。そして寝室の中に入り、頭を銃で撃ち抜いた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 帰り道、雷風はお土産を買っていた。雷風はいつも、他の都道府県に行った時に必ず、お土産を買って帰るようにしている。それは、寮に帰っても「旅行をした」という気分を残したいと思っているからである。今回のお土産は福岡、広島、大阪、愛知の4府県であり、食べ物からアクセサリー、グッズを買って帰った。



 (今日はいつも通りに寝よう。んで明日、いつも通りに起きて、いつも通りに学校に向かって、いつも通りバイトするか)



 そう思っていた雷風だったが、寮に帰ってきた時点ではもう蹉跌していた。



 「お帰り~」



 慧彼がいた。



 「なんでお前がいるんだよ、判定者」


 「慧彼って呼んでください」


 「わかった。けど早く寝させろ。徹夜はもう懲り懲りだからな?」


 「しょうがないですね。……というかそれ、なんなんですか?」


 「ああぁ、お土産。仕事で福岡行ったからな」


 「そうなんですか」


 「だから寝させろ」


 雷風は、慧彼が座っているベッドに無理矢理潜り込み、すぐに寝た。



 (……寝るところ無い)



 周りを見てそう確信した慧彼は、雷風の寝ているベッドに潜り込んで寝た。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 そして翌日、雷風が起きると慧彼に抱きつかれていた。



 (……こいつ夢遊病かよ。てかこんな奴が断罪者でいいのか?)



 雷風は冷静にこの状況を考え、慧彼を起こすことにした。



 (けどこいつ……、俺に抱きついてるから肩揺らせねぇしな……。かといって、俺の体を動かして慧彼の体を動かせるのはなんか嫌だしな)


 (よし、こういう時のデコピンだ)



 雷風は少し強く、慧彼の額にデコピンを放った。すると、慧彼は多少痛がって起きた。



 「痛いですよ」


 「悪く思うな。起きねぇから少し強くしただけだ。……てかなんでここで寝てんの?」


 「寝るところがないからです」


 「普通、前もって説明するもんじゃねぇのかよ」


 「まあとりあえず、学校に行きましょう」


 (あ、無視した)


 「まあ、朝食は作っとくからその間に支度しとけ」


 「はい!!」


 「うっせぇし敬語ウザい」



 雷風は、バイトと仕事の合間に買った食材を使って朝食を作った。雷風が食事を準備している間に慧彼は椅子に座っていた。



 「意外と早かったな」


 「まあ断罪者だから」


 「食ったらとっとと学校行けよ」


 「はーい」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 今日はリモートで全校朝会がある。雷風はいつも、教頭の話や教育指導の先生の話は無視しているが、校長先生の話の時だけは画面を見ている。……話は聞いていないが。というのも、校長先生が話すときだけは必ず、後ろに手話をしているものがいる。その者が雷風にメッセージを伝える役割を果たしている。もちろん、その者もマネジメントの関係者である。



 (なるほど、3組に断罪者がいると……)



 慧彼もその情報には気づいていた。



 (3組に断罪者がいる……)



 2人は共通の情報を確認していた。



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