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断罪せし暗殺者  作者: ひょうすい
第2章 過去という信念
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17GF 過酷という実験



 「は?」



 風月はそうリアクションを取ってしまった。



 「まあそうなるのも仕方がない」



 霞は一度、タバコを灰皿においた。



 「少し、私の仕事の話をしよう。それでさっきの理由がわかるかもしれないからな」


 「なるほど……」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 霞は、研究施設の壊滅の仕事を受けて網走に行った。



 「さて……」


 (専門は情報収集なんだけどな……)



 霞は網走駅を出てすぐにある、モヨロ人漁撈の像周辺で任務確認をしていた。



 (研究施設の完全壊滅。そのために水分の用意はできている。だが、遂行のプロセスには刑務所に行く必要がある……、か……)


 「よし、まずは網走刑務所だな」



 霞は地面を蹴って空を駆けた。

 霞は網走刑務所へ着陸した。そして、霞はスマホを取り出し、網走刑務所の看守長へ電話をかけた。



 「滅罪者です」


 「門の前で待っていろ」


 「はい」



 看守長は網走刑務所の門の前で待てと言った。霞は指示通り門の前で待っていると、看守が門の内側から現れた。



 「霞さん、久しぶりですね」


 「ああ、久しぶりだな大翔(ひろと)


 「では着いてきてください。」



 大翔という看守に歩いて着いていく霞は、マネジメントへの愚痴を言っていた。



 「諜報は大変だよ」


 「そうですか。名前から大変そうですもんね」


 「一応滅罪者なんだがな……」


 「マネジメントの実行部隊、つまり雑用ですからね」


 「私は何でも屋ではないんだがな」


 「断ればいいじゃないですか」



 大翔はそう提案した。それは、自分の職場がかなり雑用が多く、囚人への料理提供に刑務作業の監視、それに死刑囚の処刑。大翔は大きくこの3つの仕事を同時にしていた。それに、マネジメントがあることで数こそは減ったものの、大量の死刑囚の処刑。軽犯罪の増加で増えた囚人達、約10万人への料理を数十人で提供。それに約10万人の刑務作業の一斉監視、問題が起こればすぐに解決へと動く。それを年末年始以外の360日間常にするのだ。それが問題だと感じた大翔は、昼夜交代制を導入することを看守長へ直談判した。それは採用され、昼夜交代制が導入された過去があるため、大翔は霞にそう言った。



 「それは言ったよ。けど却下された」


 「ブラックですね……」


 「そっちも大概だがな」


 「いやいや、マネジメントのブラックさには敵いませんよ」


 「ちなみにこのくらいブラックなのは断罪者だけだからな」


 「まあ、世界の人からバレたらヤバいですからね。……着きましたよ」


 「ああ、ありがとう」



 大翔は休憩室へと帰っていった。

 霞はノックをし、看守長室へと入った。



 「失礼します、看守長」


 「ああ、座れ」



 霞はテーブルを境界にし、看守長と向かい合ってソファに座った。



 「来てくれて感謝する、滅罪者」


 「用件をここで聞けと言われたんですが?」


 「ああ、これだけは機密情報だからな。マネジメントにホイホイ渡すわけにはいかない。だから滅罪者、お前に直接聞かすというわけだ」


 「なるほど」


 「ここの刑務所から出所した者は、その後の全ての情報がデータとして入ってくることになっている」



 看守長はパソコンを触り、とあるページをモニターに写して霞に見せた。



 「これは?」


 「ネイソン・ブラッドレール、20年前までここに収容されていた者だ」


 「ネイソン・ブラッドレール……。まさかドイツの大統領ですか?」


 「そうだ」


 「ネイソンがいったい今回の任務にどんな関係が?」


 「まずだ、ネイソンは政治家である前に科学者であるイメージがあるだろう?」


 「まあ……、そうですけど……」



 ネイソン・ブラッドレール。ドイツの大統領であり、元科学者である異例の大統領である。しかも、ネイソンは何の成果もあげることはなかったが、何故か知名度だけはあるのだ。ネイソンは密かに研究成果をあげていたという噂すら立つほどである。



 「そこの研究チームの一員、白銀(しろがね) (まこと)の暗殺と、白銀がいる研究施設の壊滅だ」


 「なるほど」



 看守長はパソコンのモニターの画面を変え、白銀の詳細データを見せた。



 「白銀という男もまた、網走刑務所へ収容されていた?」


 「ああ。まあ出所はしたが、謎の研究成果がここに来た」


 「それは?」


 「ここに書いてある」



 看守長はモニターを指さし、そう言った。霞はそれを読んでいくと、言われたデータと合致した文を見つけた。


 『オケアノス実験の成功。地球の(コア)から抽出したロストエネルギーを人体に注入することで生まれる人造人間は、体が成人にまで急成長し、体の中に入った有害物質(ロストエネルギーは除く)は全てロストエネルギーにより消滅する。条件は、6歳の女児であること。

 その実験データを全て奪った白銀は、アルクイマ実験を成功させた。それは、同じ条件の被験者を4人に増やした上で、色々なパーツとなる能力の元と合成させる。といった実験だった。

 それを成功させた白銀は、「ロストエネルギー量を減らすことで他の条件でもできるのではないか。」という結論に至り、色々な年代の男女を街中から無理矢理拐っては実験をした。これをガドエラ実験と言う。ガドエラ実験の結果は、ロストエネルギーの正式な単位であるGFを用いた場合、350GF以上だった場合に、25歳までの男、27歳までの女は人造人間になることが立証された。その際、能力の元となる物を必要としないことを同時に立証した』


 この文を見た霞は、ありえないような顔をしながら自分の身にある異能の力を思い浮かべていた。



 (水の操作もこの能力の元から抽出したものなのか……)


 「まあ、これが今回の内容だ。覚えたか?」


 「要点は」


 「わかった。なら研究施設の場所はお前のスマホに送った」



 すると、霞に一通のメールが入った。



 (URL?)



 そのURLを開くと、街中にピンが刺されている衛星地図が写し出された。



 「そこが研究施設だ」


 「わかりました」


 「最後に言う。研究施設にいる者、人造人間は全て殺せ。つまり殲滅だ」


 「はい」



 霞はそう言い、看守長室を出た。



 (さて、次は殲滅か。久しぶりにひと暴れできそうだな)

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