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断罪せし暗殺者  作者: ひょうすい
第6章 仏独戦争
169/206

169GF ルーアン市街地戦 その5



 能力を使えるということは、全身を支配できているはず。全身のロストエネルギーが脳波の信号を受信し、ロストエネルギーが特定の変化を起こすことによって能力を発動する。人造人間はそういう仕組みになっている。だが、再生はできないということは、(コア)内にあるムドゲアリムス機構を使用できていないということ。ムドゲアリムス機構には、ロストエネルギーを消費して倍のロストエネルギーを生み出すという性質の他に、回復する部位に直接ロストエネルギーを送り込むという性質がある。逆に、循環するロストエネルギーは再生を目的として循環していないため、再生することはできない。その性質を使えていないから、再生できていないのだ。ムドゲアリムス機構が使えていないということは、(コア)を支配できていないということ。それに気づいた俺は、できるだけ早くもう一度隙を作るため、俺はロストエネルギーとラーシエンを体内で高速循環させた。



 〔戦力解放数値30%に到達〕



 すると、ロストエネルギーが発生させる電気がラーシエンと混ざって増幅し、稲妻となって雷風の体から溢れ出る。それを見たマルクトは、すぐさま雷風に向かって走って跳び、上から刀を振って攻撃を仕掛ける。それと共に能力も発動しており、硬度が上がった根を四方八方から生やして攻撃する。雷風は鞘にあるパネルを2回タップし、鞘を腰から抜いて右手に素早く持つ。



 (実験もしてない試作機能だが……。出し惜しみはできねぇな)



 鞘の刃を収納する側が鋭利になり、大和の刃に類似した。その状態で雷風は走ってマルクトの刀を弾き飛ばし、更に向かってくる全ての根を細切れにする。一時的だが二刀流になった瞬間を見たマルクトは、「どうやってあの一瞬で二刀流になったのか」という驚きがあった。

 雷風はパネルを2回タップし、元の鞘に戻して腰に刺す。マルクトも着地すると、エルヌモン通りのコンクリートを拳で破壊する。顕となった地表に触れると、そこへドス黒いロストエネルギーを大量に流し始める。



 「満開(まんかい)根雨(こんう)



 その言葉と共に、マルクトを中心とした半径1kmの円の周辺に100m越えの大量の桜の木が急成長して姿を現した。そこに元々あった建物は、桜の急成長の際に吹き飛ばされていた。

 桜の木は根だけが硬度上昇しているのではなく、桜の木全体が高度上昇している。幹が枝分かれしていき、たくさんの幹が形成されていく。そのひとつひとつがマルクトの支配下にあり、武器である。

 桜の木から生えている大量の枝が、雷風に向かって放たれる。これまでの根とは違って直線にしか動かないため、伸びる速度が段違いに速い。それを置き去りにするように雷風は走り出す。ヌフシャテル道路からエルヌモン通りに入ると、更に速度を上げる雷風。足元から根が現れたため、雷風は走りながら上へ跳び、襲ってくる根を斬る。



 (墜とす)



 マルクトは噴火口を雷風に向けるように3つの火山を生成する。火山にロストエネルギーを流し込むと、火山が噴火してマグマが直接雷風に降り注ぐ。雷風は咄嗟に鞘に大和を納め、腰から鞘ごと抜いて片手で構える。ラーシエンを込めて光線の火力を増幅させた雷風は、トリガーを引いて光線を放つ。

 雷風はマルクトの遥か上空で放物線を描くように飛んでおり、その際も照準をマルクトから一切離さず光線を放ち続けた。マルクトもそれに対応するため火山を生成し、光線をするように噴火させる。それは綺麗なアーチを描き、傍から見れば大型ショーを彷彿とさせるものだった。

 雷風はギリギリまで体を逆さまにした状態で光線を放つと、地面に手をついてハンドスプリングの要領で着地した。ふと前を見ると、そこには桜の木が50m先にあった。腰に大和を納めると、大和を抜きながら足にロストエネルギーを込めて、桜の木を一閃した。



 「起爆」



 雷風は切った後に気づいた。桜の木の中から大気中に溢れ出したニトログリセリンを。マルクトが放ったその一言と共に、桜の木の一本一本が巨大なダイナマイトと化し、一斉に爆発した。



 (嘘だろおい……!!)



 雨が降っていたため、大和にロストエネルギーを込めて雨で自身を膜のように囲って衝撃を中和させた。それでも衝撃は強く、約3km先の植物園まで吹き飛ばされた。



 「結構飛ばされたな……。早く戻らねぇと」



 雷風は足にロストエネルギーを込め、障害物を大和で切り崩しながらマルクトの元へ戻った。

 爆発から5秒後、ビナーの体からはドス黒いロストエネルギーが溢れ出ていた。それは支配の進行が加速している証であり、同時に自身の居場所を表す目印でもあった。雷風はその時、既にマルクトを捕捉していた。マルクトは500m離れた地点で雷風を確認すると、刀を地面に突き刺して右手で銃の形を作る。指先にロストエネルギーを集めると、発砲したような仕草と共にロストエネルギーの弾をマッハ6.7で放った。雷風は大和を左に振ってロストエネルギーの弾を斬ると、後ろでロストエネルギーの弾が大爆発した。



 (……来る)



 雷風は改めて構えて戦闘態勢に入ると、目の前が爆発したロストエネルギーの弾で溢れかえった。雷風は足にロストエネルギーを込めると、ロストエネルギーの弾幕の中へ突っ込んだ。

 マルクトは、大量のロストエネルギーの弾を放ちながら、大量の硬度を上げた根を準備していた。すると、もう100m先に雷風が見える。準備していた根を放ったマルクトは、突き刺した刀を引き抜いて構えた。

 雷風は大量の根を避けて斬って走るを繰り返していたが、避けた時の風圧がかなり強く、進む時にかなり妨害となっていた。目の前に飛んでくる根を切り裂いた雷風は、全ての根を切り裂く覚悟をした。



 (風圧が来るってことはそれだけ質量があって、それなりの速度があるってことだ。さっきみたいに根の中に何か詰まってるかもしれん。だが、あいつの苦しみと比べたらへじゃねぇ)



 雷風の目が一瞬、赤く光った。それに雷風自身は気づかない。光った瞬間に、大和は告げる。



 〔戦力解放数値40%に到達〕



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