16GF 思考という真理
「あなたはいったい……、私達を惑わせてるんですか?」
核心を突いた盾羽の質問。それに風月は少し驚きながら答えた。
「おおぉ……」
風月は考えた。その時、風月の脳に刺激が走った。
(何? まさか……、雷風の思考が伝達してきた?)
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一方、雷風は歩きながら強烈な思念を風月に送っていた。
(俺の元に来たら、誰であろうと容赦なく殺す)
と。
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(そういうこと……)
風月は雷風からの強烈な思念を受け取り、少し冷や汗をかきながら言った。
「じゃあ、逆に質問するよ。私は君達を惑わせてると思う?」
風月がその質問をした瞬間、更に空気が張り詰め、いかにも触ったら切れそうな糸のようだった。
「思います」
「思う」
「明らか惑わせてるでしょ」
その返答を聞いた風月は、思念が送られてきたことを話した。
「じゃあ1つ話をするよ」
「何?」
慧彼がそう警戒して聞くと、風月は取り繕った笑顔で警戒を解いた。
(笑顔を……、取り繕ってる……?)
風月の精神は不安定になっていた。
「ある姉弟は、思考を共通することができました。だから隠し事は全て無意味。逆に悩みごととか、内緒話にはものすごい長けてる。けど、その共通することが仇となりました」
「何が言いたいの?」
白夜がそう聞くと、慧彼が白夜の肩に手を置いた。
「とりあえず聞こう」
「う、うん……」
そう言うと、風月は話し始めた。
「弟は、ある悩みを抱えていました。それは姉のため。そして姉の復讐のために。そのため誰にも協力してもらおうとは思わず、1人で復讐に行きました。その時もらった最後の思念は、「俺の元に来たら、誰であろうと容赦なく殺す」だった」
盾羽は焦った。
「それは本当ですか?」
「話って言ったじゃん。『真に受けんな』」
風月の威圧は、慧彼の発した威圧を遥かに越えていた。
「ただいま~」
その時、霞が帰ってきた。家に帰ってきた瞬間に張り詰めた空気に気づいた霞は、静かに、静かに、静かにリビングに向かって歩き、リビングに入った。
「これは……、どういう状況?」
疑問に思うのも無理はない。最後に見た空気とは全く違っていたのだから。雷風のことを想い続けたが故に精神が壊れかかっている風月と、その風月に威圧をかけ続けている慧彼と白夜、そして盾羽。その現状を目の当たりにして、霞はようやく気づいた。
(雷風君が寮から消えた……)
霞は雷風がいないことに気づいた。この状況の中、霞は「どのように動けばいいか。」と長考した。
(……どうしたらいい? この空気……)
そして10分間考えた後に思い付いた結論は、慧彼達と風月を和解させ、この先どうするかを全員で考えることだった。
「風月。何に動揺している?」
「ちょっと黙っておいてくれ」
風月は霞に、強い口調で言った。
「そうか」
その時、慧彼が霞に手で「来い」と言わんばかりのアイコンタクトを送った。それに気づいた霞は、慧彼の元に行った。
「雷風が消えたことはわかった。それでなんでこんなどす黒い空気になってるんだ?」
「まともに教えてくれなさそうだからさ」
「なるほど」
霞は状況を改めて整理するため、盾羽に聞いた。
「私が帰ってくる前、何があった?」
「それはですね……」
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盾羽は、慧彼が風月に問いかけたところから全て話した。質問の内容も、それの返答も、風月の話した内容も。全て、全て、全て、全て、全て。
「……ということです」
「なるほど、ありがと」
霞はそう言うと、一度ベランダへ出た。
「さて……、どうしたものかな……」
霞はタバコを吸い、考えていた。
「……なんでタバコ吸ってるの?」
同じくベランダへ風月は、霞に聞いた。
「私は成人した体に強制的に成長させられたからね。肉体年齢的には大丈夫なんだよ。それに、私が吸っても大丈夫だと風月は知っているだろ?」
「なるほど。通りで妙に大人びてたわけだ」
風月はそう感心すると、風月は霞に質問した。
「質問していいかい?」
「ああ、しろ」
霞は了承すると、風月は話し始めた。
「私達ってまあ、全員人造人間だろ?」
「まあ、そうだな」
「けど私はその情報について何も知らない」
「そうなのか。知ってそうだったが……」
「実験を受けていた時はほぼ記憶を失っているからね」
「そうか」
「そこでだ。霞、君は自力で自分が人造人間だと気づいたんでしょ?」
「ああ」
「それに至った理由は何?」
霞は少しの間黙ってしまった。
「……それを聞くか」
「ああ、聞くさ」
「そこまで聞きたいか?」
「聞きたいよ。それで少しでも雷風の力になるならね」
「とことんブラコンだな。まあ、簡潔に話そう」
「マネジメントはビルドについての情報を「ほぼ全て」持っている」
霞のその回答を聞いた風月は……。
「は?」
となっていた。




