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断罪せし暗殺者  作者: ひょうすい
第6章 仏独戦争
141/206

141GF 決意と執念



 18時15分、霞がフランス軍最高司令本部作戦会議室に入ってきた。雷風は18時にダルタニャンから呼び出され、作戦会議室でダルタニャンと共に待っていた。



 「情報、入手してきたよ」


 「おう、詳しく頼む」



 霞は近くにあったソファに座り、軽く咳払いをしてから深刻そうに、かつ重要そうに話し始めた。



 「結果から先に言うと、パリで戦ってた四大天使の他に、最低でも16体の人造人間がいる」



 雷風とダルタニャンは「は?」と言わんばかりに目を見開き、話を聞き続けた。霞はそんな2人の顔を見ながらも、そのまま話し続けた。



 「私が観測したのは17体の人造人間。そして、最高司令官と思われる者の名前はオリバー・クロムウェル。恐らく、ピューリタン革命を指導したあのオリバー・クロムウェルを模した人格なんだよ」



 机に両肘を置き、手を顔の前で組む霞。それはさっき話を聞いていたダルタニャンと同じポーズをしており、今回の場合は雷風もダルタニャンも、霞が部屋に入ってきた時点で既にそのポーズをしていた。

 その話を聞いた雷風は、残りの16体が何者なのか気になった。残りの四大天使の2名とその他なのか、新たな16体の敵なのか。それを霞に聞いた。



 「残りの16体の人造人間、いったいどんな奴らなんだ?」



 霞は少し間を置いて話す。その間が何を表すのかはわからないが、雷風もダルタニャンもその間を気にする事はなかった。



 「アーサー。私の耳にはそう聞こえた」


 「円卓の騎士か」



 ダルタニャンは即座にそう呟く。それを聞いた雷風は、気付かされたような顔をしてダルタニャンの顔をチラッと見る。霞は素直に、ダルタニャンの気づく速度の速さに驚いていた。



 「そ、そう。円卓の騎士の名を冠する者として記述されている者の数は16人。それと丁度合致したんだよ」


 「円卓の騎士はイギリスのブリテン島がモチーフだしな」



 雷風は補足として情報を入れる。霞はその可能性が大きい証拠を、帰り道に手に入れていた。霞はスマホの中に入っている、ひとつの写真を2人に見せる。



 「これ、どこかわかるよね」



 その写真に写っているのは、草原の中にあるひとつの遺跡のようなもの。それの名前はグラストンベリー修道院。そこはアーサー王とグィネヴィア妃が埋葬されたとされている場所であり、同時にアーサー王の墓だったとされる。そこには、16基の人造人間に改造するための機械があった。



 「グラストンベリー修道院か」


 「これは……」



 ダルタニャンがグラストンベリー修道院を見たのに対し、雷風はその写真の中央に映る16基の人造人間に改造するための機械を見ていた。だが、考えることは同じで、「媒体を使用せずに能力を発現するなら、能力に由来する場所で人造人間を作ればいいのだ」というものだった。

 霞はダルタニャンの言葉に反応し、話を続けた。



 「そう。多分、「能力となるものの媒体を使用せずに能力を発現させるには、発現させたい能力に由来する場所で人造人間を作ればいい」と考えたんだと思う。じゃないとこんなもの作らない」



 霞は自分の出した写真を1度見る。すると、霞はダルタニャンの顔を見て質問をした。



 「三銃士の伝説内にいるダルタニャンの記憶ってさ、持ってるものなの?」


 「いや、ないな。だが、同じ者としての自覚だけはある。見た目も性格も違うし、記憶も違う。けど、似せようと思ったら似せれる。似せて作られる場合もあるし、その場合はマジでほぼ一緒になる。俺の場合が違うかっただけで、もしかするとあるかもしれないな」



 ダルタニャンは詳しく答えた。それを聞いた霞は、ひとつの仮説を立てた。それを伝える顔はとても真剣で、真面目なモードに入っていた。



 「多分だけど、円卓の騎士が伝説上とほぼ同じ者なら、わざわざオリバーの下にはつかない。けど、それにも関わらず下についてるってことは、伝説上と全然違うか、オリバーが強すぎるか。けど、調査した感じだとロストエネルギー量はそんなに多くないから、前者なんだと思う。雷風、どうする?」



 霞は雷風に聞く。すると、雷風は立ち上がった。



 「作戦は予定通り実行する。その間は苦しいと思うが、頼んだぞ」


 「了解」



 2人はそう言い、雷風は立ち上がって会議室を出た。その雷風の顔は行く道を決めたような、決意したような顔をしていた。それは後ろ姿でも顕著に現れており、背中はとても大きかった。

 一方、会議室に残った2人は、これからの状況を考えていた。



 「ドイツ戦線は硬直状態にあった方がいいか……?」



 ダルタニャンはひとりでに呟く。それを聞いた霞は、苦言を呈するようにダルタニャンに言う。



 「フランス領土の奪還くらいは動いてもいい。それは、私たちの考える一番の転機となる場面には到底なりえないからね」


 「そうか。なら、今侵攻されている分は取り戻す。あいつが帰ってくるまでには、マジノ線位までは押し戻すか」



 ダルタニャンと霞も立ち上がり、会議室を出た。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 22時15分、雷風は部屋で大和の改造を進めていた。打開策を作る方法を模索しているのだが、それがどうもうまく行く気配がしない。だから、雷風は頭を抱えていた。



 (どうすればいいんだ……?)



 その時、雷風は楓から送られてきたメールを確認した。そこに書かれているのは、「触れた者を一定期間洗脳する能力と、触れた者を永続的に支配する能力」と言う文。弱点は触れた箇所に現れる模様。だが、雷風はそれが移動するのではないかと考えている。



 (……そういうことか)



 雷風は何かを思いつき、作業を再開した。



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