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断罪せし暗殺者  作者: ひょうすい
第2章 過去という信念
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14GF 復讐という信念



 雷風視点



 俺はあの時、逃げてしまった。










 屋上に行ってしまった。










 なんで登った?










 なんで姉さんを見捨てた?










 俺を助けてくれたのに……。










 ……あれ?










 俺ってなんでこんなに記憶が鮮明に?










 おかしい……。










 しかも記憶には俺の記憶と姉さんの記憶がある……。










 ビルドが憎いっていう信念すら姉さんと共感してるみたいだ……。










 姉さんにくっついて寝ているからか?










 いや、違う……。










 俺は姉さんを救いたかった。










 それが叶った……。










 別に、姉さんが人造人間として利用されていたのを救ったからっていうわけではない。










 けど、この気持ちが一生忘れることはないだろう。










 どう言えばいいのかはわからない。










 確証がなくても前までは姉さんに相談していた。










 けど、今回だけは姉さんに迷惑はかけれない。










 これは俺自身の気持ちなんだろう。










 俺はビルドのことが憎い。










 憎い。









 憎い。








 憎い。







 憎い。






 憎い。





 憎い。




 憎い。



 憎い。


 憎い。

 憎い。憎い。憎い。憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い。










 けど、あいつらにまで俺の私情を持ってくるわけにはいかない。










 姉さんの身柄はマネジメントで保護させよう。










 そして断罪者としてあいつらと楽しんでほしい。










 そんな一心が俺の中をよぎる。










 ずっとだ。










 だからビルドは俺だけで潰す。










 他の奴には迷惑をかけられない。










 俺だけでビルドを潰さなければならない。










 これ以上、人造人間として利用される人を増やしてはいけない……。










 これ以上、犠牲者を増やしてはいけない。










 俺はその一心で断罪者になったから……。










 だからもう、俺はあいつらに別れを告げなきゃいけない。










 多分姉さんでもビルドの本当のアジトは知らない。










 姉さんは俺の行動を意地でも止めようとする。










 だから俺は……。










ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



No side



 午前3時。雷風は風月の元から離れ、マネジメントにある電話を入れた。



 「ああ、暗殺者だ」


 「用件は」


 「仙台にあるビルドのアジトにいく。あいつらには伝えんなよ」


 「了承した。行き方は?」


 「歩きだ」


 「新幹線は使わないのか?」


 「使うつもりはない」


 「そうか。では行け。終わったらまた仕事をやる」


 「任せた」



 雷風は電話を切り、用意を済ませた上で寮を出た。



 「来んなよ」



 雷風はそう言い残し、歩いて仙台へと向かった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 午前6時、風月は起きた。



 「あー……、なるほどね」



 起きた瞬間に、風月は察した。雷風は寮の周辺には必ずいないと。だが、風月は全く焦らなかった。「勝手なことをすると、雷風の心に大きな傷が入ると。風月は、雷風の心に一番寄り添っていると自負しているからこそ、雷風の心情がわかってしまう。」と風月は思っている。だから、風月は何もしなかった。



 「雷風も成長したねぇ~。けど、まだまだ未熟。多分、あの子はビルドでも潰しに行ってるのかな?」



 その30分後に、慧彼と白夜は起きてリビングに来た。そこには料理を作っている風月がいた。



 「あ、おはよう風月さん」


 「風月さんって料理できるんだ……」


 「まあね」



 そして、風月が最もされたくなかった質問を慧彼と白夜はした。



 「ねぇ、風月さん」


 「質問いい?」


 「うん、いいけど?」



 その質問を知らない風月は、それを承諾してしまった。



 「雷風はどこ?」


 「鬼頭君はどこ?」



 慧彼と白夜は同時に質問した。だが、最もされたくなかった質問をされた風月は、答えようとはしなかった。



 「さあ? あの子の心に傷は負わせたくないからね」


 「傷?」


 「探すなら探したらがいいよ。それがあの子のためになると思うならね」


 (まあ、傷を負わせてしまうのは私の場合だけどね……。多分、今回の私の仕事は断罪者達を惑わすこと……、かな?)



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 一方、雷風は銀座にいた。



 「姉さん……、惑わしてくれよ? 俺はあいつらにだけは来てほしくないんだ……」



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