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断罪せし暗殺者  作者: ひょうすい
第6章 仏独戦争
133/206

133GF パリ臨時急襲戦 その2



 ポルトスは地面を蹴った。コンクリートが抉れ、破片が宙を舞う。その破片が宙に舞った瞬間、ラファエルは水の球をポルトスめがけて射出した。その水の光線は衝撃波を纏いながら直進し、ポルトスの鋼のような身体に直撃する。



 「ヒッ」



 ポルトスは表情を変えずに笑い、右拳にロストエネルギーを集中させる。その時既に、ラファエルと5m程まで接近していた。ラファエルは1歩、大きく踏み込むと共に生成した剣を上から振り下ろす。

 目の前には、正面からでもなんでも切り裂けそうだと感じるほど鋭利な剣が振り下ろされているが、ポルトスは何を思ったか、それを壊そうと1歩踏み込んで剣を下からアッパーのように殴り、壊し、そのままラファエルのみぞおちを殴って上へ吹き飛ばそうとした。

 剣と拳がぶつかると、剣は拳に触れた箇所で砕け、ただの水に戻る。剣を殴った拳はそのまま伸び、ラファエルのみぞおちに当たった。鈍い音を鳴らした拳は、そのまま上へ押し出すように素早く動かされると、ラファエルの体はそのまま空中に押し出され、一瞬、身動きが取れない状態になった。内部までダメージが響いたからだ。

 そんな状況をポルトスは逃がす訳もなく、ラファエルがいる地点より高く跳び、両手を組んで上から振り下ろす。背中に直撃したその一撃は、先の一撃が生んだ勢いを完全に殺し、更に地面に叩きつけるほどの勢いを生んだ。その攻撃をもろに浴びたラファエルは、苦しそうにして地面に叩きつけられた。



 (なんて威力……)



 今まで味わったことのない、体の内部にまで響く攻撃。今日、初めてそれを味わったラファエルは、その攻撃は喰らってはいけない攻撃なのだと理解した。だが、ラファエルは理解しただけ。避けられない攻撃は、喰らうしかなかった。

 ポルトスは自身の体重を最大限にまで重くすると、すぐに着地した。そして体重を元に戻すと、体が浮き上がっているラファエルの腹を捉えた。そこそこの威力で蹴り、自身の顔の高さまで体を浮かせた。蹴った時の体重移動を利用し、地面につけていた右足で地面を蹴って跳ぶ。その右足にロストエネルギーを込めたポルトスは、ラファエルの腰を蹴った。



 (威力が段違い……)



 ラファエルはポルトスから遠く離れた建物の壁に叩きつけられ、ポルトスがゆっくり歩いてきている状況を目にしていた。内部に響いた強烈なダメージを回復させるために、ロストエネルギーを回復に回す。



 「おい、お前。名前は?」



 ポルトスはヤクザのように聞く。ラファエルは答えることなく、ゆっくりと埋もれていた壁から抜け出す。周りはビル街へと変貌しており、夜間人口の少ないこのビル街周辺に人は全くいなかった。そのため、ラファエルは周辺を見渡しても人が全くいないことに驚いていた。



 (人がいない……。住宅地に避難しているとかですかね……?)


 「応えろやァァァァァァァァ!!」



 ポルトスは声を荒げ、ラファエルに怒るように言う。ラファエルはポルトスが怒ったかのように語りかけてくるため、自身の名前を渋々明かした。



 「……ラファエルです」


 「そうか、だからお前は水を使うのか。四大天使の1人なんだったよな?」



 更に質問を重ねるポルトス。1度話してしまったため、簡単にこの場を凌いで戦いに戻すのは困難。それに今は主導権がポルトスにあるため、急に主導権を握ろうとするとすぐに殺される可能性がある。そして、この時間はロストエネルギーの回復に当てれる時間が生まれたと思ったラファエル。逆に、話を長引かせようと考えた。



 「ええ。私の素性を知っていると言うことは、能力も知っているということでしょう?」


 「まあな」



 ポルトスは簡単に話に乗ってくれた。そのため、ラファエルはロストエネルギー回復までの間、ポルトスと束の間の談笑をすることにした。



 「そういうあなたはポルトス、能力は『身体操作』でしたか?」


 「ああ。ってことは、俺の能力も結構知られてるってことか」


 「ええ。我々の思想とは真逆の思想を掲げてますからね。流石に脅威としか思えませんよ」


 「確か、お前達は人造人間が支配する世界を望むんだったな」


 「ええ。そして、あなた達はそんな考えを持つ人造人間を殲滅し、人類と人造人間の共存を望むというわけですか」


 「そういうことだ。断罪者の目論見は知らんがな」



 三銃士は断罪者の目的が分かっていない。その情報を入手したラファエルは、咄嗟に考えた三銃士と断罪者の分断を考えた。



 (もしかすると、断罪者は三銃士に対して重要な何かを隠していて、それを悟られないようにして義勇軍として参加している。ということがあるかもしれません……。それがあるとなれば、戦力の分断……。いや、断罪者と三銃士が対立する可能性すらある……)


 「だが、俺達は断罪者のことを信頼している。奴らは自分たちの利益のために嘘をつかない、善側の人造人間だからな」



 ポルトスのその発言の真偽性を確かめるために、ラファエルは確認の一言をポルトスにかけた。



 「その確証性は?」


 「知らん。俺の本能がそう言ってる」



 根拠もクソもない言葉で返されたが、本能でそのような重要なことを決められるのであれば、それほど本能による勘が当たるということなのだろう。と考えたラファエルは、分断を諦めた。



 「さて、回復は終わったか?」



 ポルトスは全て見通していたかのように、ラファエルの考えていたことを当てた。だがポルトス、適当に言っただけであった。ラファエルが驚いて「当てられた」と言うような顔をしたとき、ポルトスは内心驚いていた。



 (当たった……)



 ポルトスは咳払いをし、気持ちを戦いに戻した。ラファエルはそんなポルトスを見ず、大量の水の球を生成した。それから溢れ出すロストエネルギーの量は、これまでに展開した中で1番多かった。



 (1個あたり1200GF……。これなら撃ち抜けるか……?)



 現時点で1つに込めれるギリギリのロストエネルギーを込めても、ラファエルは不安だった。なぜなら、ポルトスは自身の体から大量のロストエネルギーを放出させて、自身の体を圧縮させた。



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