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断罪せし暗殺者  作者: ひょうすい
第2章 過去という信念
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13GF 改造という想い



 人体実験を行った日から半年が経った。風月は成長しきった体にも慣れ、雷風もその姿に慣れていた。



 「雷風~」



 風月は雷風を呼んだ。



 「どうしたの?」


 「銀座行かない?」



 風月は一度、雷風と外出したことがあるのだが、その時に雷風が着ていた服を見て、ファッションセンスが無さすぎると思った。そのため、銀座で服を揃えるのだ。



 「僕まだ子供だよ? 銀座って……」


 「まあいいじゃん」



 風月はそう言い、雷風を連れて家へ出た。



 雷風は、風月に連れられ銀座へ来た。



 「仕事で使う服が欲しい」


 「わかった。けど私服も買おうか。雷風ってファッションセンス全くないし」


 「酷くない?」



 風月は、雷風の服を少し掴んで言った。それにツッコミを入れた雷風だったが、自分の服を見た瞬間、ちょっと首をかしげた。



 「……そう?」


 「うん。すっごくダサいよ」


 「酷いよ姉さん」


 「ごめんって」



 そのような会話をしながら銀座のとある店に向かっていると、目の前に黒服の者がいた。



 「そこの親子。いや、姉弟か」


 「……私達ですか?」



 周りを見渡して風月はそう答えた。



 「そうだ。その姉の方に用がある」



 その時、風月は黒服の者に違和感を感じた。それに理由はなく、世間でよく言われる「女の感」というものだ。その違和感を感じ取った風月は、雷風にその事を小声で伝えた。



 「雷風」


 「何?」



 雷風がそう聞き返すと、風月は雷風に指示を出した。



 「この建物の屋上まで行ける?」


 「行けるけど……。何かするの?」


 「何もしないよ。ちょっと話すだけ」


 「う……、うん……」



 雷風は上に飛び、その建物の屋上まで飛んだ。



 「さて、いったい私をどうするの?」


 「察しがいいな」



 その瞬間、黒服の者達が周りから現れた。



 「私達は『ビルド』。お前を人造人間にした科学者がいた組織だ」


 「あの科学者さんはどうした」



 風月は1ヶ月に一度、科学者のいる研究所へ行き、メンテナンスという名の身体検査をしていた。そのため、1ヶ月ごとに生存確認ができていた。



 「奴は昨日始末した」


 「そう……」


 「ついてこい」



 風月は黒服達についていき、銀座にある施設に入った。その瞬間、風月は黒服達に「人造人間に対して即効性のある麻酔薬」を注入された。



 「人造人間の記憶を抽出する」



 風月はその言葉を最後に、今までの記憶がほとんど消えていた。

 だが、その中で雷風に関する話をビルドの者から話されていた。



 「貴様の弟である鬼頭 雷風。あの者は暗殺者で最強を決める戦いで優勝した」


 「……」


 「返事はないか。まあ、話しかけたらこちらを向く程度、あまり外に出す環境てはないか……」



 これが、風月の全ての記憶である。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 「っていうこと。まあ、雷風のことは多少わかるの。全ての時間軸に存在する雷風は、私のことを想い続けてくれてた。だから、私は雷風の想いに答える。この意味があなた達にわかる?」



 風月の記憶を全て語った時、慧彼達は唖然としていた。



 「それじゃ、寝よう」



 霞は慧彼達に言い、各々の部屋へ戻った。



 (ロスト……、エネルギー……)



 盾羽は「ロストエネルギー」という単語に疑問を覚えた。



 「あの……、話の中で語られていたロストエネルギーというのはいったい?」


 「ロストエネルギーね、詳細は私にもわからない。けど、人造人間の体の中に入ってること位はわかる」


 「なるほど……」



 風月は、盾羽の質問に対してある好奇心を覚えた。



 「なんでロストエネルギーっていう単語に疑問を覚えたの?」


 「それは……」



 その瞬間、風月はあることに気づいた。



 「自覚はないんだ」


 「は、はい……」


 「……」



 風月は、度々話していたビルドの話を思い返していた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 「おい貴様、起きろ。話をしてやろう」


 「……ん?」


 「礼儀がない奴め。まあいい、アルクイマ実験は成功した。そのために被験者を4人増やした。無論、6歳の女児だがな」


 「……女児?」


 「そう。女児だ。女児を4人追加したのだ」


 「その名前は?」


 「教えてやる義理はない」


 「そこをなんとか」


 「……では特別に教えてやる。だが、女児の名前を教えるのみだ。それ以上は教えん」


 「あざっす」


 「無礼な人造人間め……」


 「まあまあ……」


 「学ぶ脳はないのか。実験で脳が壊れたか?」


 「冗談が上手なようで」


 「黙れ。教えんぞ?」


 「あっ……、すみません……」


 「それでいい。女児の名前は、瑠璃(るり) (かすみ)護神 盾羽(ごしん たては)裁断 慧彼(さいだん けいか)満月 白夜(みつき びゃくや)だ」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 (そうか……。この子達もまた、私と同じ苦痛を味わい、雷風に魅せられた人造人間達なんだ……)



 「あの……、どうかしたんですか?」


 「いや、何もないよ」


 「そうですか……。では、おやすみなさい」


 「うん。お休み」



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