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断罪せし暗殺者  作者: ひょうすい
第6章 仏独戦争
128/206

128GF カーン強行戦 その3



 雫は正面に大きな魔法円を展開し、広範囲の光線を放つ。だが、炎の壁を一瞬で作ったミカエルは炎の壁で、雫から自分を視界から外すことでどこに移動したかわからなくした。だが、雫はロストエネルギーを使った探知でミカエルの位置を特定し、それに合うように光線を撃ち続ける。

 ミカエルは屋根の上を走ったり飛び移ったりして、雫のほんの少しの隙を探していた。ミカエルはこの時既に、雫を戦闘不能へ追いやる準備を終えていた。

 雫は光線を撃ち始めてから5秒後、ミカエルが正面に来た時に隙をわざと作った。ミカエルは、それを罠だと思った。だが、ミカエルは「罠にかかって尚、勝つっていう超かっこいい状況」を作り出すため、あえて攻撃に転じた。

 攻撃に転じたミカエルは、正面から飛んでくる光線を全て紙一重で躱しながら全速力で進む。雫の目の前まで来ると、雫はあえてミカエルの目の前に魔法円を展開する。ミカエルはそれを右拳で殴って壊し、そのまま雫に向けて放った。雫はミカエルがそう来るとわかっていたのか、雫も右拳で対抗した。雫はロストエネルギーを大量に込めた右拳で対抗したため、雫が押し勝って空中へ飛ばした。

 空中へ飛ばされたミカエルは、飛ばされながらだが咄嗟に大量の炎の球を生成。生成した瞬間に雫に向けて飛ばしたが、雫はそれに対応して細かな光線で全て相殺する。



 (一気にギアを上げた……。よし、それなら私も本気で潰す)



 ミカエルは飛ばされた勢いが収まると、大量に炎の球を生成し、雫に向けて放ちながら雫に向かって一気に飛んだ。雫はそれに呼応するように、魔法円を2方向に壁のように展開し、魔法円を蹴って上へ進みながら魔法円から発射した光線で炎の球を相殺していく。

 ある程度の高さにまでたどり着くと、魔法円を縦に展開し、足場として雫はそれを利用した。それと同時に自分の体に推進装置のとしての魔法円を展開し、ミカエルに匹敵する速さでミカエルに迫った。

 ミカエルと雫は目の前にまで来ると、互いにロストエネルギーを右拳に大量に込め、互いの右拳を思いっきりぶつけた。



 (マジかっ……)



 雫の方が多くロストエネルギーを込めていたのか、素のスペックが高いミカエルが押し負け、吹き飛ばされた。その衝撃は凄まじく、カーン中に鳴り響くほどの轟音だった。建物を3軒ほど貫通し、地面に叩きつけた雫は、自分でも驚きの破壊力だった。地面には大きなクレーターができており、前までの自分では絶対にできなかった事だからだ。

 雫は着地すると、クレーターから出てきたミカエルと再び目を合わせる。その顔はさっきと違ってかなり真剣であり、本気で戦う気である。それを察知した雫は、戦闘態勢に入る。ミカエルは雫が戦闘態勢に入ると共に戦闘態勢に入り、2人は大きく息を吸った。



 (……今だ)


 (……ここだ)



 2人は走り出す。速さはミカエルが上回り、雫はみぞおちに強烈な一撃を食らった。壁に叩きつけられた雫は、成す術もなくミカエルに顔を持たれ、幾つもの建物を貫通させていく。

 ミカエルは50軒程建物を貫通させると、回転して最後に貫通させた建物の壁のかなり下の部分に、雫を力強く叩きつける。



 (今の一瞬で、こんなにダメージを負うなんて……)



 雫は壁にもたれかかって座っている体勢でミカエルを見ると、空を飛ぶミカエルが、炎で剣を8本生成する。その姿は、かつて親友であった火天を連想させた。その瞬間、雫の中から火天の姿が現れた。だが、それは雫の中にある幻想であり、火天本人ではない。その火天は言う。「何這いつくばってんの」と。

 雫は立とうと体に力を入れる。だが、その前に四肢に2本ずつ剣を差し込まれ、壁や地面に埋め込まれたため身動きが取れない状態となった。



 「……なんで殺さない」



 雫はミカエルに問う。すると、ミカエルは着地してしゃがみ、雫に目線を合わせて喋る。



 「上からの指令ってのもあるんだけど、君は殺さない。理由は、この世界に変革を起こしてほしいから」



 頭を撫でてそう言うミカエルに対し、雫は思いついた疑問を問う。



 「なんで自分で変革を起こさないの……?」


 「なんで、かぁ……」



 ミカエルは立ち上がると共に腕を組み、考え出す。しばらく考えていると、何か思いついたかのような顔をした再びしゃがみ、雫へ伝える。



 「私はオリバー・クロムウェルに常に居場所を知られている。そして、オリバーが持つボタンを押せば私は簡単に死ぬ。イギリス製の人造人間は全部そう。だから、変革を起こそうも起こせないって訳」



 雫は納得したような顔をすると、ミカエルは立ち上がる。背中を翼をはためかせようと背中を曲げ、しゃがんだ。だが、飛ばずに何故かそのまま立ち上がり、雫に背を向けたまま目だけを雫に向け、伝えた。



 「君が悩んでる……、確か「火天」だっけ? そいつは生きてるよ」



 雫が質問しようとするも、ミカエルは飛び立っていった。



 (火天が、生きてる……)



 ひとつの希望が生まれた雫は光線で四肢を切断し、瞬時に再生して立ち上がった。そして、火天が飛んでいった方向を見て、雫は心の中で嘆くように言った。



 (ありがとう。イギリス軍の強い人造人間。そして、火天。絶対に会ってやる)



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