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断罪せし暗殺者  作者: ひょうすい
第6章 仏独戦争
122/206

122GF ケルン事変 その3



 「鬼頭 雷風。お前たちのわかるように言えば、真祖だ」



 その言葉を聞いた瞬間、ケテルとコクマーは逃げようとした。それは、自分たちの命を選択するのと同時に、マルクトから出された1つの司令だったからだ。ケテルは焦燥感から、コクマーは責任感から急いでケルンからの脱出を図った。

 雷風は逃げ出すケテルとコクマーの姿を見て、アクセルモードに入った。そして、ケテルとコクマーの目の前に立って退路を断つ。その状態でアクセルモードを解除し、瞬間移動したかのように演出した。



 「何逃げようとしてんだよ。お前ら、俺と戦うためにわざわざここに来たんだろ?」



 雷風は軽く2人を煽る。だが、ケテルとコクマーは軽い煽りには反応せず、逃げることだけを考えていた。だが、雷風はセフィロトの強さを知っておきたい。そのため、雷風は何としてもセフィロトの強さを確かめるために戦おうとしていた。



 「確かさ、セフィロトって世界最強の軍隊とかなんとか言われてたんじゃなかったか?」



 ケテルとコクマーにそう語りかける雷風。ケテルはその時、逃げようとする考えを少し改めようとしていた。

 セフィロトは領地拡大の時に、人類の軍隊を瞬く間に殲滅していった軍隊であるため、世界中から「世界最強の軍隊」と呼ばれている。また、セフィロトはその呼称を認めており、世界最強として名を轟かせていた。雷風はそこに目をつけた。

 そこからも、ケテルとコクマーを戦いに誘いこむように語りかけ続けた。



 「そんなやつらがたった1人相手に逃げ出すなんてありえねぇわな」


 「数的有利を保持しているのにも関わらず、ここで潰さないのはやっぱり悪手だと思うんだよな」



 言い終わる度にアクセルモードに入り、違うところに移動するとアクセルモードを解除して語りかける。全方位から一斉に語りかけられるような感覚によって、ケテルとコクマーは戦わざるを得ない状況になっていた。

 雷風はセフィロトの強さを確かめれていなかったため、セフィロトのただただ実力を知りたかった。だが、敵が逃げてしまっては確かめようもない。強引な手段はできるだけ使いたくはなかった雷風だが、戦うための手段なら仕方ないと踏み切った。



 (さて、相手は俺の挑発に乗ってくれるか……?)



 雷風はケテルとコクマーの正面に立ち、狂気に染まったかのような目で2人を見つめて揺さぶりをかける。ケテルとコクマーは息を飲み、見つめ合う。「やるか?」と言うような顔をして確認をするケテルに対し、コクマーは頷いて返す。それにケテルは頷き、雷風の方を向く。そして、一斉に戦闘態勢に入った。



 「覚醒コマンド、18(エイティーン)15(フィフティーン)04(ゼロフォー)10(テン)


 「覚醒コマンド、19(ナインティーン)60(シックスティー)05(ゼロファイブ)22(トゥウェンティーツー)



 ケテルとコクマーは同時にそう声に出すと、体内に留めていたロストエネルギーが溢れ出した。それと共に額から2本の角が生え、鬼を思わせるような風貌へと変化した。

 それを見ていた雷風は、覚醒コマンドという謎の単語について考えていた。その言葉と8桁の数字を唱えることで、ロストエネルギーが爆発的に増えたことと、額から謎の角が2本生えている状況。意味がわからなかったが、意味がわからないなりに考察することにした。



 (一時的な状態変化によってロストエネルギーが爆発的に増えたんだったら、多分ロストエネルギー総量は増加していない。……ってことは、ロストエネルギーをより多く消費することによって体内にあるムドゲアリムス機構の活性化させる。そして、そのムドゲアリムス機構が生み出した大量のロストエネルギーをすぐに能力や身体強化に使用することができるってことか。そして、ロストエネルギー総量が増えてないから体内からロストエネルギーを効率よく排出するところが必要。……そのための角か)


 (だが、そうすればムドゲアリムス機構にダメージが行くはず……。ってことはあれの持続時間はそんなに長くないわけだ。見たところ、3分ってところだな)



 雷風はケセドとコクマーが戦闘態勢に入り、攻撃を開始しようとするその刹那の間に考察を終え、戦闘態勢に入った。



 「来いよ」


 「言われなくても殺してやるよ!!」



 コクマーは能力の応用によって地面を隆起させ、ケルン・メッセ/ドイツ駅を50m上昇させた。その際、コクマーは一足先にケルン・メッセ/ドイツ駅から脱出し、ケセドはケルン・メッセ/ドイツ駅を丸ごと包むような火山を生成して、地形ごとケルン・メッセ/ドイツ駅を吹き飛ばした。

 雷風は火山の生成の際にコクマーがいないことに気づき、アクセルモードに入ってコクマーを追いかけた。



 「おい、何やってんだよ」



 コクマーが地面に着地したと同時に、雷風が目の前に現れた。そのタイミングで雷風はアクセルモードを解除し、対等に戦う準備ができた。コクマーは分厚い壁くらいの地面を隆起させ、それを足場にして雷風に急接近し、拳を振るった。だが、雷風はそれを簡単に躱す。躱したことでコクマーには隙が生まれ、雷風は回し蹴りをして地面に叩きつけた。

 コクマーは地面に叩きつけられそうになった瞬間、地面を液状化して叩きつけられることによって生まれる衝撃を軽減した。



 (こいつは地震系の能力だな。んで、さっきのやつが火山系の能力か)


 (よし、殺す算段はついた)



 雷風は刀を強く握ると、左足でコクマーを蹴り上げた。みぞおちが雷風の胸くらいの高さまで来ると、雷風は刀を持っていない右手で思いっきりみぞおちを殴った。

 コクマーは自身が隆起させた地面に叩きつけられ、地面には大きなヒビが生まれた。



 (覚醒してこれかよ……)



 コクマーは自身の無力さを痛感した。だが、それを助けるように上からケテルが降りてきた。



 「よし、2人であいつ殺るぞ」


 「……わかった」



 再び戦闘態勢に入り、雷風の顔を見た。その顔は覚悟が決まった顔であり、「絶対殺す」と雷風に語りかけるようだった。それを感じた雷風は、「やってみろよ」と言わんばかりに右手で挑発していた。



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