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断罪せし暗殺者  作者: ひょうすい
第6章 仏独戦争
116/206

116GF シャンベリー防衛戦 その2



 ケセドは自身の背中や足から爆風を発生させ、一気に白夜との距離を詰める。その加速度はとてつもないものであり、100m程あった白夜との距離が一瞬にして縮まり、白夜は後ろに引いて少しでも時間を稼ぐしかなかった。



 「アクセルモード、突入」



 両手に持っていた剣状のアトミックアニーの内、左手に持っていたアトミックアニーが原子レベルにまで分解された。原子レベルにまで分解されたアトミックアニーは、白夜の身体の隅々まで行き渡った。

 ケセドは曲げた肘から爆風を発生させ、拳が当たるまでの時間の僅かな短縮と、拳が当たった時のインパクトを大きくしようとしていた。アクセルモードになっていた白夜はそれを容易に回避し、ケセドの後ろに立っていた。



 (これ……、無しでも頑張ったら行けるやつだ)


 「アクセルモード、解除」



 白夜がアクセルモードを解除した瞬間、ケセドは地面を強く殴った。その際に殴った部分で爆発を起こし、半径5mくらいのクレーターを作った。クレーターの外にはヒビが入っており、もう1発殴れば確実に壊れると予想されるほどであった。

 一方、ケセドは白夜の急加速した不自然な速度に驚きを隠せなかった。



 (いつの間に移動した?)



 地面を殴った時にケセドは気づいた。自分の背後に白夜がいており、いつ殺されてもおかしくないと。その時、ケセドは不敵な笑みを浮かべながら「アホが……」と思っていた。

 ケセドが立ち上がると、白夜は50m程距離を取った。ケセドは振り返って白夜を見ると、話し始めた。



 「やけに慎重じゃねぇか。あの時殺せばよかったものを」


 「生憎、ズルしてまで勝つつもりはないからね」


 「ズルだ……?」



 ケセドは白夜の目を真剣な眼差しで見つめた。その時、ケセドは興奮しながら声を荒げ、不敵な笑みは最高潮にまで達していた。



 「使える手は全部使うのが戦争だろうがァ!! アアァ!?」



 ケセドは地面を蹴り、自身を中心として半径100mの円内で無数の爆発を起こした。それは白夜の近くになればなるほど強くなっており、白夜はアトミックアニーを振り回して爆風を弾き飛ばして対処していた。

 白夜は爆風を弾き飛ばしていたが、それでも爆発によって生まれる煙と爆発音を対処することができなかった。そのため、視覚と聴覚が封じられていた。



 (よし、探知ってやつやってみよ)



 白夜は爆風を弾き飛ばしながら、文化祭の時に雷風が行っていた気配探知を、ロストエネルギーを使って精度を上げた状態で行った。

 気配探知は普通、並外れた集中力を発揮してようやく使うことができる技能なのだが、白夜は訓練の時間を瞑想に集中させていたため、爆風を弾き飛ばすためにアトミックアニーを振り回すことと、完全に脳を切り分けることができていた。つまり、爆風を弾き飛ばすためにアトミックアニーを振り回すことは、自動機能のようなものであり、残りの脳のリソースで気配探知を行っていたということである。

 ケセドは回り込み、白夜の背後から殴りかかった。だが、白夜はアトミックアニーで受け止め、ケセドとアトミックアニーの間に能力で斥力を発生させ、ケセドを弾き飛ばした。



 (気配探知か……。器用なやつめ……)



 ケセドは目だけで上を見た。そして何かを確認すると、ケセドは再び自身の背中や足から爆風を発生させ、一気に白夜との距離を詰めた。



 (この詰め方……、何か狙ってる?)



 白夜は疑った。だが、それを詮索する時間はない。そのため、白夜は後先考えずにケセドを殺すことだけを考えた。ケセドを殺すための最善手、それは「一気に(コア)を細切れにする」ことであった。白夜は正面からケセドを捉え、一気に地面を蹴る。

 白夜とケセドは同時に着地する。だが、(コア)を斬った手応えではなかった。白夜はすぐに振り返ってケセドの方を見た。すると、ケセドの四肢は綺麗に斬られており、ケセドは瞬きをする間に再生した。



 「ここでいいか?」



 と、ケセドはまるで誰かに質問しているかのように言う。誰に向けて言っているのかすぐに理解した白夜は、すかさず上を見た。すると、そこには2体の人造人間。ゲブラーとネツァクである。



 (なるほど。……本気出さないとちょっとやばい感じだ)



 白夜はすぐに感じた。2人はケセドと同レベルの能力は余裕で出せる。そして、ケセドの口調からケセドと同じくらいの地位、強さなのだと。



 「何%まで出した?」



 ゲブラーは確認までにケセドに聞く。それに対して、ケセドは少し恥ずかしそうに答えた。



 「40%だ」


 「まあ、相手側も本気を出していない可能性がある。マルクト様の指示通りに動けよ」



 ネツァクは欠伸をしながら2人に言う。



 「お前が言えたことかよ」


 「うっせぇ」



 白夜は考えていた。現在、何もない広大な平野で1対3の状況。普通に考えればかなり不利である。だが、障害物がないため自由に走り回って攻撃することができる。アクセルモード無しで、白夜はどれほどの速さを出すことができるだろうか。単純に考えれば、3人と対して変わらない速度だろう。だが、白夜は違った。



 (さっきまでのはあくまでも本気じゃない。まあ、3人の強さに応じて段階上げていけばいいでしょ)



 本気を出していないケセドと白夜は、実力の底を互いに探ろうとしていた。



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