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断罪せし暗殺者  作者: ひょうすい
第6章 仏独戦争
114/206

114GF 開戦の狼煙



 午前3時、雷風は事前に計画していたドイツ国内調査作戦を実行するため、深夜にドイツへ単独出発した。黒いコートを身に纏い、戦闘準備も整えて向かった雷風は、かなり真剣な眼差しをしていた。



 (楓……、もう少しだから待ってろよ……)



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 午前7時、ドイツ軍最高司令本部会議室にはセフィロトが全員揃っていた。



 「ケセド、ゲブラー、ネツァク。お前らはとりあえず、義勇軍としてフランス側についた断罪者達の実力を見極めに行ってほしい。殺せるなら殺してもいいが、今回は命優先だ」


 「やけに慎重ですね。マルクト様」



 ケセドはそう言ってマルクトを少し煽る。それをよく思わないのか、イェソドがケテルの発言を訂正させようと喋った。



 「マルクト様がそう決めてるんだ。訂正しろ」


 「イェソド。ちと黙れ」



 マルクトはイェソドに殺気を混ぜて言い、イェソドを黙らせた。そしてマルクトは淡々と喋りだす。



 「今回は真祖が関わっている。慎重になるのも当然だろう?」


 「まずまず、真祖ってどのくらい強いんですか?」



 ゲブラーは、真祖がどれほど強いのか把握していなかった。それに同調するようにケテルとケセドはマルクトに質問した。



 「確かに。どのくらい強いんですか?」


 「気になります」



 すると、マルクトは少しため息をついた後に簡単な説明を始めた。



 「まず、お前らはビナーに勝てるか?」


 「勝てないですね」



 ケテル、ケセド、ゲブラーは一斉に即答する。それがわかっていたかのように、マルクトは話を続ける。



 「あくまで推測だが、真祖はビナーより強い。つまり、どういうことがわかるか?」



 すると、ティファレトが横から自分の考えを提示した。



 「俺達じゃ絶対に勝つことはできない。ってことですよね!?」


 「そういうことだ。だから、真祖以外の実力を考えるわけだ。真祖は考えるだけ無駄だからな」



 ビナーはマルクトの説明の中で、合っているところと違うところを心の中で考えていた。



 (雷風が規格外だっていう説明はだいたい合ってる。けど、雷風のことを考えないっていうのは間違ってる。多分だけど、慧彼さんを見た感じだと1番大胆に行動するのは雷風。こっち目線で考えると、1番警戒しなければならないのは雷風。悪人みたいな感じ出してるけど1番善人だから……。まあ、何かしらで暗部の存在に気づいたらまた別だと思うけど……)


 「つまりはそういうことだ。理解できたか?」



 3人含め知らなかった者達が全員頷き、真祖は規格外の力を有しているということが理解できた。

 マルクトはケセド軍、ゲブラー軍、ネツァク軍の3人に命令を下し、スイスを通ってフランスのシャンベリーへ進軍させた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 一方フランス陣営。ダルタニャンは能力でシャンベリーにドイツ軍が侵略している様子が見えた。そのため、ダルタニャンはすぐさま全員を集め、会議を始めた。



 「何が見えたんですか?」



 アラミスはダルタニャンにそう聞く。ダルタニャンはそれに応えるかのように、能力で見えたことを伝えた。



 「場所はシャンベリー。正午にドイツ軍による大規模な侵攻が始まる。ドイツ側は雷風が偵察に向かってくれてるからいいが、こっちはこっちで雷風が情報を入手してくるまで迎撃に専念する」


 「わかった。それで誰が迎撃に行くの?」



 白夜はアトミックアニーを背負った状態で聞いた。ダルタニャンはそんな白夜を見て、昨日猛特訓した成果を見せたいのだろうと思った。



 「じゃあ、白夜と慧彼とアラミスに行かせる。他はひとまずここで待機」


 「恐らくですが、狙いは私達の実力がどれほどなのかということを探ることです。実力がわからない状況で無闇に攻めるバカではないでしょう。私ならそうします」



 盾羽はそう言い、白夜達が何をすればいいのか理解させた。



 「なるほど。じゃあ、本気は出さずにこっちも様子見感覚で戦えばいいわけだ」



 それに付け足すかのように、慧彼は言う。



 「まあ、こっちが殺す気で行ったら向こうも本気になるんじゃない? 実力差が離れてなかったらの場合だけど」


 「怖い付け足しやめてよ」



 白夜は慧彼の言うことに少し不安になりながらも返す。こんな時でも呑気なのかと思っているアトスは、風月に小声で聞いた。



 「こんなに緊張感なくていいのか……?」



 風月はアトスが小声で聞いてきたため、同じように小声で「いつもこんな感じだから気にしなくていいよ。けどまあ、やる時はやる子達だから」と返した。



 (それでいいのか……)



 アトスは少し不安げだったが、アラミスがついているためよっぽどの事がない限り大丈夫だろうと思った。



 「……行かなくていいのか?」



 霞が慧彼達に言う。アラミスははっと思い出したかのように会議室を出た。それを追うかのように慧彼と白夜も向かった。



 「本当にあれ、大丈夫か……?」


 「わかんない。けどまあ、大丈夫なんじゃない?」



 霞は風月に聞くと、結果的にどうにかなると返されたため、より一層不安になっていた。



 「まあ、何かあったら私達が向かうから。ゆっくりイギリス行ってきてよね」


 「……わかった」



 霞は、イギリス潜入調査作戦の実行者に任命されていた。そのため、すぐに港町のカーンへと向かってイギリスへ向かった。



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