ローがまた
4話 ローがまた
売る気は、なかったが玄武扇。いったいどんな物なのか骨董屋でみてもらった。
「コレはね、スゴいもんなんだが。骨董品の価値はないね」
「そうなの。なんで欲しがる人がいるの?」
「ソレは、別の価値があるからじゃよ」
「あんた、知らんで、こいつを持ってるのかね」
「はあ」
「持ってるとろくな事ないよ。手ばなしなさい」
ラオとの約束もあるし。売るのは。
「あ、わしは買わんよ。ゴタゴタに巻き込まれたくないからな」
手ばなせって言うから買うのかと。
この扇子に疫病神でも取り憑いているのか? 欲しがってるあの片目のおやじも、ろくなことないと。で、なんで欲しいんだ?
あ~朝の騒ぎで朝飯食べてなかった。走ったし。
あたしは飯屋を探しながら通りを歩いてると。
「おい、あの娘が持ってるのアレじゃないか?」
「まさかあの小娘が」
「ラオ・シンを……ありえねぇ」
「あんな娘がラオ・シンを……」
なに? まさか変な噂が町で。 あたしがラオを殺したとか。まさかねぇそんな噂が出るはず。あ、まてよ。こいつのせいか。
あたしは大扇子をしげしげと見た。
これ、ラオの宝物だったんだろうけど。
「お、いたな。逃さんぞ小娘がぁ!」
「ヤバッまたあいつだ」
グゥ〜
ああハラヘッタ。走る気もなくした。そうだ。
「コレが欲しいなら売ってあげる」
「売る。いくらだ」
思いっきり高値で売ってやる。
「うーんと、いくら出す?」
片目のオヤジはふところから財布を出し中を見ている。
「あいにく持ち合わせがない。ああ、ソレは、駄目だ。そいつは金でやり取りするもんじゃねぇ」
ナニ、どういうコト?
「まず、俺と闘え。そして、俺が勝てば俺の物だ」
「そんなぁ。あたしがあんたに勝てるわけないじゃない。ただで手に入れようと暴力で。最低ね。誰かあ助けて! 男に犯される!」
「おい、誰か助けてやれよ」
「バカ言うな、あれロー・ドンゴじゃないか」
「ラオ・シンの過ぎに強いヤツだ」
「見ろ、娘が持ってるの」
「まさか……」
ああなんか誰かが助けてくれる状況じゃなさそうね。と、突然持っていた大扇子があたしの手から跳ね上がった。
扇子は片目のオヤジのアゴの下から当たり、片目のオヤジが、跳ね上がりしりもちをついた。
「やっぱり見ろ、小娘がローを」
周りが騒ぎ出した。皆があたしがオヤジを倒したと思ってる。扇子が勝手に。
「このあまぁ、おとなしくしていりゃ不意打ちなど」
片目オヤジが立ち上がろうとした時。
「イテテて、誰だ」
つづく