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電信柱

作者: 小城

 この物語はフィクションであり、実在の人物、団体、事件等とは、一切、関係ありません。

 男がいた。その男は自分の周りには、電信柱が異様に多くあることに、最近、気が付いた。

「何故、あるのだろうか?」

 その理由は分からないが、道を歩いていると、よく見かける。通勤途中から、職場に着いてからも、何故か、電信柱が多く存在している。


 普段は、それらの電信柱に、何の感情も抱くことはない。

「あなたは、電信柱が好きですか?」

 と聞かれて、好き、嫌いを答えられる者は少ないだろう。かくいう男も、その中の一人ではあるのだが、無感情に見える男も、普段は、無関心である電信柱に対して、ある感情を抱くことがある。

「何でこんなところに建っているんだ?」

 それは、通常あるべき場所からは異なった場所に建っている。男が行く道の真ん中であったり、行きたい場所であったりと。時には、電信柱があることによって、わざわざ回り道をしなくてはならないときもある。

「邪魔。」

 それがそのとき、男が抱く感情である。邪魔。という怒りを伴った感情を持ちながら、男は道を迂回する。

 電信柱は電信柱で、ちゃんとあるべき場所があるのだから、変なところにあるべきではないだろう。それは邪魔で然るべきであるというのが男の主張であった。


 今日も、男は道を行く。電信柱は至る所に建っている。男にとって、目的地に到る道筋に。男にとって、邪魔なところに。男にとって、役割を果たしていない電信柱。男は、それら電信柱、その物に、何の興味も関心もない。ただ、男が関心があるのは、男の行く道と、道程だけである。

 冷たく固いコンクリートを纏った電信柱。男は、それらに話しかけることもなく、目を向けることもない。好きということも、嫌いということもない無機質な存在。男にあるのは、ただ、それが、男にとって、邪魔であるかどうかという一点のみなのである。

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