58 新しい人形
「ほら、挨拶してごらん?親愛なるスマーロ様って。」
「…。」
「クソっ!また失敗だ!今度はなんだ!?魂は充分に詰め込んだ、力も、記憶も、私の時間も、なんにもかも!全てを!」
スマーロは今、新しい人形作りに熱中している。自身の研究施設で随分と長く、何度も微調整をしながら新しい人形を作ろうとしているのだが…一向に上手くいかない。
「ス…スマーロ様、一度お休みになられてはいかがでしょうか?」
「うるさい!口を出すな!」
「そう…でございますか…。失礼致しました。」
スマーロに怒鳴りつけられたのは、死んだと思われていたカブリーノだった。
そして数時間後。
「よし…よしよしよし!!最後にこの魂を…よし!!成功だ!!ほら、自己紹介してごらん。」
「…僕の名前は…ギャザー…。親愛なるスマーロ様に一生の忠誠を誓います。」
「なっ!見てみろ!!私にはやはりこの世界を手にするように神が申しておるのだ!!それにしても、素晴らしい出来だ。シカズとのコンビネーションも良いように作ったから、2人が揃えば世界はもう私の手の中だ。これ以上、誰も私に手を出すことは出来ない。ふはははは!!!!」
「お…おめでとうございますスマーロ様。そ…それと、申し上げたいことがございます…。私の力がもう弱ってきています。今となっては青、赤、黒、白の色がどこかに飛んで行ってしまいました…。」
「なにぃ?復活させてもらったというのにお前は恩を仇で返すのか?」
スマーロはカブリーノをギロッと睨んだ。
それに慌てるカブリーノ。
「そんな…つもりではなかったのです…ッ」
「そうだよな?お前も私に一生の忠誠を誓うんだよな?」
「は…はい…」
もはや何も口答えできないカブリーノ。スマーロの出した言葉に頷き、はい、と答えることしか許されない。
「ふむ。宜しい。ギャザー、お前に素晴らしい任務を与える。現在、フラクギスタにいるシカズという人物を捕まえて、生きたままここに連れてこい。」
「はい。スマーロ様。素晴らしい任務、光栄に思います。それでは、早速…」
「そうそう、言い忘れてた。お前にまず、実力戦をしてもらう。」
スマーロはそう言うと手をパンパンと叩きどでかいドラゴンを三体召喚した。
「こいつを倒せ。倒すことができたなら、フラクギスタに向かうことを許す。では、見張りをカブリーノ、お前にしてもらう。私は少し自分の部屋で休憩をとるから、騒がしくしないように。」
「お待ちください、スマーロ様。貴方様がお部屋に戻られる前に僕が今、倒します。」
ギャザーは目を瞑り、呪文を唱えると、なんと三体のドラゴンは光の鋼にからまり、そのまま出血死してしまった。
「どうでしょうか?この私の力は?」
「お…おぉ!素晴らしい!素晴らしいぞギャザー!!」
「はは。光栄でございます。」
「よし、フラクギスタへ向かうことを許可する。いいか?シカズはお前の姉だと思え。ギャザー、くれぐれもシカズの被り物を壊さないこと。約束できるか?」
「もちろんでございます。ですが…」
ギャザーは頭に疑問が浮かんだようだ。
「なんだ?」
スマーロが聞き返すが、
「いいえ、なんでもありません。それでは失礼いたします。親愛なるスマーロ様。」
最後にニコッと笑ってからギャザーは部屋からでた。
「バズラっ!!危ない!伏せろ!!」
その瞬間、建物の柱の部分が落ちてきた。
「うおっ!ありが…」
「今はいい!目の前の事に集中しろ!」
「ふ〜ん。いいねぇいいねぇ!段々体が温かくなってきたよ!」
つづく。
次回もお楽しみに!




