53 フラクギスタにようこそ。
…未事鳥について行ってしばらく経つのだが、一向に街や村などが見えてこない。
それと、話が変わるのだが…みんな、思うだろ?魔物だから空とか飛べるんじゃない?って。
見てよ私。走ってるの。お空、飛べないの。私。
もう…疲れた。お腹減ったからあの未事鳥が食べ物に見えてきた。
空を飛ぶ丸焼きのチキン…。ローストビーフ…。ささみ…。
そう思った時、未事鳥は川の側へと降下した。どうしたんだろ。
「ぐるるるるる…びーっぴ…」
「どうしたんだ?鳴くチキ…違う違う。未事鳥。」
そう鳴くと未事鳥はすぐ側にあった木に飛び移った。
すると、緑の木の実がひとつ、ふたつ、続けてみっつと落ちてきた。なんだ、鳴くロースト…違う違う。未事鳥もお腹が減っていたんだ。私も…ひとつ貰いたいな。
「ぐるるるぴーっぴぴ!」
「え、くれるの?」
「ぴぴぴ!」
「わぁ!ありがとう!」
そう、なんと緑の木の実をくれたのだ!それも2つ!
私は感謝を込めてかぶりついた。すると、果汁がじゅわぁ〜っと溢れ出し、なんかシャリシャリしている。
「美味しいな!未事鳥!」
…。
あれ?辺りを見渡しても未事鳥がいないんだが?さっき木から降りてきたはずなのに…。
バシャバシャ!!
なんか川から水しぶきがたってる。
「ぐるるるっぴっーーぴっぴっ!!!」
ってあれ!未事鳥じゃん!!溺れてるじゃん!
「大丈夫か!」
川の流れが速いため、手を伸ばしても届かない…あともうちょっとなのに…っ!
「未事鳥っ!!っうわっ!!」
なんと…なななんと…私まで手を滑らせて川にダイブしてしまったのだ。…ここでひとつ。私は…
泳げない。
そう…泳げないのだ。つまり…やばい。かなりやばい。
ゴポホホホポ…
まって、被り物の目とか口とかくり抜いてある所から凄い水が入ってくるっ…はやく上がらないと…!!
そうだ、未事鳥は!?
そう思い、私は未事鳥を見た。未事鳥は疲れ果てたのか、もう一切動いていない。…私達やばくね?このまま行ったら死ぬよっ!?
誰か…誰か助け…
その時、私の目には信じ難いものが目に映った。まるでそれは川の…妖精?みたいな感じで、美しく、こちらを見ながらすこし微笑んでいる。
そして、その妖精はゆっくり目を閉じ両手を握りしめこう言ってきた。
『善意のある者よ。あなたの、他者の命を助けようと手を差し伸べる姿。それはこの街に相応しい。』
この街?一体どこのことだ?
『…それはいずれわかります。…この街の民はあなたと種族が違います。ですが…あなたならきっと…暗闇の中の光となれるでしょう。』
暗闇の中の光…?
『はい。今この街は非常に惨たらしい事態に陥っています。私は長らくこの街を見守ってきましたが、こんなことになったのは初めてであり、私はこの川から離れられないためなんの力になることができません。…そこで、あなたに授けたい力があります。』
もう…やばい。息がっ…
『水を操る力です。この力をあなたに捧げます。』
なにか青くて、透明な光の玉が私の中に入ってきた。その瞬間、水の中での呼吸が楽になったのだ。これが水を操る力…!
『…この街が壊れるのも時間の問題…。ですから、あなたのその善意に従って街を…民を救ってください。』
その言葉を放つと妖精は水の中へと消えていった。
私は水を操れるようになったので、急いで川からあがった。
「はぁ…はぁ…」
水の中の呼吸が楽になったのはなったのだが、完全に呼吸できる訳じゃない。だから…しんどい…。
「未事鳥はっ…?」
「ぐるるる?」
「なんだ…もうあがっていたのか…。」
「ぐるるー!ぴっつぴ!」
ふぅ…元気そうで良かった。いちじはどうなる事かと思ったよ。…ってなんか焦げ臭い。いや、焦げ臭いとかいうレベルじゃない。
そう思い、辺りを見渡すと…
なんと火の海だった。
「…っここはどこだ?酷い炎だ。」
もくもくとあがる黒い煙。辺りを一面の炎。
近くにあった看板を見てみると、
「フラクギスタ」
と書いてあった。…ということは…ここが…こここそが、
「…バズラの故郷」
そう、バズラの故郷だったのだ。
つづく。
ここまで読んでくださりありがとうございます!
未事鳥もシカズさんも無事でよかった!…でも思うんだけど…未事鳥の正体って…。
次回もお楽しみに!!




