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10 共存の道は現実か?それとも夢か?

「9 敵となるか、味方となるか。」

の続きです!



 私はネミル。今日の占いの結果でここへとやってくる橙の被り物をした者を待っているとこ。

 現在の時刻は12時前。

 そろそろ来てもおかしくない時間だわ。

 そう思った時だった。


 ヌグレバ王国の大きな門の前にシュルルルルという風の音と共に門の前に魔法陣が生成された。

 そしてそこに現れたのは橙の被り物をし、裸足、黒い服を着ている者だった。

 間違いない。あの者が占いで出てきた者。


「よし、移動成功だな。カルミド、ここはどこだ?」


 橙の被り物をした者が小さなお化けに問いかける。

 その小さなお化けの名は…カルミド?というのでしょう。


「はい。ここはおそらくロンデリー地方のヌグレバ王国でしょうか…?」


 私たちには聞こえない特別な魔法を使ったのか知らないけど、橙の被り物をした者は「ヌグレバ王国?」と言った。傍からすると独り言のように見えるけどね。


 その者は私たちに気づき話しかけてきた。


「やぁ、どうもヌグレバ王国の皆様。私の名はシカズ=パンプキン。どうかよろしく。」


 そうシカズという者は言った。

 魔物なのに丁寧なのね。ほとんどの魔物はこんなこと言わないわ。


「そこの魔物!!何をしにやってきたのだ!」


 兵士の隊長がシカズに問いかけた。


「はぁ…。今名前教えたじゃん…。私にはシカズという名があるのだが。名前で呼んでもらえないか?…まぁいい、ここに来た理由はただ単に強くなるため。それだけ。」


 …強くなるため…?魔物は私たち人間や自分以外の魔物の魂をとって強くなる。…つまり、私たちの魂をとりに来たってこと?ということは、私たちの敵ね。


 私以外にもそう考えた者がいたようで身を構えていた。


「ヌグレバ王国の皆様には迷惑をかけないようにする。だから少し私の用に付き合って欲しいのだが…。」


 私たちの敵、シカズという魔物はそう言った。

 そこに国王であるライダブス王が来た。


「それはつまり、我々人間の魂を奪うということか?」


 兵士達はシカズを恐れているのに、国王はズカズカと堂々とし、私も気になっていたことを問いかけた。

 するとシカズは…


「は?何を言っているんだ?付き合って欲しいだけなのだが?」


 こんなの罠であり、嘘に決まってる。そもそもあんたが勝てるほど弱くないのよ私たちの国、ヌグレバは。


「…国王。これはきっと罠です。さっさと退治してしまいましょう。」


 私はそう言う。


「ふむ。俺もそう思った。まぁ、100%の確率で当る占い師がそう言うのだ。皆の者!よく聞け!そこにいる魔物を倒すのだ!!」


 そうライダブスが言うと兵士達は一斉にシカズに向けて攻撃をしかけた。


「なにか誤解をしている。私はあなた達を攻撃する意思はないのだ。」


 シカズがなにかほざいている。まぁ、何を言っても無駄よ。だってあなたは死ぬんだから。私たちの攻撃によって。


「貴様とは仲良くなれると思っていたが、それは流石に夢物語すぎた。さらばだ、シカズ。」


 そうライダブス王は言うと、国の中へ姿を消した。

 この瞬間にもシカズには攻撃が迫ってきている。


「へぇ〜。来客にはそう言う態度をとるのか?」


 そうシカズは言うとバリアをはった。

 たかが昨日うまれたばかりの魔物ですわ。そんなバリア、簡単に壊せるのに。なんて可哀想なのかしら。

 私はそう言い、クスクスと笑った。


 …その瞬間だった。

 シカズへと向けられた攻撃は全てバリアで防御されたのだ。…どうして?!そんなのありえない!!なんで昨日うまれたばかりの魔物の方が強いのよ!?確かに占いでは結果がどうなるか、ハッキリとは分からなかったけど…。


「もう一度聞く。来客にはそう言う態度をとるのか?」


 シカズの言葉により辺りが凍りつく。

 先程まで抑えられていたシカズのオーラが急に出始めた。


 まずい。非常にまずい。昨日うまれたばかりの魔物だからと言って甘く見すぎていた私の誤算だ。

 ひとまずここで話を聞いたほうがよさそう…。


「魔物の言葉に耳をかすな!!もう一度攻撃する!!」


 隊長がそう言い放つ。…だが兵士達は一向に動こうとしない。


「何をしているのだ!!攻撃だ!!攻撃だー!!」


 二度目の隊長の言葉により、兵士達は目を覚ましたのか、また攻撃をしかけた。

 …だめよ。今攻撃したら大変なことになる。

きっと、シカズの攻撃をくらい死ぬ。


「隊長様!!今はダメですっっ!!!」


 私がそう言うも隊長には聞こえなかったようだ。


「うっざいなぁ…。」


 シカズはそう言うと同時に右手を上げ振り下ろした。

 その攻撃は隊長にめがけて進んでいく。

 隊長は絶体絶命のピンチ!!隊長も、

 「うわ…死んだ。」

 という顔をしている。

この攻撃は途中で分散し、隊長だけを狙っている風にして私たちたちも殺す気だわ。


 だが…シカズの攻撃はピタリと止まった。


「シカズ様!!この国の者を殺してしまうと悪い魔物として受けいられてしまいます!!どうかおやめを!

 ここに来た意味を思い出してください!!」


 シカズの頭にその言葉が響きわたる。

 ハッとするとシカズは攻撃するのをやめた。


「…そう…だな。カルミドの言う通りだ。」


 隊長は体中をガタガタさせて座り込み、動けなくなっていた。


「…さて、そろそろ私の話を聞いてもらえるか?」


 …返事をする者はいなかった。…ので、私が代表して、「はい、ご案内致します。ついてきてください。」

 と。


「よろしく頼む。」


 そうシカズは言うとついてきた。

 もしかするとこの者はあの例の件も解決できるかもしれない。


 シカズを城の中へ案内し私は話を聞くことにした。

 …ライダブス王には内緒だが。


 「それで?この国に来た訳とは?」


 「私は強くなるためにここに来たと言っただろう。それで、防具やら食料やらが必要なのだ。だからそういうお店が揃っているこの国に来たのだ。」


 そうシカズは言った。まだ少し怒っているのか口調がキツい。


 「なるほど。この国の者には手を出さないんでしょうね?」


 「あぁ、約束しよう。」


 …それならいいと思うけど、王がどう言うか…。


 「分かったわ。だけど、今から話すある件を果たせたらその、お店を利用することを認めるわ。」


 良い取引だわ、と心の中で呟く。


 「なんだ?」


 「えぇ、その件はねこの国の王、ライダブス王が過去に苦戦して戦った魔物がいたのだけど、その魔物がもうすぐ復活するの。…だからその魔物を倒してくれないかしら。もし復活してこの国を襲われたら…きっと全滅してしまう。お願い!!」


 私は全力でお願いする。

 するとシカズは案外あっさりと受け入れてくれた。

 その時だ、部屋にライダブス王が来たのだ。


 「何をしているのだネミルよ。」


 暗く低く怖い声で私に問いかけてきた。


 「ライダブス王!この者は国を襲いに来た訳ではないのです!しかもあの例の件も…!!」


 「なんだ話したのか!?」


 大きく、低い声でそう言う。

 私とシカズはびっくりして肩を狭める…。


 「だいたい、国王の許可なしにこの国に入国させるとはどういう事だっ!?前代未聞だぞ!?」


 確かに、この国は国王主義の国。国王の命令以外のことをすると…刑罰が下る。


 「ですがっ!!!」


 私は諦めずに訴えかける。

 だが、国王も聞く耳を持たない。


 「魔物の言葉に耳をかすとはどういう事だ!!人間として有り得ぬ!!それと同時に貴様の信頼度もおちるのだぞ!?それでも尚言い続けるか!」


 精神的にきつい。泣き出したい。この場から逃げたい。その時だ、シカズが口を開く。


 「魔物だから差別するのは流石に酷くないか?魔物だって言ってみれば1種の人間のようなものだろう?見た目も人間とほぼ変わりないし、同じ世界を共に生きるものだ。そこまでして差別する必要はあるのか?」


 正論が胸に刺さる。

 確かに、言われてみれば能力の差があるだけで見た目は人間と変わらない。

 そんなシカズの言葉に私は放つ言葉がない。


 「だが…!ほとんどの魔物は人間を攻撃するではないか!」


 国王も諦めずに反論する。


 「それはお前ら人間が魔物を初めから敵視しているからだろう。もともと魔物は手を出さなければ攻撃することはなかったのに今は逆になった。魔物は人間を見る限り襲うようになり、凶暴化した。でもそうさせたのはお前達、人間だろ?…まぁ今更変えることなんてできない。だが、私はその常識を覆してやる。」


 国王は返す言葉を失った。


 「分かった。では例の件、必ず果たすのだ。果たさなければ貴様はどうなるかわかっておるな?」


 「もちろん。任せてくれ。」


 国王は少し不満げだったが承知してくれた。



 人間と魔物の共存が夢でなくなるかもしれない。

 そう思うネミルであった。


 つづく。



こんばんは、こんにちは、おはようございます!

なんかダラダラと長く書きすぎて反省しております。

少し長めのお話でしたが、ここまで読んでいただきありがとうございます!

次回もお楽しみに!

ブックマークなど、もしよろしければお願い致します。

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