1 初めましての出会い。
ザザーっと雨が降る中、1人の影が現れた。
ゆっくりとただ歩いている。その者の名は「シカズ=パンプキン」。今日うまれたばかりのかぼちゃだ。
「おぬし、そこで何をしておる。」
急に誰かが話しかけてきた。まだ自己紹介は終わってないのに…。見た目はおじいちゃんだな。いかにももう90年は生きているかのような顔をしている。
「答えろっっ!!」
…うるさっ!?耳がキーンとしたため、鼓膜が破れたかと思った。
このじいさんはバカでかい声で私をどなったのだ。
…見た目はおじいちゃんなのに。
「…ただ行先もなく歩いていただけだ。」
私はそう言った。…だが実際そんなことはない。私は逃げてきたのだ。とある施設から。私を生み出したところから。
…この話はまた今度。
「…。」
「…。」
沈黙が少し続いた。すると、そのじいさんはただ、「ついてこい。」と言い後ろを向いて歩き出した。
きっと悪さをしてくるような者ではないだろう。
そう思い、私は着いて行く。
何か誤解をしてたらしい。しばらくして話してくれたのだが、このじいさんの名は、「イカサキ サキオ」。私の思った通り、もう長年生きているらしい。
「おぬしは何年生きておるのだ?」
と、自慢げにきいてくる。
殴りたいくらいの笑顔だ。
「私は今日うまれたばかりだ。」
そう応えるとイカサキは驚いた顔…?というか煽るような顔をしていた。うひょ?みたいな…。
なんなんだその顔は。
…やっぱり1発殴ってやろうか。
「なんだと…!?」
煽るのか?
「そんなのありえん…!! おぬしほどのオーラ、ワシは見たことがないぞっ!?」
…予想外の答えに混乱した。
「オーラ…?」
なんだそりゃ。
こいつは見込みがある。とでも言うかのような顔をしている。ありがたいが、…バレバレなんだよ。すべて顔に出ている。
また、しばらく沈黙が続いた。
歩いて10分程だったか、イカサキはハッとすると、ここがワシの家じゃと言った。私の目の前に現れたのすごく大きい建物だ、
見るからに豪邸だな…。と心の中でそう呟いた。何故かそれがイカサキに伝わったらしく自慢げな顔をしてくる。よく分かったな。私はかぼちゃを被っているから、顔の表情は全く見えないのに…。
「ささ、中へ!」
考える間もなくイカサキは言う。
「お邪魔します。」
部屋の中は暗く、いかにもお化けがでてきそうだ。
イカサキのイカだけに。
すると後ろから風を切る音がした。
…殴ら…れる?
そう思った私はすぐに受けの体制をとる。
「バリア。」
私のバリア発動と同時にイカサキの拳は私を目掛けて来る。だが問題ない。私のバリアはそう簡単に破れない。
「うっ…」
私のバリアに当たり、イカサキ少し飛ばされた。一体何を考えているのだ。
「なぜだっ…。その被り物で視界は限られているはず…!! やはり生まれたばかりのものだとは思えん…。だが見事だ。ワシの家への入場を許可しよう。」
なんだ、試していたのか。
…いや、もうちょっと色々試すやり方あったよね!?
「ありがとう。」
まぁ、でも認めてくれたのだ。それは感謝する。
少し残念そうな顔をするイカサキはパンパンと手を叩き灯りをつけた。魔法を使ったのか、キラキラのシャンデリアに灯りが灯っていく。
「…!!!」
凄い。外見から豪邸だとは分かっていたがまさかこんなにもすごいとは…。
「すごいじゃろ?ここはワシの家兼宿泊所なのじゃよ。」
これは…凄い。凄すぎる。キョロキョロとする私を隣にイカサキはまた自慢げな顔をしている。だが今は気にならない。建物の構造に気になって仕方ないからだ。
「…クスッ」
今、笑ったか?…まぁいいや。
するとイカサキは私を特別に良い部屋に案内してくれた。
案内について行く時、他の来客者が私を凝視していたのはきっときのせいだろう…。
0315室。…サイコウの部屋だ。
しばらくしたらまた来ると言いイカサキはどこかへ行った。その間は部屋でくつろいでくれと。
「いいのか?」
と聞くと「何も問題はない。」と笑顔で答えてくれた。先程の笑顔とはまた違う。
…イカサキは良い奴なのかもしれない。
信用してもいいのかもしれない。
部屋に入り、すい〜っと一通りみる。ベットというふかふかの布。お風呂という温かい水の出る場所…!
それからベッドと同じようにふかふかの椅子…!!
めちゃめちゃいい部屋だ。なんだか申し訳なくなってくるほどの。
ふぅーと、一息吐き、少し眠くなってきた頃だった。イカサキ…と、綺麗な女の人がやってきた。
「ようこそおいでなさいました。ここではこころゆくまでお過ごしください。お代金はもちろん要りません。」
まさに0315だな。
と、心の中で思う。
「ただし…条件がございます。」
「なんだ?」
と聞く。するとこう続けた。
「この宿泊所を少し行ったところに洞窟があります。その洞窟のなかにいる魔物が悪さをしているのです。ですから…それを退治してほしいのです。」
と。
楽勝ではないか?
「わかった。引き受けよう。」
あっさりと引き受けたため、少しキョトンとしてからイカサキと綺麗な女の人は目を輝かせた。ありがとう、ありがとう、と。
「だが、そんな感謝されるものでは無い。しかも、退治出来るかどうかわからない。それでもいいのか?」
と聞くと洞窟の状況を話してくれた。
簡単にまとめると、こうだ。
小さい2匹のお化け、と色持ちではないスパイダー。そいつらが悪さをしていると。
「色持ちではない?なんだそれは?」
と、私が聞くと綺麗な女性は教えてくれた。
「はい。色持ちのカラハブ、色持ちではないエニハブという魔物には2種類あるのです。カラハブは過去500年の中でもたったの8人しか存在しなく、エニハブは何百万といます。色を持っている魔物はとても強く、その強さは例えるものが無いほど。エニハブでも強いものはおりますが、カラハブには及びません。」
「なるほど…。要するに色持ちは強いってことだな。それで、今から行ってこればいいのか?」
「今すぐにお願いしたいのじゃが…おぬしは今日うまれたばかりであろう?強いと思うしそヤツらにも勝てると思う…が、万が一の場合のために…」
イカサキは私を心配してくれているのか…。
「わかった。今日と少しは行かない。しばらく観察するのもありだな。」
「わかりました。1日でも早くまた良い日が戻ってくることを期待しております。…ではごゆっくり。」
そう言葉を残してイカサキと綺麗な女の人は部屋から出ていった。
つづく。
こんにちは、こんばんは、おはようございます。
Irukaです。初めまして!
これから不定期で投稿していきます。
これからも是非よろしくお願いします。