二日目 その五
>レイダーは屋敷に戻り母親に言われていた通りに風呂に入り汗を流した。
>服も汗で濡れたモノから着替えた。
>そして一人で昼飯を食べている。
母親に言われた通りに行動していますね。
指示をしたその母親がいないことに気になりますが、どうせ訓練に必要な準備をしているのでしょう。
見ていて寂しいです。
さっさと食べ終わって訓練する場所へと向かいましょう。
>「レイダー、食べ終わった?」
>丁度、昼飯を食べて終わると母親が現れた。
>レイダーは今、食べ終わったところだと答えた。
>「そう。ならもう少し経ってから始めるわよ。気絶するまで鍛えるつもりだから頑張るわよ!」
>気絶するまで鍛えると言われてレイダーは顔を青くする。
>そして父親や姉のスイレン、道場にいた者たちが顔を青くしていたの理解する。
>全員が本当に気絶するまで鍛えられたせいだ。
>トラウマになってしまった者もいるのではないかとレイダーは予想してしまう。
実際に顔を青くしていたり震えていましたからね。
本当に大丈夫なのか不安です。
父親とスイレンが複雑な表情を浮かべていたのは気絶するまで追い込まれるけど効果はあるかもしれませんね。
>「さてとレイダー。【魔】を上げるには、どうすれば良いか分かるかしら?」
>簡単な質問にレイダーは首を傾げてしまう。
>昨日も実際にやって【魔】を上げたのに、何故そんな質問をするのか理解できないようだ。
何故、こんな質問をするのか確かに意味がわかりませんね。
どういう意図があるのか理解が出来ません。
>「瞑想とは精神を鍛える為にあると私は思っているわ。つまり精神が強いと【魔】も強くなる!」
>母親の言葉に頭痛がするレイダー。
>たしかに否定は出来ないかもしれないが別の理由もある筈だと思っている。
>病気で手術をして治るか死ぬかの選択肢を選んだ患者が精神が弱いとはレイダーは思わない。
>ちなみにその患者は【魔】が強い者もいれば低い者もいた。
なんか重い話が流れてきたんですけど。
これって親しい友人が病気で死に別れてしていても可笑しくないんですが……。
>そのことを話すと母親も頷く。
>それなのに精神が強いことが【魔】も強いと言っているのが信じられない気持ちになった。
たしかに逆説的に言えば精神が弱いと【魔】も弱いと言っているものですからね。
>「そうね。私は精神が強くても【魔】が弱いのは本来の持っている力を引き出せないからだと思っているわ」
>本来の力を引き出せないと聞いて首を傾げてしまうレイダー。
>詳しく話を聞きたいと身を乗り出す。
どういうことでしょうか?
母親の説が気になりますね。
>「病は気からという言葉もあるわ。私はこの言葉から、いくら精神が強くても病気に掛かれば精神は疲労していくと考えているわ。特に長い病気にかかると疲弊したままに精神が弱くなっていく。つまりは本来の【魔】も減っていくのよ」
>母親の説にレイダーは病院生活を思い出した。
>そして確かに長い間、入院している者で普段から精神が強いと感じた者は一人もいなかった。
>それに自分自身が入院生活もしていたから精神が疲労していたのも今思えば心当たりがある。
母親の説にレイダーも納得していますね。
長い自分の経験から心から理解していそうです。
ん?
その場合、瞑想で【魔】を鍛えるよりも精神を回復させた方が良いんじゃないかと思うんですが?
>「また病院生活に戻らなければ毎日、少しづつ精神が回復していくんじゃないかしら?それか疲弊した精神は回復しないのか、まだ分からないけどね」
俺としては後者だと思いますね。
前者だと長い間、病院生活をしていたレイダーの【魔】は高いはずですし。
ゲームとしても何もしていないのに【魔】が上昇するのは有り得ません。
スキルか何かでステータスが低下しているというなら前者を選んでいたかもしれませんが。
>その言葉を最後に母親は立ち止まる。
>どうやら目的地に着いたらしい。
>一か所にはナイフがあったり、縄があったり、頑丈そうな太い棒が立ってある。
>それを見てレイダーは顔を引き攣らせる。
………でしょうね。
というよりSMクラブか何かかな?
鞭もありますし。
>「さてと皆、まずはレイダーを縛って」
>母親の言葉に従って執事やメイドたちがレイダーを無理矢理に縛る。
>中心にあった棒に縛り付けられて逃げられなくされてしまった。
>母親の手にはナイフ。
>どうしようも無く冷や汗が流れてしまう。
え?
何をするつもりなの?
まさかレズ君を的にしてナイフを投げたり鞭で叩いたりしないよな?
親子で鞭で叩くとか業が深いんですが……。
>「安心しなさい。絶対にナイフを当てたりはしないわ。ただギリギリのところに投げるけど」
>レイダーは何でこんなことをするのか意味が分からない。
>逃げようとジタバタしようとするが強く縛られている為に動くことすら出来ない。
虐待かな?
>「レイダー、私の命の危険を感じさせる経験を頑張って絶えなさい。終わる頃には精神が鍛えられるはずよ」
>レイダーはふざけるなと喚こうとしたが、その直前にナイフが投げられたせいで黙ってしまう。
>そして、その後にも色々と命の危険を感じる鍛錬をさせられた。
そういう鍛錬!!?
そりゃ身体を震わせたり、顔を青くする者もいるわ!!
トラウマになっているんじゃねぇの!!?
父親と姉が複雑な表情を浮かべていたのも多分、何度もやっていて死者を出したことがないから信頼できるけど恐怖体験をさせられるからか!!




