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第22話 VSベヒーモス

ベヒーモスさんが先導し俺たちがダンジョンに入ってからどれくらい経ったろうか?

全員が緊張しながら奥へ奥へと進んでいく。


道中で出てくるモンスターに対して、ベヒーモスさんは何もしない。

彼らは自我を失っているので倒していただいて構いません。などと言ってくるくらいである。


おいなりちゃんも戦闘に参戦して敵をバッタバッタと倒してくれていた。


「皆様、先程から随分と静かですが緊張なさっていますか?私は先程から高揚が止まらないのですが♪

強いものと戦えるのは良いですね。」

「それは貴方くらいですよベヒーモスさん…。

僕はまだ良いですが、他の皆は貴方の持つ覇気だけでも本来なら動けないのですから…。」

「おや?そうなのですか。前回の勇者さんは私の覇気の中でもケロリとしていましたので皆そういうものかと…。いやぁしかし、彼女は強かったですね。人間に私の腕を切り落とされる日が来るとは思いませんでしたよ。

彼女は間違いなく貴方より強かったですよ。皇国のギルマスさん。」


ニヤリと楽しそうに微笑むベヒーモスさん。

流石の皇国のギルマスもゾッとしている。


「ハハハ…。私は貴方との戦いは遠慮しておきますよ…。」

「私も雑魚には興味はございません。

私は、成長の見込みがあるそちらの4人…、特に戦士の方に興味があります。

貴女のうちに眠る力…。実に素晴らしい!ぜひ、我が手で最強の戦士に仕上げたい!

こういう時、大賢者様の世界では…、オラワクワクすっぞぉ!と言うんでしたね。」


すげぇネイティブにあの有名なセリフがイケオジボイスで再生された。


「いつのまに人の記憶覗いてるんですかあなたは…。」

「先程、あなたの後ろに立った時にごそっと…。」

「ちょろっとじゃないんかい。」


つまり、俺の知識も手の内も既に把握されているという事だ。

この後の戦いでも勝てる気がしない…。


「ご心配されなくても今勝たなくて結構です。

貴方がたには今そのような次元の力はございませんので。

ですので、あなた方には勝てるようになって頂きたいのです。

私の覇気に当てられていても動けるが第一歩、そして覇気の中でも喋れるが二歩目です。

ここまでは達成されています。

次は私の攻撃を凌ぐ。

その次は傷をつける。

そして腕を落とす。

最後に私を倒す。

これで合格です。


勇者さんは凄かったです。

最初の段階で私の攻撃を凌ぐ実力でした。

その後、たった3日で私を倒すに至りました。


なかなかの実力者でしたよ。彼女は…。」


皇国のギルマスを肘で小突く。


「ねぇねぇそんなやばいの?その勇者ちゃんって。」

「えぇ…。元々はタダのアホの子と思っていました。私が魔王を倒す!と意気込んで冒険者になり、そこの盗賊さん同様に怒涛の勢いでA級に至り、そして、自分の事を常に勇者と言っているような子です。

えぇ…。本当にアホの子です…。ただ、その勇気は確かに本物ですね。

その結果、S級スキル【勇気在ル者】を獲得し、S級冒険者になりました。

ですがよもや、貴方が鍛え上げそのまま本物の勇者として魔王の元へ送り出していたとは…。」

「えぇ、とても育て甲斐がありましたよ。

そして恐ろしい事に、私がダンジョンを移動してもすぐ見つけて挑んでくるんですよ…。

私を一度倒せた時点でもう良いだろうと思って、魔王様の元へ行くよう促しましたが3回殺されました…。

あ、ちなみに私たちはダンジョン内なら死んでも復活できるスキルがあるのでこの通りな訳です。

ですので、そこはご心配なく…。

アホの子…ですか…。ほんとそこは否定できないですね…。

お前を三回殺したら魔王に挑戦して良い事にさせてくれ!とか言って来るんですよあの子…。

なんなんですかほんと…ちゃんと頭も育ててくださいよ…。」


どんだけアホの子なんだ勇者ちゃんは…。


「さて、着きましたよ。こちらが私の…」


おぉ…!ボス部屋か…!!


「私を倒すまで絶対に出られない部屋です。」


言い方ぁぁぁぁぁぁっ!!


「大賢者様の世界にはxxxをするまで絶対に出られない部屋なるものがあるそうですね。

おや?おかしいですね。

xxx!!xxx!!!うーん…。何故か発声しようとするとノイズが入りますね…。」


放送禁止用語を連呼しないでぇえっ!!

読める年齢引き上げないといけなくなるから!!


「おい、ご主人様の世界にはそんな…え、エッチな部屋が」

「ねぇよ!!創作物の話だよ!!

人の記憶から手に入れた変な知識広めるのやめてっ!?困る!おじさん困っちゃうから!!特にこの子に今そういうの言わないで!!ど変態だから!!」

「ご主人様…ったく、みんなの前でそういう事言うなよ…誤解されちまうだろ…もうっ…ばかっ…。」

「心配しなくても、もう色々手遅れだよ…。」


ほんと、このベヒーモスさんは…。


「人間ってからかい甲斐があって楽しいですね。さて、ではどなたから私と戦いますか?

私はどなたからでも構いませんが。無論、一斉にでも構いませんよ。」


全員が身構える。


「では僕が。私がどれほど勇者さんに劣るか、是非教えてもらいたい。

劣ってしまってるであろう事は認めますがね。」

「良いでしょう。では、中央へ。

皆様はそちらの安全なギャラリー席で観覧していてください。私たちの攻撃はそこへ届かないですし、仮に貫いて死んだとしてもこの部屋ではあなた方も死ねませんので。

なので…私はここであなた方を何度でも殺させて頂きます。

満足いく強さに至るその時まで…。よろしいですね?」

「わりぃ、晩飯までに帰って来いって言われてっから今日はそこまでにしてくれ。

魔女さんとこの城のご飯はうめぇからさ!逃したくねぇんだ!」

「わかりました。では本日は…あと3時間くらいですかね?」


聞き分けが良すぎる!!


「私は人間を殺しに来た訳では無いですからね。

ただ、是非ともここへは来れる限り通いに来て頂きたく思います。

貴方達を強くするのはとても楽しそうですので。

では、どうぞ。ギルマスさん。」


俺たちは観覧席へ移動し、ギルマスさんとベヒーモスさんが中央のリング的部分へ移動する。


「では…行きますよ!ベヒーモスさん!」

「はい、どうぞ。」


ギルマスがその場で静止したまま高速に剣を振るう。

魔力と気力を帯びた剣から強烈な衝撃波が放たれ、ベヒーモスさんにヒットする。

が、やはりダメージはない。


「ふむ…。貴方が言っていた通り…ダメージは無しですか…。

では、私の最強の必殺技で…!」


今度はその場から消えるような速さで動き出し、気がつくとベヒーモスさんの背後で剣を納めていた。


「なるほど。戦士さんが使っていたスキルの真の完成版ですか…。

人間同士や並みのモンスターなら肉片すら残らないでしょうね。

ですが、人が使える力のままでは私たち魔族に傷はつかないのですよ。

本気でやるつもりなら神でも味方につけて出直しなさい。」


そう言うとベヒーモスさんがデコピンを放つ。

そのデコピンから放たれた衝撃波で皇国のギルマスの頭に穴が空いた。


「はい、おしまいです。無駄な時間でした。

次はどなたにされますか?私としては魔法使いさんに興味があるのですが♪」


気がつくと観覧席に皇国のギルマスさんが座っていた。


「死ぬかと…いや、死にました…。魔族怖い魔族怖い魔族怖い魔族怖い…。」


鬱になっちゃったよ…。て言うかこの人メンタル弱いな…。


それに対して、魔法使いちゃんはなぜかすごくワクワクしている。

なぜだ?


「今度は叩いても簡単に死なない人?と戦えるんですね!私もワクワクします!!」

「アンタ…いつからそんなにタフなメンタルになったのよ…。」

「ベヒーモスさん!殺すときは体に傷残るのは嫌ですよ!女の子なんで!!」


本当にタフで在る。


「ハハハハハ。かしこまりました。では殺す前に観覧席に戻すと言う事で。」

「え、僕は…。」

「え…?気分…?ですかねぇ…?」


そんなジャンプ力ぅ…ですかねぇ…みたいな言い方…。


「理不尽っ!!」


かわいそうに…。


「では、魔法使いさん。私は動きませんので好きに打ち込んでください。

お任せしますよ。」

「わっかりましたぁ!」


そう言うと、地面に杖を突き立て、鋭利な岩を大量に生成。

岩には切削ドリルのようなスリットが彫られている。

それを風魔法で高速回転し、重力魔法で加速し一気に大量に打ち込む。

が、岩は触れる前に砕け散る。


その隙に、超高速で水魔法を電気魔法で分解、それに火属性魔法で着火、爆発させる。


そして爆風で粉塵が上がってる隙に、上空に水のレンズを生成、それに擬似太陽の太陽光線を集中させ巨大な光の柱で一気にベヒーモスを焼き尽くさんとする。


なかなかの連携技だ…。

しかもこれらは今朝の、俺とギルマスちゃん&魔女さんの戦いで得たものだろう…。


【見たものを覚える】


これは相当な力だ…。


「えぇその通りですよ大賢者さん。貴方が今思ったように彼女はあるスキルを保有されています。

貴方の影響なんでしょうかねぇ?

洞察力を高めるアイテムでも作って差し上げなさい。それがきっと彼女を導きますよ。」


これだけ派手にやられて無傷かよ…。


「えぇぇええ!?なんで今ので怪我してないんですかぁあ!ずるいです!ずるいです!」

「ハハハハハ。そうは言われても魔族ですので。

それよりも貴女…。これだけの大魔法を連続で放って魔力欠乏症を起こしていないのですね。

なるほど…。これはまた…素晴らしい逸材だ。では、次は…そうですねぇ。盗賊さん、どうぞ。」

「あんだけ派手なもん見せられたらオレも負けらんねぇな。やってやるよ。」


盗賊ちゃんも大分やる気のようだ。


「はい、では貴女もお好きに打ち込んできてください。」

「おっけ。せっかくだし色々試させて貰うぜ?」


そう言うと、盗賊ちゃんのナイフが高速振動する。


「スキル…ビークソード。

普通なら大抵のもんはこれでスパッと切り落とせるんだがな…。」


目にも留まらぬ速さでベヒーモスさんに切り込みに行くがやはりナイフは通らない。


「ち、硬いな…。なら、こう言うのはどうだ!」

「ほう…。面白いスキルですね。相手のスキルを奪いコピーする能力ですか…。何か奪えましたか?」


そんなスキルもあるのか…。ほんと万能だな盗賊ちゃんは…。


「心の中でもそんだけ褒められっと照れちまうよご主人様っ♪」

「今すぐそのスキル返して来い。」


奴隷紋が光り、盗賊ちゃんはチェーっと言ってスキルをベヒーモスさんに返す。


「なぁベヒさん…。あとでこっそりそのスキルくれよ…。ご主人様にばれない場所でさぁ…。」

「ハハハハハ。そう言う交渉はご主人様が見てない場所で声に出さずにやりましょうね?

奪えるスキルは相手が発動していたスキルのようですね。

特別サービスです。私の今から発動するスキルを奪って見なさい。きっと貴女が欲しいスキルの一つですよ。」


と言うと、イケオジベヒーモスさんがバチンっとウィンクする。


なんだこれ……。男なのにキュンときたぞ!

まさか…これは…!


「っしゃぁああ!奪ったぞぉおお!よし!ごっ主人っ様ぁっ♪」


盗賊ちゃんがこっちに振り返りウィンクしながらピースしてきた。


ぐはっ!効っく!めっちゃ効くぅうう!すっげぇかわいい!んほおぉぉおっ!

らめぇ!らめなのぉおおお!きゃわいすぎるのぉおおお!


「ハハハハハ、どうです?魔力無効化では無効化できないんですよ【魅了】のスキルって。」

「ベヒさん。お前最高かよ。」

「それも今すぐ返せぇええ!」


奴隷紋がキュイイインっとまたも光る。


が…。


「ハハハハハ。返す前にしっかりと定着したようですね。元々魅力的な方ですから当然ですね。」

「お前なにしてくれてんだぁああぁ!」

「ハハハハハ。私は恋する乙女の味方ですよ。」

「ナイス!ナイスだぜベヒさん!」


たのしそうですねー。おれはたのしくないけどー。


「あんたにも効くのかコレ?」


盗賊ちゃんがかわいくばっちーんっとウィンクをかます。


「ぐっふぅうううぉぉおおああああ!」


こうかはばつぐんだぁあああ!!


「えっ…。」

「えぇ…。」

「なにこれ…。」

「うそぉ…。」


皇国のギルマスを除く四人がこの状況に固まる。


「はぁ…はぁ…。素晴らしい…。私が見込んだ通りの魅力です。貴方にこのスキルを与えてよかった…!」


うわ、すっごいガッツポーズ。


「な、何であんなに効いてるのよ…。

ただの魅了スキルでしょ?魅了は相手の動きを止めたり、自分の事を好きにさせてコントロールしたりそう言うスキルって認識だけど…。」

「それは私が、ロリコンだからです。」


……………。またも空気が固まる。


「あ?なんて?」

「私は…ロリコンです!!幼女が!大好き!なのです!」


盗賊ちゃんが珍しく引いてる…。


「ほう…ほほーう♪」


あ、なんか良からぬ事を考え出したな。


「ふふふ、どうぞ。私を倒せるなら倒してみなさい?」


盗賊ちゃんはベヒーモスさんの顔を両手で包み、キス直前の距離まで近づくと…


「おじちゃん…だぁいすきっ…♪」

「ふぉぐぅうっはぁぁぁぁぁあっ!!」


あ、吹っ飛んだ。


「おいおい…マジかよ…。これは勝ちで良いのか…?」

「ふぅ…、なかなかのご褒美でした♪やはり幼女は良いですね。

ちなみに、魔法使いさんの魔法攻撃も実に気持ちよかったですよ♪」


うわ、妹ちゃんがぞわわわわっと寒気感じてる…。


「さてさて、冗談はこの程度にしましょうか。貴方の最強の技を…私に見せなさい。」

「よし…。ま、ダメージは通らないのは分かっちゃいるが…コレ、受けてみてくれよ。」


そう言うや否や盗賊ちゃんが黒いオーラを纏う。


そして、盗賊ちゃんが高速で動き出すと急にその姿が消える。


「おや…?完全に気配が消えましたね。

気配もオーラもなにも感じない…。いえ、認識できない…が正しいのでしょうか?

む!?」


すると、ベヒーモスさんの影から黒い影で生成された盗賊ちゃんが現れてベヒーモスさんを次々に攻撃していく。

だが、やはりダメージはないようだ。


「ほほう…。コレは惜しい…。実に惜しいですね。このスキルがもう一段階上がれば…。」

「スキル…奪盗!」


そういうとベヒーモスさんの胸元に悪魔の手のような黒い影が現れる。


「おや…。コレも…惜しいですね。」


しかしなにも起こらず消えてしまった。


そして、黒い煙のようなものの中から再び盗賊ちゃんが姿を見せる。


「ち…。やっぱ無理か…。

盗賊スキルで心臓を直接奪い取ろうしたんだが…やっぱ、魔族レベルになると抜き取れないもんだな。

魔物くらいなら楽に抜き取れるんだけどなぁ…。」


やれやれと盗賊ちゃんが降参のポーズをとる。


「えぇ、ですから…惜しいのです。あなたの今使った2つのスキル…。

このスキルはまだ人の域を超えていない。ですが、このスキルに悪魔の力でも加われば…。

いやはや恐ろしい…。

では…次は戦士さん。どうぞ。

ちなみに私はロリコンですが、あなたは私のロリの基準からは外れているのでご心配なく。」


と言うと、背後から物凄い怒りのオーラを纏った戦士ちゃんがぬぅっと現れる…。


「おっけー。ちょっとあいつブチ殺してくるわ。」


2人がお互いを見つめ合う。


「お前…マジぶっ殺すからな…。誰がBBAよ…。盗賊と私は1歳しか変わらないのに…。」

「主に胸元ですね。大き過ぎます。

良いですか?たとえ貴女が14歳でも、ど貧乳で身長が低ければそれはすなわちロリなのです。

可愛いのですよ。」


戦士ちゃんがヴァリアブルソードで大剣を生成し、スキル 神速絶刀により大量の衝撃波を放つ。


「でかい方が良いでしょうが普通!!くんぬぉ…るぅぅぉおりぃくぉんぐぁぁぁぁぁっ!!」


おおおお…。メタルのロッカー並にシャウトしてる…。


「ふふ、良いですよ。あなたに足りないのはそれです。どうぞ、お怒りなさい。怒りを私にぶつけなさい。

あなたの怒り…恨み、全て力に変え、私にぶつけなさい…。私は…貴女の仇…でもありますからねぇ!」

「せっかく許してやったのに…お前って奴はぁぁあぁぁぁぁぁっ!!」


その怒りに答えるように、戦士ちゃんの背後に不動明王が出現し、戦士ちゃんに合わせて不動倶利伽羅剣を振るう。


剣は前方をド派手な衝撃波で吹き飛ばし、こちらの観客席も吹っ飛ばしかねない勢いだった。


「おやおや驚きましたよ。私を一度で殺す域まですぐに至るとはね。やはり、貴女が一番最初にたどり着きましたか…。本当に良くここまで成長したものです。」


俺たちの背後からベヒーモスさんが現れる。


「あんたが俺たちの背後から現れたってことは…。」

「はい、合格です。よく私を殺せましたね。」


戦士ちゃんがふんっ!と激しく剣を振り、変形を解いてネックレスに戻す。


「一回じゃ足りない気分よ!もっと殺させなさい!」


ベヒーモスさんは楽しそうに笑った。


「えぇ、ですがその前に次はあなたですよ。大賢者様?」


さて…俺も負けてられないな…。いっちょ本気で迎え撃つか!

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