表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

仄暗い背景シリーズ

紙一重だった分岐点の話

作者: 望月 暁生

初回掲載:2011/04/04 改稿:2019/05/21


言葉なんて要らない――

「上辺だけの台詞に何の意味があるの?」


もう誰も信じられない――

「信じるから裏切られて、利用されるの」


そう言った君に、私は「そうだね」って呟いただけ。

今は何を言っても無駄な気がして言葉を噤む。

必要なのは――時間。それはどれ程の量だろうか。



たくさん泣いて、少しだけ吹っ切れて……

何もかもを諦めて、投げやりになって自棄になる。


自分を大事にできない……

そんなあなたに、私はなにができるだろう。


言葉で気持ちを伝えても、空回りしそうだったから……

あなたをギュッと抱きしめる。


そうして少しだけ、ほんの少しだけでも穏やかになれたなら……

もう一度その心に、語りかけてもいいですか?




 *




今でも時おり思い出す。

白昼夢、あざやかに。



気持ちは目には見えなくて、表現の仕方は人それぞれで……

言葉が通じるからこそ、分かり合えないこともある。

傷付け合うことも多いけど。それでもね……


やっぱり、諦めないで……。人と人との繋がりを。

初めから切り捨てたりはしないで欲しいと思う。


変わらぬ愛なんて無いかもしれない。

永遠なんて約束は虚無かもしれない。


だけど僕は、君を思い続けると誓うよ。


もしも異性だったなら、もっと違うカタチで……

君の支えになれたのかなぁ?



人間って、とても不自由な生き物だよね。



あなたと私は紙一重の境遇だった。

だけど私は今、こちら側にいて……

あなたは未だ、あちら側にいて……


私に出来ることは何だろう?

私がすべきことって、なに?


思っているだけじゃ意味がないと知っているのに何もせず……

ただ「いつだって味方だよ」って呼びかけることしかできない。


遠く離れたあの土地で、あなたは今なにをしているのかな……


ごめんね、私だけ先に抜け出して……

ごめんね、ずっと隣にいられなくて。



そこは苦しいね。

そこは暗くて淋しいね。


抜け出そうと無我夢中になって、

焦れば焦るほど深みにハマってしまう……


知ってるよ。一度は通った道だもの。

苦しみ、浮き沈みを繰り返し、

溺れて、流されていた場所だから。

何度も壁にぶつかって、そのたびに壊れていった――



なにが光なんだろう?

なにが糸口なんだろう?


同情や憐れみ、抜け出した優越感がもたらしている感情なのか……

それすら今は、わからなくなってしまっている。



私とあなたは似てたけど、あなたと私は同じじゃない。


突き詰める度に浮き彫りにされる事実。

ほんの僅かな差。それがひどく残酷だと思った――





失われた日々に名前はつかないけれど、

たった一つ、宿れるものを誇れたら……


芽生えて育むうちに、輝けるのでしょうか。

どんな光と水が、命を生むのでしょうか……

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ