クラン創設
よく見るとパーティーのリーダーらしき2人がフィアと話しているようだった。
「君みたいな優秀な人は僕のパーティーに入るべきなんだ。不満があるなら言ってくれ。それを叶えるように努力をするよ」
「うるせえ! テメェは黙ってろ! コイツは俺様のパーティーに入れんだ!」
「だからどちらのパーティーにも入るつもりはない!」
丁寧口調の男は灰色の髪で銀色の騎士風の装備をして腰には剣を下げている。鎧に加え後ろに背負ってる盾でより強固に感じる。
一方、声を荒げている男は茶髪で黒色で統一された装備をしており腰に左右で違う剣を下げている。身軽で攻撃重視の装備のようだ。
聞いた感じ2人はフィアを勧誘したいようだが彼女はどちらも気にかけていないみたいだ。フィアは戦力としては申し分ないのだが性格、いや性癖に問題があるんだよな……。しかもそれが自分のスキルと合ってるからタチが悪い。それとも逆か? スキルを活かすためにやってた事が性癖になったのか?
「私はもうパーティーに入っている。ここを抜ける気はない!」
「ならそのパーティーも僕のクランに入ればいい。それなら全て丸く収まる」
「ふざけた事言ってんじゃねー! パーティーってあの2人のことか? どう見ても初心者だろーが。俺様達の勧誘を蹴っといてあんな奴等といんのか?」
おっと、変な考えをしてないでさっさと助け舟を出すか。下手に見下されても後々問題だしな。
「すみませんが見た目だけでうちのパーティーメンバーを悪く言うのは止めてくれませんか。ごめんみんな、ちょっと遅くなった」
「なんだオマエは?」
「フィアさんのパーティーの1人かな? どうかな、君達も僕のクランに入らないか? 絶対に後悔はさせないよ」
「悪いけど遠慮しときます。俺達は俺達でクランを作るつもりなので」
これも話し合いで決めた事だ。だがクランを作るのはまだ先の予定だ。今はこうでも言っとかないと2人共引き下がる雰囲気ではない。
「初心者共がクランを作るダ〜? 冒険者舐めてんじゃねぇぞ! 実力もねぇのに大口叩いてんじゃねーよ!」
「アンガー、まだ彼等の力がどのくらいか分からないのにそういう言い方はよくないよ。君達はダンジョンへは行ってるのかな? もしよかったら今どの階層か教えてくれないかな?」
「今はまだ4層だが戦闘はまだ余裕がある」
俺が言うまえにフィアが答える。戦闘に余裕があるなら暗にまだ深くまで行けると言いたいらしい。実際まだMPもそこまで使ってないしまだまだ潜っていられるけど時間的に限界がある。
「そりゃオマエがいれば戦闘も余裕だろうさ!」
「私抜きだとしても主達は4階層なんて簡単に攻略できるぞ」
「あ、主だって!? フィアさん、主とはどういうことだい!?」
「どういうこともなにも身も心も預けると誓った身だ」
はて、そんな誓いをされた覚えはないのだが。フィアの戯れ言はこの際無視して話を進めよう。
「現状ランクも低いですし装備の更新もできてないのは事実ですが後々クランを作る……」
「そのクランワシ等も加入するぞ!!」
予定ですと続ける前に誰かが割って入って来た。
「ワシ等も金の衣を纏いしお嬢のクランに入るぞ!!」
「あの時の御恩を返すが為に!!」
「ウオォォーー!!」
声の方を見るとオッサンズがいた。
は? いや待て、今すぐ作るとは言ってないぞ。気が早すぎるしお前等を入れるとも言ってない。
「金の衣だって!? 彼女はそんなすごいスキルが使えるのか!!」
「あぁ? 見間違いかなんかじゃねえのか? コイツがそんなモンを使えるようには見えねえが……」
「見間違えるもんか! 体を張って儂等を守ってくれた時の事は今でも思い出す」
「彼女もそうだ! 魔法を使って魔物共を追っ払ってくれた!」
オッサンズはカノンとエルの戦闘を称えているが俺の事は一切語られない。こいつ等は襲って来たハントハウンドの群れのリーダーであったレスケンスを倒しに行った俺の事を逃げ出した奴とか言ってたからな。俺の評価をする気が一切ないようだ。
「お嬢さん達。僕はクラン白銀の騎士団のリーダーのレイオス=アッシュグレイ
だ。もし良かったら2人も僕のクランに入らないかい?」
レイオスと名乗った灰色の髪のイケメンはカノンとエルにも勧誘しだした。ちなみに俺の事は無視です。はい、わかってました。
「私はハルキさんのパーティーを抜けるつもりはありませんし貴方のクランにも入る気もありません」
「……右に同じ。ご主人様と離れない」
この白銀の騎士団というクランはこのリスターバで2強と言われるクランの1つだ。普通なら少しは考えたりするものだが2人は瞬時に断った。
それと2強のもう1つのクランはレイオスと一緒にフィアを勧誘していた茶髪の男、アンガーがリーダーの殲滅する者達だ。
オッサンズが言っている金色の強化スキル【ゴッドフォース】はそれだけ珍しいのか強いのかそれとめ両方なのか知らないがそれほどのクランが欲しがるモノらしい。
「ふん、当たり前だ。私達は主の寵愛を受けるためにパーティーに加わっているといっても過言ではない」
「過言ですよ!? わ、私は勝手にパーティーを抜けないと条件があるんです」
「……私はご主人様と一緒にいるのは普通」
あー、カノンとパーティーを組むときそんな条件もだしたな。エルも奴隷は主人といるのが普通みたいな感じか。
「オマエ等そんな理由でパーティー組んでんのか? 頭お花畑じゃねーのか?」
「それも立派な理由だと思うけど? 僕も同類だから強くは出れないね」
アンガーが心底軽蔑するような顔をするがレイオスはフィアの意見に賛同のようだ。
それもそうだ。レイオスのパーティーにはレイオスの婚約者がいるのは周知の事実なんだそうだ。しかもその婚約者が3人もいるらしい。
「オッサン達悪いがクランを作るのはもう少し先の事だよ。見た目的に強そうなのがリーダーのフィアしかいないのは問題だ。今は装備の新調が最優先だ」
「「「え?」」」
「え?」
俺の言葉にカノン、エル、フィアの3人が変な反応を返す。
「リーダーはハルキさんがするのではないのですか?」
「……ん。……ご主人様がやるべき」
「俺よりも知名度のあるフィアが適任だろ。よくわからない奴よりある程度知ってる人がリーダーなら加入しやすいだろ」
「確かにそうだが私は主に命令なんてできないぞ。いや、主が攻められるのが好きならやぶさかではないが……」
ランクもフィアの方が上なんだ。俺がやるよりフィアがリーダーをしたほうがいいと思っていたが3人はそうではなかったらしい。
「でも今はクランを作るにはまだ条件が揃ってないから後々で考えよう。クランを作るには最低でも3パーティーが必要なんだろ? ならオッサン達のパーティーを入れてもあともう1パーティー足りない」
「なら俺達が入ればクランを創設できるな」
「は?」
声がした方ギルドの出入り口に目をやるとそこにはジェイルさんとバングさんがいた。
「今は坊主達のパーティーにいるがいずれは抜ける身だ。それなら別パーティーと考えていいよな」
「そ、それは……」
思わぬ人物からの後押しにきちんと準備を整えてからクランを作る計画だった俺の思考はここで止まった。
その後はギルドでクラン創設の申請を出しリーダーは俺。サブリーダーはジェイルさんとオッサンズの1人に決まり無事にクランが作れてしまった。




