表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/65

町への護衛

 目が覚めると自分の部屋だった。

 なんて事はなく、昨日寝た宿屋の質素な部屋だった。

 窓の外を見るとまだ薄暗く日の出から間もない時間のようだ。


「ハルキ様。起きておられるでしょうか?」

「ああ、起きてる」

「もう少ししたらここを出ますので準備をお願いします」


 ドアを叩く音の後ハックの声が聞こえてきた。

 準備と言っても俺は装備品を装備するだけだが。

 宿屋には風呂もシャワーもなく、お湯とタオルだけ出てきた。

 タオルをお湯に浸けて体を拭き、ジャージ姿のまま寝た。歯ブラシもなく歯磨きができないのでスッキリしなかったが。


 ジャージ姿を外套で隠し外に出ると、ハックとガルドは出発の準備が終わったのか待機していた。俺が最後らしい。すまんね。


「おはよう。待たせたか?」

「おう、おはようさん。ついさっき終わったから大丈夫だ」


 ガルドと挨拶を交わし馬車の荷台に入る。


「昨日はよく眠れたか?」

「疲れていたのかぐっすり眠れたよ」

「そうか。これからの事を考えて眠れないよりもいい。昨日は宿に来るのが遅かったがどうかしたのか?」

「村の子供達と遊んでいたら熱中してしまってな。いい気晴らしになった」


 それにスキルも結構コピー出来た。

 昨日コピーできたのは。


【生命力(小)】

【自身の最大HPを常に少し上げる】


【魔力量(小)】

【自身の最大MPを常に少し上げる】


【剛腕(小)】

【自身のSTRを常に少し上げる】


【鉄壁(小)】

【自身のVITを常に少し上げる】


【俊敏(小)】

【自身のAGIを常に少し上げる】


【俊敏(中)】

【自身のAGIを常に上げる】


【幸運(大)】

【自身のLUKを常に多く上げる】


【サーチ】

【自身から一定距離の人、魔物など対象の位置がわかる】


 個別スキルはステータスをアップするパッシブスキルが多く、鑑定などのアクティブスキルは少ない。

 逆に習得スキルはほとんどアクティブスキルみたいだ。


【ファイアーボール】

【火属性:敵1体に火球で攻撃する】


【ファイアーウォール】

【火属性:火の壁を出す】


【フレイムストーム】

【火属性:火の竜巻で複数攻撃する】


【ホーリーライト】

【光属性:聖なる光で複数攻撃する】


【シャイニングフォース】

【光属性:パーティー全員のスキル攻撃の威力を上げる】


【セイクリッドレイ】

【光属性:敵1体に聖なる光線で攻撃する】


【シャイニングジャベリン】

【光属性:敵1体に光の槍で攻撃する】


【フォトンブラスト】

【光属性:光線で一定範囲に攻撃する】


【ゴッドフォース】

【光属性:パーティー全員の全パラメーターをかなり上げる】


 でも1つだけ変わったスキルがあった。


【アンジェラス】

【パーティー全員の最大MPを常に(・・)上げる】


 これはローグからコピーしたスキルだ。

 上位クラスの習得スキルなのか個別スキルはわからないが。

 パッシブスキルでパーティー全員のステータスが上がるので使えるスキルだ。

 支援魔法で効果がすごいスキルもあるが後で使ってみよう。

 そう思っていたらちょうどウェアウルフがいた。

 木が邪魔で目視はできていないが【サーチ】のスキルで俺の視界の隅には半径約二百メートルぐらいのレーダーがあり、それでわかった。


「ウェアウルフがいる。倒して来るから止めてくれ」

「わかるのですか?」

「ああ、そうだ」


 ハックに馬車を止めるように指示して小声で支援魔法を唱える。


「【ゴッドフォース】」


 …………なにも起きない。ステータスアップの魔法なので数値がないとわかりづらい。

 ステータスを見ても何も変わってなかった。

 ん? MPが減ってない。そうか、MPが足りないから発動すらしなかったのか。

 上位クラスのスキルだからしょうがないか。


「2匹いるから倒して来る」

「なら俺も行こう。あいつ等たまに強い奴がいるからな」

「いや、複数との戦闘をやってみたいから俺だけで行く」

「まあ、やりたいのなら止めんが気を付けろよ」


 ガルドを馬車の荷台に残し、走りながら剣を抜く。


「【バイセクト】」


 STRを上げる強化スキルを唱えると体に薄い、白いオーラが現れた。

 MPを確認するとMPが三分の一ほど減っている。

 低レベルの村人ではスキルの連発は厳しいようだ。

 レーダーを頼りに走りウェアウルフがいた。

 ウェアウルフ達もこっちに気付いたがかまわない、そのまま走り1匹のウェアウルフ上段から振り下ろし斬りかかる。

 一撃では倒せないのでさらに横切りでダメージを与え、後ろに跳んで距離を取る。


 ウェアウルフLv3


 ウェアウルフLv3


 この前倒したやつもLv3で比較対象としてはもってこいだ。

 今はあの時に比べて強化スキルを使ってステータスも上がっている。大丈夫だろう。

 ダメージを与えた方のウェアウルフが襲い掛かって来たので右上から斜めに振り下ろすが避けられた。

 攻撃を避けられた隙にウェアウルフが爪で攻撃してくる。

 あぶなっ! 俺はギリギリで避けれた。

 相手もAIみたいな意思があるらしく単調な攻撃は避けられてしまうみたいだ。

 気を取り直して斬りかかる。

 相手は2匹いるのでそちらにも気を付けながら攻撃して2回当てたら煙になった。

 どうやら4発攻撃を当てれば倒せるようだ。ならこの前のはそれなりにダメージが与えられていたらしいな。

 残りの1匹はスキルを試してみる。


「【ラッシュ】」


 スキル名を言いながら横薙ぎで斬るがさすがに1撃では倒せなかった。

 MPもちゃんと減っているので剣を使ってでもスキルは発動するみたいだ。コピーしたクラスからして殴らないとダメとかじゃなくてよかった。

 続いて剣を下から斜めに振り上げ追撃して、さらにそこから振り下ろすと煙になった。

【ラッシュ】がどのくらいダメージを与えたかわからないが、少なくとも通常攻撃2発分はある事がわかる。

 そして煙が晴れたら毛皮が残っていた。

【幸運(大)】のおかげでドロップ率は上がってるはずだが今回は1匹だけドロップした。



「ハルキ様、大丈夫でしたか?」

「大丈夫だ。問題ない」


 ウェアウルフを倒したので馬車に戻るとハックが心配そうに声をかけてきたので何もなかったように答える。

【バイセクト】を使った時に出たオーラは効力がなくなったのか馬車に戻る頃には消えていた。

 荷台に入りガルドに毛皮を見せる。


「ウェアウルフからドロップ……したのだが、どうすればいい?」

「運がいいなドロップしたか。毛皮は服屋かギルドで売れるぞ」


 ドロップと言う用語が通じるか疑問だったが大丈夫のようだ。やはりドロップ率はよくないらしい。


「だが、おまえさんも珍しいな」

「なにがだ?」

「複数の魔物がいるとわかったら普通1人で行かないぞ。行くのはベテランの冒険者か腕に自信がある奴だけだ。おまえさんの過去が冒険者かどうかはわからんが初心者や村人なら死にに行くようなもんだからな」


 おいコラ、そういうのは最初に言えよ!と言うかそれなら俺を止めろよ!


 その後、朝飯に干し肉を食べる。たまに数匹のウェアウルフがいたが俺とガルドで問題なく倒していった。

 毛皮が更にドロップして合計3つ俺の手もとにある。

 ドロップ品はパーティー内で分けるらしいが今回は依頼での臨時パーティーなので分けなくていいらしい。

 冒険者は依頼の報酬と稀にでるドロップ品で生計を立てているようだ。

 なかなかにシビアだな。


「あそこがクラレットと言う町です」


 森を抜けると町が見えてきた。

 町の前には門があり、門以外は高い壁で覆われていた。おそらく魔物対策だろう。

 門に着きハックは門番と少し会話をして町に入り、邪魔にならないように少し移動してから俺とガルドを降ろした。


「それでは依頼の成功報酬としてガルドさんには銀貨50を。ハルキ様には途中からの依頼なので銀貨30枚支払いですが、命を助けて貰ったので少しオマケをしましょう」


 ハックから紐を引けば口が閉まるようにできていて、片手に収まるほどの大きさの布袋を渡される。

 中を確認すると銀色のコインが入っていた。【鑑定】で見てみると銀貨らしい。


「それでは私はこれで」


 ハックはそう言いパーティーを抜け、馬車を進めて行った。


「それでおまえさんはこれからどうするんだ?」

「とりあえずギルドに行こうと思う。毛皮も売りたいしな」

「そうか。俺はもう帰るわ。また(えん)があればパーティー組もうや。ギルドはこの道を真っ直ぐ行けばあるからよ」

「わかった」


 ガルドに教えてもらった道を真っ直ぐに進む。

 町と言っても2階建ての家になったぐらいでやはり水道や電気も通ってないようだ。

 しばらくすると周りの建物より一回り程大きな2階建ての建物が見えた。

 あそこがギルドらしい。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ