鬼ごっこと上位クラス
子供の名前はライといい。祖父は昔はすごい魔法使いだったらしい。
それを友達に自慢したが、魔物に村が襲われた時に何もしなかったので、友達からは嘘つき呼ばわりされ友達が離れていったらしい。
「なるほど。それでぼっちになったと」
「全部じいちゃんのせいなんだ! じいちゃんがあのときちゃんと戦ってたらこんなことにはならなかったんだ!」
「……そもそもおまえの祖父は本当に強いのか? 祖父が嘘を言っていた可能性もあるだろ」
孫に尊敬されたくて嘘をつき。いざ、そのときになったら戦えなかったとか。
「そんな事ない。じいちゃんと2人で森に入ったとき僕はじいちゃんとはぐれちゃったんだ。そのときに魔物に襲われそうになったけど、じいちゃんがすぐに助けに来てくれて1人で魔物を倒したんだ。だからじいちゃんは弱くない」
ライはさっきは祖父のせいとか言っていたが、俺が祖父は嘘をついたかもと言えばすぐに否定した。本音では祖父を嫌ってはいないようだ。
そして強い魔法使いならいいスキルを持ってるに違いない。是非ともコピーさせてほしい。ならば。
「なら俺が遊んでやる」
「本当?」
「ああ。けどその代わりに遊んでる間はパーティーに入ってもらうのと、おまえの祖父に会わせくれ」
「??? 別にいいよ。なにして遊ぶ?」
交渉成立。だが、ぼっちとはいえいきなり知らない人と遊ぶのはどうかと思うが。
「なら鬼ごっこはどうだ?」
「オニゴッコ? 兄ちゃんオニになるのか?」
ライは少し後ずさる。
この世界にはオニがいるのか? と思いつつ遊びの説明をする。
俺がこの遊びにしたのは理由は2つある。
1つ目は戦闘の訓練になるかもしれない事。鬼からの攻撃をどう避けるか。逆に他の人にどうやれば攻撃できるか。いい経験になるはずだ。
2つ目はライはAGIを上げるスキル【俊敏(小)】があるから。これなら他の子供と遊ぶとき有利だろう。
そして俺がライをパーティーに入れたいと思った理由のスキル【幸運(大)】。
【幸運】
【自身のLUKを常に上げる】
この世界は命中も回避も自身の行動、つまりプレイヤースキルに依存する。
ならば、このLUKはどこに機能するステータスなのか。おそらく、それはドロップと考えるのが妥当だろう。
ライに鬼ごっこの説明が終わり、パーティーに入れてからさっそくコピーをする。
「初めてだから最初は俺が鬼になろう」
こうして2人だけの鬼ごっこが始まった。始めは逃げたりしていたが2人だけなので逃げるより、どう上手く回避するかが主になった。
そんな事をしているとそれを見た子供達が寄ってきて、一緒にやりたいと言ってきたのでパーティーに入れて遊ぶ事にした。
「兄ちゃんのおかげでまたみんなと遊べるようになったよ。ありがとう」
ライは笑顔で礼を言ってきた。こっちとしてもスキルをコピーできたので有意義な時間だった。
しかも、もう【剛腕(中)】を持っていたが【剛腕(小)】もコピーできた。(中)と(小)では違うスキルになるらしい。
「なら、俺達は明日の早朝にはこの村を出るからおまえの祖父を紹介してくれないか?」
「うん、わかった」
気付けばもう日が落ち始めて夕暮れ時になっていた。高校生ながら鬼ごっこに熱中してしまった。
ゲームのキャラクターとはいえ、こうやって他の奴と遊ぶのは久しぶりだったから楽しかった。
子供達と別れ、ライについていく。この村自体大きくないのですぐにライの家に着いた。
「ちょっと待ってて。すぐに呼んで来るから」
ライはそう言い家に入って行った。中には入れてくれないのは残念だが、待っておこう。一時的にパーティーに入ってもらうのに説得がいるだろうが、なんとかなるだろう。
「おまたせ。じいちゃんを連れてきたよ」
ぼんやりと待っているとライが出て、その後ろから弱々しさなど一切感じない杖を持った爺さんが出てきたので【鑑定】でステータスを見てみる。
ローグ 74歳 男
スペクトシエルLv7
クラスはスペクトシエル。名前からして上位クラスのようだ。ならクラスアップは少なくとも2回はするのか?
だが、レベルが低すぎる上位クラスになるならもっとレベルは高いはずだ。
もしかしてあれか、クラスアップするとLv1になるってやつか? ソロでやろうとしている俺にとってこれは大問題だぞ!
いや、そこはコピーしたスキルでなんとかカバーで…………出来るか?
「おまえか、儂に会いたいと言うのは?」
「あ、ああ。そうだ」
少しパニックになっていたので返答がどもってしまった。いかん、レベルは今は置いといて、この爺さんをどうやってパーティーに入れるかだ。
「ライに聞いたが村が魔物に襲われたとき戦わなかったらしいな。俺が見たところあんた、かなり強いだろ。なんで戦わなかったんだ?」
「はあ、その事か。冒険者なら解るだろうがダンジョン内外でも魔物に遭遇するのは運だ。会わないときは全然会わない」
「……そうだな」
ローグはため息混じりで説明するが、そんなのは知らない。とりあえず同意しとく。
「儂には【サーチ】という個人スキルを持っていて魔物や人の位置が判るんだ。そのスキルのせいで儂は来る日も来る日も魔物の案内をさせられては倒しを繰り返させられた。そのおかげでクラスアップを3回でき、最上位のクラスまでなれる事が出来た……」
ほう。クラスアップは3回までか。こんな所で知らなかった情報が手に入るとはラッキー。
しかもかなり使えるスキルも持っているときた。これは是が非でもコピーせねば。
「だが儂はもう魔物と戦うのに疲れた。他に戦える者がいるなら、儂は戦いたくないんだ。だから頼むから儂の事はほっといてくれんか?」
「じいちゃん…………」
ローグは悲痛な顔で頼んできた。それを見てライは俺と遊ぶ前の自分の会話を思い出したのか目を伏せた。
「いいけど条件がある。俺のパーティーに入ってくれ。でも、魔物と戦いに行くわけじゃなく。ただ一時的にパーティーに入るだけでいい」
「入るだけでいいのか?」
ローグは訳がわからない顔をしていたがわざわざ説明する気もないので黙っておく。
パーティー申請と念じてローグをパーティーに入れてから【スキルコピー】を使いコピーする。
「ん。もういい、ありがとう」
スキルを確認してパーティーを解散する。
これで用はすんだので宿屋の場所を教えてもらい、宿屋に向かう。
屋屋で晩飯を食べて、朝が早いためすぐに寝る事にした。
今日はいろんな事がありすぎたためかベッドに入るとすぐに睡魔が襲ってきた。
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みなさん読んでくれてありがとうございます。