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選択と群れのリーダー

「いったい何が起きたんだ?」


 もう少しで魔物の群れを全滅できると思ったのに突然魔物達が黒いオーラを纏いだしたのだ。


「……っやべ! ぐぅ!」


 咄嗟の事で体が硬直してうまく動けない隙に攻撃をくらってしまった。それでわかった。コイツ等バフを受けてやがる。

 ダメージが今までより1.5倍程増えてる。この中にそんなスキルを持ってる奴なんていなかった。

 ならここにいない魔物のスキルだ。何処にいるだ?


「ん?」


 俺の視界には【マッピング】と【サーチ】のスキルの効果で半径約200メートルにいる人、魔物の場所がわかるレーダーがある。そのレーダーに全然動かない魔物がいる。

 ってレーダー外から20体の魔物が現れたぞ。進行方向からしてここを目指しているな。多分いや、確実に増援だ。どうする。

 俺が動かない魔物を倒しに行ったらカノンとエルだけでオッさんズを守りながら戦う事になる。

 でも全員で行ったとしてもここにはバフのかかったハントハウンドが15体もいる。やっぱり守りながらの戦闘になり時間が足りない。


「チッ、邪魔だ!」


 俺が迷ってる間もハントハウンドは待ってくれない。飛び掛かって来る1体を斬り伏せる。

 どうするどうするどうするどうするどうするどうする………………。


「カノン! もうしばらくしたら敵の増援が来る。このっ! 数は20体だ!」


 俺は戦いながらカノンに近づき状況を伝える。そしてここからが重要だ。


「増援はおそらくここにいた魔物より強いはずだ。悪いがそいつらはカノンに任せる。もちろんエルにも援護はさせる」

「私がですか!? ハルキさんはどうするんです?」

「俺はこいつらにバフをかけている奴を倒しに行く。倒してバフが解けるかわからないけどこの群れの指揮をしているの間違いないからな」


 離れた所から戦況を見てバフをかけたり増援を送って来たに違いない。

 もしかしたらそいつを倒したら総統が乱れて逃げ出す奴もいるかもしれない。


「どうする? もちろん無理強いはしない。嫌なら嫌と言ってくれ」


 俺達は背中合わせで戦いながら話をするが敵も攻撃してくる。全滅させてから伝えた方が良かったか? でも時間的にも余裕がある訳でもない。


「…………わかりました。私、やります」


 数秒考えたのか覚悟を決めたのかカノンは答えた。


「ありがとう。なら【シャイニングフォース】【ゴッドフォース】」

「こんなにスキルを使ってもいいんですか!?」

「仲間を危険にさしてまで隠したい事じゃないしな。これならなんとかなりそうか?」


 スキルを隠したいのは俺のワガママだ。そのせいで2人にもしもの事があったら絶対後悔する。


「え、えぇとMPは大丈夫なんですか?」

「…………大丈夫だ、問題ない」


 そっちかよ! 咄嗟に装備を心配された時に用意していた返しを答えてしまったよ!


「おほん。エル! 俺はここから離れるけどカノンの指示に従ってくれ! あ、あと残ったコイツ等は俺が連れて行くから」

「よろしくお願いします」


 俺は【挑発】を使い敵のリーダーの場所に向かって全力で走り出す。

 会話中に6体倒し、残り9体のハントハウンドが俺を襲って来たがどうやら全力で走ったら俺の方が速いみたいで段々距離が離れてきている。

 このまま離れ過ぎて戻られても嫌なのでここで倒してしまおう。


「はあ!」


 俺は速度を落としハントハウンドと並走し横凪ぎで攻撃するが避けられてしまった。

 チッ、やっぱり走りながらじゃあ当たらないか。ならこれならどうだ。


「【ブリューナク】」


 必中スキルの【ブリューナク】なら走りながらでもハントハウンドに当たった。というか障害物である木を貫いていったぞ。

 これで残り8体になったが全員に使ってたらMPが足りない。

 仕方ないのでここで立ち止まり敵の位置を確認する。

 なんとかいけるか。

 1匹のハントハウンドが飛び掛かって来るのを斜め後ろに避けスキルを使う。


「【ブリューナク】」


 球体は俺を攻撃してきたハントハウンドを貫きそのまま真っ直ぐ飛んで行き、奥にいたハントハウンド2体にも当たった。

 やっぱり奥の相手に狙いを定めて打ったらその軌道上にいる敵に当たっても消えないみたいだ。まあ、狙った相手が動いたら軌道も逸れるので絶対当たる訳ではないがそれでもMPの節約にはなる。

 後ろから来たハントハウンドを剣で斬りつけ残り4体だ。

 だが魔物にも知性があるのか俺を警戒して一定の距離を(たも)つようになった。

【ブリューナク】も1体ずつに使う訳にはいかないし、時間もかかりそうなのでリーダーの場所に走ると数体襲い掛かってきた。

 そこを振り返り斬りつけまた走り出す。

 走る速さはハントハウンドより少し遅いくらいで走り続ける。

 そしたらまた襲い掛かってきたので振り返り斬りかかる。それを何回か繰り返しハントハウンド達は全滅した。

 はあ、こんなところでじいちゃんから聞かされた戦法が役に立つなんて。


「…………っ!」


 俺は不意に思い出した面影を頭を振って消す。

 あとはリーダーを倒してカノンとエルの所に戻るだけなんだ。早く行こう。

 俺は【サーチ】のレーダーを頼りに敵のリーダーの所まで走り、目視できる範囲まで来た。そこにいたのは少し大きいハントハウンドだが白い毛に金色の目をした魔物だった。


 レフケンス Lv42

 スキル【主導者の遠吠え】【駿足】【ブラッドクロー】【強襲】【ストーンショット】


 スキルを見た感じハントハウンドの上位種のようだ。


【主導者の遠吠え】

【自身の手下のSTR、AGIを上げる】


【駿足】

【自身のAGIを大きく上げる。一定の距離を一瞬で移動できる】


【強襲】

【気配を消し敵に近付ける。敵が気付いてなければ最初の攻撃の威力が上がる】


【ストーンショット】

【土属性:石でできた弾丸を飛ばす。弾丸の数は使用者の意思で変えられ最大10発】


 ハントハウンドのバフはこの【主導者の遠吠え】か。それに【強襲】は隠密系とクリティカルの複合スキルのようだ。他にも近距離用の【ブラッドクロー】遠距離用の【ストーンショット】とバランスがいい。

 あとは【駿足】の一定の距離がどのくらいかわからないけどこのスキルを使えばヒットアンドアウェイで戦闘も有利になるし逃走にも使える。正直面倒なスキルだ。


「MPも心許ないし、まずは普通に斬りかかってみるか」


 剣を握り直しレフケンスに向かって走り出す。もちろん相手もこっちに気が付いて戦闘体勢をとるが気にしない。

 まずは袈裟斬りに斬りつけるが後ろに避けられた。そのまま斬り上げ、突きと攻めてもレフケンスは素早い動きで避け続ける。

【駿足】のスキルでAGIに補正が付いてるから今までの魔物より早いな。でも俺も【俊敏(中)(小)】のスキルを持っているし【ゴッドフォース】のバフもある。このまま食らいついてやる。


「あれ? ……ッ!」


 目の前にいたレフケンスがいきなり消えて後ろから痛みが走った。【駿足】で俺の後ろに移動して攻撃してきたのか。

 ジャックランタンの時にも思ったが予備動作無しの瞬間移動はほとんど無敵だろ。

 俺は前へ跳び体勢を立て直そうとするがそう簡単にさせてはくれないようだ。

 レフケンスの周りに尖った石が10個現れてこっちに飛んできた。

 これが【ストーンショット】か。弾速も速く避けるのは無理だ。


「【アースウォール】」



 けど壁を作って防ぐのはできる。俺は作った壁を背にして息を整える。

【アースウォール】で作った壁がどのくらいもってくれるかわからないが1発では破壊できないだろう。

 俺は小学校まで剣術などを教わってた程度でブランクがあるし技術もある方ではない。

 だから素早い動きをされると対応できなかったりする。俺は自分のHPを確認してレフケンスが仕掛けて来るのを待つ。


「グガアアァァァ!」

「くぅっ……」


【駿足】で目の前に現れたレフケンスの爪が左肩に食い込み、その前足を痛みに耐えながら掴む。


「こ、これならいくら速くても関係ないよな……」


 今自分の体がどうなってるか怖くて見れないが痛みはまだ続いている。けどHPの減りは少ないようだ。


「【バーストラッシュ】!」


 スキルを使ってレフケンスをメッタ刺しにして戦闘は終わった。


「はあ、はあ、はあ。か、勝った」


 決して格好良かったりスマートな勝ち方ではないけど俺にはこれが最善だと思った。


「あとは残党を殲滅させるだけか。【ヒール】」


 かなり削られたHPを回復してカノンとエルに合流しようとしたら気付いた事がある。


「群れの魔物達が散り散りになってる?」

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