表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/66

事故と負い目

 家に帰るとカノンとエルは2人してカノンの部屋にいるみたいなので今後の話をしようと思い部屋の扉を開けた。

 今思えば強くなるためにレベル上げ、装備をいろいろ考えていて何気なしに扉を開けたのがいけなかった。その結果が……。


「…………」

「…………」

「…………」


 2人は身体を拭いている真っ最中だった。

 身体を拭くという事はつまり服を脱いでいるという訳で。


「きゃあああぁぁぁぁ~~~~」

「うわあああぁぁぁぁーーーー」


 見てしまった。こんなラブコメみたいな展開をしないために日頃から気を付けていたのに。

 にしてもエルは元々スタイルがいいのは知ってたけど俺の奴隷になって毎日身体を洗い3食ちゃんと食べてより健康的に肌も綺麗になっている。

 カノンも年下という理由もありエルより控えめだが着痩せするタイプなのか思ったよりあるな。……ゴクリ。

 などと感想を述べてる場合じゃない!


「ご、ごめん!」


 すぐさま扉を閉めて視界をシャットアウトする。それでもさっき見た事を忘れるのは無理そうだ。

 故意ではないとはいえとんでもない事をしてしまった上、いろいろ考えていた事がすっぽ抜けてしまった。

 これからギクシャクしないだろうか? もしかしたらパーティーを抜けたり軽蔑な目で見られたりしないだろうか? などと考えていると扉が開きエルが顔を覗かせた。

 エルさんあなたまだ服を着てないでしょ! 早く着なさい!


「……ご主人様、ついに誘いに来た? 私? カノン? ……それとも両方?」


 これは事故ですから! そんな期待の眼差しをしないでください! そんな事をする勇気なんてありません!

 なんでもお湯を沸かすのに時間が掛かったみたいだ。お湯は普段俺が水と火の魔法で作ってるからな。


「ごめん。もう終わってるとばかり思ってた。完全に俺の不注意だ」


 服を着た2人にあらためて謝る。許してもらうために土下座もする覚悟だ。


「私は気にしてませんから……」

「……大丈夫。問題ない」


 顔を赤らめ俯くカノンに何事もなかったかのように言うエル。


「……寧ろ(むしろ)ご主人様が年頃の女性に興味がある事を確認出来た。……もし男性にしか興味がなかったらどうしようと思ってた。よかった」


 いつも無表情なのにこんな時だけいい顔をするな。つーか、こいつもドヤ顔なんて出来たのにびっくりだよ!


「ちなみに前の主人は幼女趣味だった」


 そんな情報いらんわ!


「ところでそんなに急いでどうかしたんですか?」


 カノンの言葉で思い出した今後の事を2人に説明する。2人は黙って俺の話を聞いていたが話が終わるとカノンが申し訳無さそうに言い出した。


「ハルキさん、私は今のままで構いません」

「なんでだよ。装備の充実にクラスアップ、可能性はまだあるだろ。やる前から諦めてどうするんだ」


 クラスアップすれば攻撃スキルを覚えれるかもしれない。なのにカノンは今のままでいいみたいに言うからムキになって言い返してしまった。

 自分でも八つ当たりだと思うがそれでも言わずにはいられなかった。


「ハルキさんの気持ちは嬉しいし強くなりたいとも思います。でもハルキさんに教えて貰った『他の人を守る力』。なにもできなかった私でも今はこの力で一人でも助ける事が出来るならそれだけで十分なんです」


 カノンは真っ直ぐ俺を見るが俺にはその目を直視出来なかった。

 彼女に言った守る力とはこの世界をゲームと思いシールダー系のスキルをコピーしたくてクラスチェンジさせないために言った打算的な言葉だ。

 そんな風に言ってもらえる立場じゃあない。

 そしてやっぱりカノンにはちゃんとした評価を受けて貰いたい。

 シールダーは盾役(タンク)として体を張る。それなのに評価されず報われないのは間違ってる。


「……ご主人様」


 今まで黙っていたエルだが彼女もシールダーと同じく不遇の風属性のマジックユーザーだ。思う所でもあったのだろう。


「……そんな事よりご主人様の装備品が変わってる。……女からの貢ぎ物?」


 何故そんな考えになる? しかしあながち間違ってない……。


「私も気になってました。買い換えたんですか?」

「あー、これは……」


 かくかくしかじかと、2人と別れた後の事を説明する。


「……なるほど。……つまりご主人様がナンパされて貢ぎ物を貰ったという事」

「にしても金貨8枚をすんなり払う人ですか……。もしかしたらその人は貴族なのかもしれませんね」


 カノンの奴、最初はエルの発言にあたふたしてたのに最近は馴れたのかスルースキルを修得したのか全然動じなくなったな。見ていて可愛いと思ってたのに少し残念。

 そういえばフィアは家名があったり、名前を偽ったりしていたのはその為のだったのか。


「でも貴族なんかが冒険者みたいに戦ったりするのか?」

「寧ろ上の地位になるほど戦う事を義務付けられています。王族はダンジョンの攻略もしなければいけませんし」


 そうだった。この世界の王はダンジョン攻略者だったな。ん?


「なら冒険者がダンジョンを攻略したらどうなるんだ?」

「その場合、パーティーのリーダーが攻略したダンジョンがあった国の王族と結婚できます。いえ、多分強制的に結婚させられますね」

「政略結婚みたいなものか。でも既婚者しかいなかったらどうするんだ?」

「? 何か問題がありますか? 王族は優秀な人材を欲していますし、その人の血も手に入るらな複数のお嫁さんや旦那さんがいるのは普通ですよ。でも後者は珍しいですが」


 さすがは異世界、ハーレム、逆ハーレムも容認されているとは。いや、日本でも側室なんてものもあったからそうとも言い切れないか。

 後者が珍しいのも後継者の子供を産むにも女性の体に負担が掛かるからだろう。

 まあ、俺みたいなゲーム脳の奴がハーレムなんて作れる訳ないけど。

 そんな感じで俺の話はうやむやになってしまったけど俺は諦める気はないぞ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ