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VS盗賊団

 やることもやったので洞窟を出て村に帰ろうとしたら10人程の集団が近くにいるのに気づいた。

 森の中で6人以上の集団はこれだけなので十中八九こいつらが盗賊団だろう。


「カノン近くに盗賊団らしき集団がいるから行ってくる。カノンはそのまま護衛としてオヤジを守っていてくれ」

「え? ちょっ、ハルキさん!?」


 カノンに指示だけ出して俺は集団がいる方向に走り出す。

 複数のスキルでステータスを底上げしている俺は身体能力も上がっているのか全力で走ったら2人よりも速かった。


「あそこか?」


 走り続け遠目からでも目視できる位置まで着いた。だが人だけではなく横転した荷馬車まであった。

 ヤバッ、これって襲われた後か? ならイベント失敗かも。いやまだ間に合うかもしれない。

 ゆっくり近づきながら様子を見てみると、武器を持った11人がいた。こいつらが盗賊団っぽいな。

 全員クラスは村人で1番レベルが高いのがLv25で、そいつ以外でもLv20前後の集団だった。

 盗賊団の目線の先には1人の女性が荷馬車の近くで蹲っていた。


 エル 16歳 女

 村人 Lv2


 装飾品

 奴隷の首輪


 ギリギリ間に合ったらしく、あの人を助ければイベントクリアっぽいけどなにやら怪しいアイテムを装備している。

 いや、今はそんな事より敵に集中しよう。

 俺は盗賊達と女性の間に【ファイアーウォール】を使い、炎の壁が出現している間に女性に近づき助けようとするが。


「今のうちに立て、ここから逃げるぞ」

「…………」


 女性の腕を掴み立ち上がらせようとするが、女性は動こうとしないばかりか顔すら上げようとしない。

 気を失っている訳でもケガをしてる訳でもないのに彼女は自分が危ない状況なのに全くここから離れようとしない。


「なんなんだよ、さすがに俺も11人も相手にできないぞ」


 腕を引いても動かないので、しょうがなく抱えてその場から逃げようとするが、もう8人の盗賊に囲まれている状態だった。

 人数が少ないのは【ファイアーウォール】の裏にもいるからだ。


「おいおい、誰かと思ったらガキ1人かよ」

「いや、魔法を使った奴がいるから少なくとも2人はいるぞ。周りに気をつけろ」


 盗賊達は周りを警戒しながらも余裕の笑みで俺を見てくる。

 こいつらは近くに仲間がいると思ってくれているっぽいが本当は俺1人だけだ。

 カノン達もこっちに向かって来てはいるがまだ時間が掛かる。その間俺はこの全く動こうとしない女性(にもつ)を守りながら戦わなければならない。


「この正義感の強い馬鹿なガキは俺が殺る。おまえらはコイツの仲間を探して殺せ」

「「へい、お頭!」」


 俺を子供と思って1人で戦うつもりなのか、盗賊団のリーダーらしき男が近づいて来た。

 こいつは盗賊団の中で1番レベル高い奴で装備している片手剣も他の奴とは違い、一目で強力、特殊な武器だとわかる。あの剣には注意しないとな。


「オラ、掛かって来いよ。なんだビビって動けないならそこの小娘と一緒に殺してやるよ!」


 女性を降ろし様子見をしていたら、俺が動けないと勘違いしたのか相手が大きく振りかぶって攻撃してくる。

 レベルが高い盗賊と言えど所詮は村人か。隙が大きいし動きがとろい。

 そんなんじゃあ動きの速いウェアウルフには勝てないな。

 俺は相手の懐に入り振り下ろしてくる片手を掴んで捻る。


「なっ!」


 そして体勢を崩した相手の肩を下へ押し付けると同時に捻っている手を上へと上げる。

 ガキの頃教えてもらった護身術だが、油断している敵には上手くキマってくれた。


「ぐっこのガキ、おいテメェ等なにしてんだ。さっさとこのガキを殺っちまえ!」


 む、自分1人じゃ勝てないとわかったからってすぐに仲間に頼るなよ。

 盗賊のクエストは討伐か捕縛だから何人かはHP0にしてもいいよな。じゃないとこっちが危ない。


「【バイセクト】、【ブースト】」


 剣を抜きながら俺は強力スキルを使い、迫り来る盗賊達の攻撃を剣で押し返し、1人を攻撃スキルで斬りつける。


「【スラッシュ】」

「ぎゃあああぁぁぁぁ!」


 俺が攻撃した男から血が吹き出し、俺はその血を浴びてしまった。

 ……え? なんだこれ? 自分の手を見るとべったりと返り血まみれで、肉を斬った感触も残っている。


「よくもやりやがったな。このガキ‼」


 仲間を斬られ激怒した盗賊達がさらに後方からも迫って来る。


「フ、【フレイムストーム】」

「うわあああぁぁぁぁぁ」

「あづい、あづいぃぃぃぃ」


 血の事で俺は気が動転して咄嗟に魔法を使ってしまい、そのせいで五体の焼死体ができあがった。


「こ、コイツ魔法が使えるのか!?」

「テメェ等、退いてろ。【エアースラスト】!」


 戸惑う手下達を下がらせリーダーが離れた所から剣を振る。

 リーダーが持つ剣は付与スキルがあり、遠距離から攻撃ができる。

 俺は飛んで来る斬撃を剣で受け止め、お返しに【ブリューナク】を叩き込む。

 そこから記憶が曖昧だ。ただ殺さなければ俺が殺される、その事だけが頭にあり俺は盗賊団を全滅さした。

 剣と魔法で、11人を殺してしまった。

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