パーティー加入
誘拐犯達を町の門番に引き渡し、ギルドの酒場で俺が誘拐犯達から助けた女の子、カノンから話を聞いていた。
「なるほど。冒険者になりたくてクラスアップして武器、防具を揃えたら金がなくなり、困った所にあの3人から高値で売れるドロップアイテムがあると言われ誘いにのったと」
「はい。今考えればそんないい話があるわけないですよね」
カノンは肩口でカットされた銀髪をゆらしアハハと渇いた笑いをする。
彼女は俺より年下で身長も俺より少し低く、シールダーの武器だろう自分の身長ぐらいある大きな盾を装備している。防具は俺の装備とあまり変わらない。
服は白色を主体としており可愛らしい感じだ。
「それで、なんで俺のパーティーに入りたいんだ? 他にもいろんな人がいるのに」
「えっいや、その、………助けてくれた姿がかっこよかったから………ではなく。恩返し、そう助けてくれた恩返しです」
顔を真っ赤にしてカノンは早口に言うが声が小さかったせいで最初のほうが聞き取れなかった。
恩返しで仲間になりたいか。ゲームなら理由もこんなもんかな。
「そうか。勝手にパーティーを抜けないのが条件だけどそれでもいい?」
「入れてくれるんですか!? その……私、クラスはシールダーなんですけど、それでも大丈夫ですか?」
最初は嬉しそうにしていたカノンがなぜか自分のクラス言って弱々しくなった。いや疑問形を疑問形で返されても。
「……自分から入りたいって言ったのに、なぜそんなリアクションをするんだよ」
「だってあのシールダーですよ。てっきり一笑されて終わりかと思ってました……」
俺そこまで嫌な奴に見えるのか? つーかシールダーってそんなにダメなクラスなのか。名前的にパーティーの重要な守り役の壁役にもってこいのクラスだと思うのだが。
「シールダーは攻撃のスキルを覚えられないので、戦力外とされているクラスなんです」
「なら、攻撃系以外の支援系のスキルを覚えるんだろ。例えばでいいからなにか知っている?」
「え~と、たしか魔物達に集中的に攻撃されるらしい恐ろしいスキルがあるとか」
ほう~。壁役にありがちな敵の攻撃を誘導するスキルか。
確かに敵の攻撃が自分1人に集中したら怖いかもしれないがHPが0になっても復活するアイテムとか使えば大丈夫だろ。
「だから誰もシールダーになりたがらないし、なったとしてもクラスチェンジができるようになったらすぐにクラスを変えるようです」
それもそうか。自分から好き好んで攻撃を受けたくないし、必然的にそうなるか。
ならシールダー系の修得スキルをコピーするにはカノンをパーティーに入れていた方が良さそうだな。元から断る気はなかったけど。
カノンの個別スキルは【生命力(大)】【鉄壁(中)】と天職の水晶でシールダーに選ばれただけあって壁役にぴったりのスキルを持っている。これは是非ともコピーしたい。
「攻撃スキルが使えなくても俺は気にいないし、むしろこっちからお願いしたいくらいだ」
「わ、私なんかでよければ、よろしくお願いします」
「ああ、よろしくカノン」
俺は握手をしようと右手をだすとカノンは恥ずかしそうに握手をした。
あれ? この場合握手をするのは普通だよな。そんなに恥ずかしい事かな?