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クラスアップとランク詐欺

 ギルドに着くと朝と同じでクリスさんが受付をしていたからそこに行くことにする。


「ドロップアイテムの買い取りをお願いします」

「あ、ハルキさん。買い取りですね。ハルキさんは量が多そうなのでこのトレーに置いて下さい」


 クリスさんが出した大きめのトレーの上にアイテムボックスから売るアイテムを取り出す。

 肥料9個、薬草6枚、毒消し草8枚だ。


「……えっと。ハルキさんは町の近くにあるダンジョンに行ってるんですよね?」

「そうですけど。それが?」

「いえ、これは薬草ですか? あのダンジョンでは地下2階のフロアに行かないと入手できないアイテムがあるので……。あ、他の人とパーティーを組んで行ったのですね。クラスアップしてないのにパーティーに入れてくれるなんて珍しい人もいるんですね」


 よくわからない所で悩んでいたクリスさんは自己解決したみたいで勝手に納得していた。


「いえ、1人(ソロ)で行きましたよ」

「え? ……なら階層(フロア)ボスはどうしたんですか。ボスを倒さないと次の階へは行けないはずです」

「??? だからそのボスを倒して2階層に行ったんですが。1回落ち着きましょう」


 なんだろ。よほど混乱しているのかクリスさんは当たり前の事を聞いてくる。逆にそれ以外で方法で次の階層へ行けるならこっちが聞きたいくらいだ。


「す、すみません。えと、つまりハルキさんは1人で階層ボスを倒せるぐらい強いということですね」

「まあ、概ねそうですね」


 さすがに魔法が使えるから結構余裕で勝てたなんて言えないが。


「コホン、それでは少々お待ち下さい」


 気を取り直したクリスさんはそう言いアイテムを乗せたトレーを奥に持って行った。

 薬草と毒消し草などわかりづらいアイテムがあるから鑑定してもらうのだろう。

 しばらく待っているとクリスさんがトレーにお金を乗せて戻ってきた。


「合計で銀貨16枚と銅貨32枚になります」


 おお、薬草と毒消し草を何枚か残していてもそこそこの値段になったな。


「あとクラスアップをしたいんですが、必要な物とかありますか?」


 これがメインで来たけどイマイチよくわからない。必要な物があっても困るので事前に聞いとく。


「クラスアップの前にクラスアップ鑑定……はいらないですね。1人で階層ボスを倒すくらいですし。クラスアップには銀貨3枚の料金がかかります」


 普通なら鑑定でクラスアップができるかできないかを見るらしいが、クリスさんも問題ないと思ったのか勧めなかった。

 料金がかかるのか。まあ、銀貨3枚ならいいか。ドロップアイテムも売って懐も温かくなったし。


「それとクラスアップをすれば武器が固定化されますので、今お使いの武器が使えなくなるかもしれませんのでご了承を」


 ……なん……だと。そんなのはきいてないぞ! やっと剣に馴れてきて戦い方を模索していたのに。

 それに俺はRPG物で好んで剣を使っていた。だからこっちでも剣を使いたいのに。

 いや、まだダメだと決まった訳じゃない、要は剣が使えるクラスになればいいんだ。


「ちなみにクラスアップしたらどんなクラスになるんですか?」

「前衛は剣と槍が武器のソルジャー。かぎ爪、ナックルが武器のファイター。それと……盾が武器のシールダーです」


 クリスさんはシールダーのクラスとき少し言いづらそうだった。つか、盾は武器ではなく防具やサブ武器(ウェポン)になると思うのだが、でも防具屋には盾は売ってなかったな。


「後衛には火・風・水・土のうち1つの属性魔法が使えるマジックユーザー。回復や支援魔法が使えるヒーラー。この2つのクラスの武器は杖です」


 おい。使える属性1つってクソゲーかよ。ん? ちょっと待てよ。


「光属性の魔法はないの?」

「マジックユーザーの人がクラスアップすれば稀に光・闇の属性に変わる人もいますが、ほとんどの人は最初の4属性の上位クラスになりますね」


 ほう。光と闇はレア属性か。俺が最初の魔法をコピーしたのは光属性の魔法使いだ。火属性から光属性に変わったから火の魔法も使えたのか。


「なら俺前衛のソルジャーがいいです」

「……すみません。前衛、後衛は選ぶことができるのですが、その……クラス自体は選べないんですよ」


 はい、クソゲー決定‼

 その事は普通知っている事なのか、クリスさんはすごく言いにくそうに教えてくれる。

 くっ、しょうがないので前衛で決めて後は運しだいだ。

 銀貨3枚払うとクリスさんに2階の部屋へと案内された。

 部屋にはテーブルに丸い水晶が置かれていて、まるで占い師の部屋みたいな感じだ。


「この水晶に両手をかざしたら職の神のプロス様がハルキさんにあったクラスを選んでくれます」


 職の神って……。胡散臭さ爆発だが、この水晶を見たらまんざら嘘ではないようだ。


 【天職の水晶(前衛)】

 【職の神の力が宿った水晶。手をかざした人物の適性にあったクラスにクラスアップ・クラスチェンジする】


 このアイテムでクラスアップできるのはわかった。適性とは個別スキルの事かな。

 神、本当にいるのか?

 俺はコピーして個別スキルをそこそこの数を持っているからどんなクラスになるかわからない。ソルジャーになれますようにと神社でお参りをする感じでお願いしてから両手をかざす。

 すると水晶は淡く光だし、だんだん光が強くなっていくが突然光が消えた。


「終わりましたので1階に戻りましょう」


 え? もう終わり。本当にこれだけでクラスアップが出来たのか気になりステータスを見る。


 カザマ ハルキ 16歳 男

 ソルジャー Lv1


 やった。ソルジャーにクラスアップしている。が、レベルはLv1に戻っていた。

 やはりクラスが変わったらLv1になるみたいだな。元がLv5だからパラメータはそんなに下がってはないはずだ。

 村人からの初期のクラスアップだから必要なレベルが低かったけど、次のクラスアップへの必要レベルがLv20とかだったらパラメータの低下はかなりのものだろうと思いながらクリスさんの後に続き1階に戻り、クリスさんにクラスアップの事を聞いてみる。


「クラスアップってあのアイテムでしかできないんですか? 例えばクラスを自分で決められるアイテムとか」

「なくもないのですが……。転職の水晶と言うのがありまして、そのアイテムは消耗品で1回しか使えないうえ、かなり高価な物なので王族や貴族の方でしか使いませんよ」


 一応はあるのか。聞く感じさっきの天職の水晶の劣化版だな。


「そうですか。あとクラスチェンジってなんですか? クラスアップとは違うようですが」

「クラスチェンジは前衛と後衛のクラスを入れ換える事ですね。……もしかしてハルキさん、今のクラスでは嫌でしたか? クラスチェンジにはクラスアップしてから1年後でないとできないのですけど……」

「あ、いや、違います。気になっただけで、剣が使えるから今のクラスで大丈夫です」


 やはりなったクラスが気に入らない人もいるのかクリスさんは申し訳なさそうな態度をとるので、慌ててギルドカードを見せて否定する。

 ギルドカードも俺がクラスアップしたときにちゃんとクラスが変わっていた。


「そうですか、ならよかった。……あの、なんでハルキさんはまだランクGなんですか?」

「え? ああ、俺まだクエストを受けてないからですよ。今までずっとダンジョンに籠ってましたし」


 ギルドランクを上げるには一定のクエストを成功させないといけないけど、俺は文字が読めないからずっとクエストは後回しにしていた。


「1階層とはいえ階層ボスを1人で倒せるのにランクGって、ランク詐欺もいいところですよ。今のハルキさんはランクEかDくらいの実力ですよ」


 そうなのか。まあ、スキルをたくさん持っているから、その分他の人より優位だからな。でも内容もわからないのにクエストを受ける気にはならない。クエストはまた後にしよう。

 クリスさんの言葉を適当に流してギルドから出る。

 文字の勉強どうしようかな。リサさんかエリカさんに、教えてもらうべきか、でも2人共仕事があるしな。

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