周回と八つ当たり
俺はまたボス部屋の前にいた。
あまりグリーンスライムとエンカウントしないように来たのでMPは全回復している。
これでグランドスライムを倒せる【シャイニングジャベリン】一発、【ファイアーボール】3発分のMPはある。
レベルも上がっているから【ファイアーボール】は2発でいいかも知れないが、わからないので気を抜かずにいこう。
扉を開け中に入ると前回と同じように霧が集まりグランドスライムが現れた。
レベルも同じなので戦い方も前回と同じでいいか。
「くらえ。【シャイニングジャベリン】」
速攻で終わらすためにグランドスライムに向かって走りながら【シャイニングジャベリン】と続いて【ファイアーボール】をぶち当てる。
グランドスライムも体当たりをしようとするが、俺はそれにかまわず【ファイアーボール】を放つ。
さすがに至近距離で【ファイアーボール】を使ったら熱かったが、この攻撃でグランドスライムは煙になった。
「【シャイニングジャベリン】さえ当たればなんとかなりそうだな……ん?」
よく見ると石鹸じゃないアイテムをドロップしていた。
【緩和の指輪】
どうやら受けるダメージを減らしてくれる装飾品みたいだ。
これはレアアイテム的な物かな。レアアイテムをドロップするのが1部のボスキャラなのか、全部のボスキャラなのかはわからないが、必要ならボスの周回プレイも視野に入れるべきだな。
右手は剣を握るので邪魔なので左手の人差し指に指輪をはめる。
これでソロでやるには最低限の装備にはなったかな?
武器
ブロンズソード
武具
皮の鎧 シューズ
装飾品
牙の腕輪 緩和の指輪
無理だったらスキルで補えばいいか。それより早く2階層に行って売るためのドロップアイテムを集めよう。
ボス部屋の奥にある階層を降りて2階層に進み、魔物が1体のいる場所に行く。
グリーンウッド Lv3
グリーンウッドという名前の魔物は木の姿をしていた。
体長は2メートル程あり、真ん中辺りに顔っぽい窪みと腕らしき2本の太い枝も付いていた。
1番上と枝の先端には葉っぱが生い茂っていて、後ろから見たらまんま木に見える。
「今回は久し振りに剣で戦ってみるか【バイセクト】」
このダンジョンでは今までスライムしか出てこなかったから、剣はほとんど使ってなかった。
だが今回は木だから物理耐性は持ってないはずなので、STRを上げるスキルを使い、剣を抜く。
「たあぁぁ!」
俺はグリーンウッドに向かって走り、斬り掛かってからしゃがむ。
これなら枝も当たらない。と思っていたがグリーンウッドは枝を下から振り上げてきた。
「ぶはっ」
枝がモロに顔面に当たり軽く後ろに飛ばされる。
「いって~~。緩和の指輪があっても顔は痛いわ」
一見枝の先端は葉っぱで覆われていてボクシンググローブっぽいが、その下はそのまま枝なので普通に痛かった。
クッソ! 枝が自由に動くなんてありかよ! しかも根を張ってないのか、グリーンウッドはこっちに近づいてくるし。
「この野郎、切り刻んでやる」
実際にはダメージを与えることはできるが、切ることはできない。そこは気分である。
剣を握り直しグリーンウッドに連続で斬り掛かる。
4回目の所で空振った。別に避けられた訳ではなく、ただグリーンウッドが途中で倒れて煙になったからだ。
ちっ、もう少し八つ当たりをしたかったけど倒せたからいいか。
今回はドロップしなかったので、また1体の所を狙って進む。