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初戦闘

*04初先頭


遠吠えが近付くにつれ、周囲の緊張感が高まってくるのがわかる。


戦闘って俺たちにできるのか。


戦い方なんて知らない。


まして喧嘩もまともにしたことがない僕なんかは、スライムでなくなって無能であることに違いない。


目をギラギラさせている青山たちの気がしれない。


この非常事態にワクワクしているようにも見える。


平凡な日常に、何か特別なことを望む気持ちはわかるが、実際にそれに直面した時に腰が引けてしまうのが僕が平凡たるゆえんなのかもしれない。


たしかに、あの集団にゴブリンの居場所はないだろうと思ったい。


騒々しくなる中、委員長が声を上げた。


「戦えるものが前に出よう」


「他の人たちはその後ろに並んで」


「よくわからない状態なんだ。なるべく集団でいよう」


なんで、よくわからないから集団でいようになるかは知らないが、守ってくれるというのなら守られよう。


戦うなんてまっぴらごめんだ。


委員長は生徒会メンバーでグループを形成しているらしい。


いつものようにクラスをまとめようと尽力してくれようとしているらしい。


それが正しい行動なのかはわからないが、頼りになりそうな雰囲気はある。


スライムよりは有能なことは確かだから、頼れるだけ頼っておこう。


僕と芦原はこそこそと委員長たちの後ろに続いた。


委員長たちよりも先行しているグループがある。


青山たちだ。


遠吠えがやんで、かわりに青山たちの雄たけびとオオカミのうめき声が聞こえる。


戦闘がはじまっている。


奥の方で戦っているらしく、ここからでは様子はうかがえない。


身体が震える。


恐怖している、自分の命の危機に。


頑張れ、青山。


頑張れ、委員長。


お前たちが頼りだ。


祈りが通じたのか、善戦しているようだ。


狼たちの悲痛な叫び声が続いている。


喧騒に身を縮ませる女子たちにまぎれて僕と芦原も小さくなる。


この集団の先頭に立つ、委員長の背中が大きく見える。


ワォーン


オオカミが鳴き声と共にこちらに駆けてくる。


「一匹そっちにいったぞ!」


青山が叫ぶ。


守られている面々の顔が青くなる。


大丈夫か?


不安を察してか、委員長が顔だけ振り返ってそんな疑問に答えてくれる。


「大丈夫だ。君たちは僕が守る」


委員長の眼鏡がキラリとひかり、後光が差すようだと思っていたら、


ホントに後光が差していた。


委員長から発せられる光が俺たちを包んでいく。


周囲の人間たちに光が留まる。


「この光は敵の攻撃を防ぐ役割があるらしい。」


「君たちに攻撃がいくことはないと思うが、保険だと思ってくれ。」


委員長、頼りになる。


けれど、俺と芦原には留まらない。


どういうことだ。


芦原も同じように首をかしげている。


「すまん、男には効果がないようだ。」


ひどい男女差別だ。


「それと言いづらいのだが、非処女には効果が薄いらしい。」


これもひどい差別だ。


そういえば、人によって光の留まる具合が違うようだ。


「光が薄いやつが非処女か」


芦原の不用意な発言により、女子による冷たい視線がこちらにつきささる。


「ちょっと男子、目つむってなさいよ。」


こんな非常事態になんてこといいだんすんだと思ったら、三原だった。


三原の光は薄かった。


僕はなるべく女子のほうを見ずにする。


芦原が押しやられるように前に出されてしまう。


この集団で一番、戦闘に近い位置だ。


芦原とともに、僕もそこに追いやられてしまった。


保身のために人を売る姿に、オオカミたち以上の恐怖を僕は覚えた。


委員長のそばまできてしまった。


眼前に血なまぐさい戦闘シーン。


オオカミの横っ面を殴りつける生徒会男子、名前は知らない。


戦えているようだ。


余裕も見えるような気がする。


オオカミは生徒会男子たちによってふるぼっこにされていた。

 

撲殺だ。


なぐり殺している。


切り傷がついたのであろう腕を生徒会女子が治癒している。


おいおい便利だな。


うらやましい能力だ。


僕にもあれに近い特殊能力があるのだろうか。


見た感じ委員長チームあらため、生徒会メンバーの能力はこんな感じだ。


委員長、生徒会長、シールド等の補助、指揮。


会計と書記の双子の女子は回復。


副会長と庶務が筋肉。


筋肉である。


撲殺担当だ。


生徒会メンバーの戦闘は多対一の立ち回りですんでいたので安心して守られることができた。


奥から聞こえてくる喧騒が聞こえないと思っていたら暗闇からゆっくり青山たちの姿があらわれてきた。


王者の帰還。


そんな雰囲気すらあった。


口元にべっとり付いた血を拭いながら現れた青山の姿に、一部の生徒の目はうっとりしていた。


また、一部の生徒はおそらく恐怖を感じていた。


かくいう僕もそうである。


治癒がつかえる人たちがキズを負った人たちを治療している中、これからの方針が集団のトップたちで話し合われている。


委員長は全員で行動する。


青山はグループで行動する。


おおざっぱにいえばこんな感じだ。


青山はグループで行動したいというよりかはこの集団から抜けたいのだろう。足手まといはいらないといった具合だ。


けれど、それは難しいだろう。


青山のグループには回復役がいないのだから。


おそらく、そういった関係もあって首脳会談は膠着していのだが、一部の女子がそこに割って入っていった。


治療作業を終えた三原だ。


彼女が青山のグループとの同行を申し出た。


委員長では自分たちの身を守りきれるか不安だと。


確かに、彼の能力では彼女たちを強い光で守ることは難しいかもしれない。


なにせ、彼の能力は処女にしか効力を十分に発揮しないらしいので。


自分たちの保身のためには確かにそれもありなんだろうが、前線で戦うものが抜けた場合、残りのメンバーではたして魔物相手に戦いきれるのか。


多対一での戦闘で傷を負う人間たちが、多対多での戦闘をまともに行えるか。


話し合いは平行線かと思われたが、結論が出された。


青山たちは抜ける。


彼らはもともと道徳心が薄い、それとも思慮が浅いだけか。


彼らが抜けたあとの僕たちには責任を持つ気はないらしい。


そんな責任があるのかも疑問だが、彼らが抜けると苦しいのは確かだろう。


芦原が青山になにか話しかけていたが、最後は青山がいい笑顔で去っていった。


「お前も頑張れよ、だってさ。」


「あいつを馬鹿だとは思っていたが、ここまで馬鹿とは。」


「俺らを見捨てるのかっていっても聞きやしねぇ。」


「お前らも戦えばいいじゃないかといってきた。」


そんなことできるわけがない。


僕はスライムで芦原はゴブリン、始まりの村を出てすぐエンカウントできそうなモンスターに戦いを強要しないでほしい。


「絶望だ。」


「どうする長谷部、俺たちどうしたらいいんだ。」


芦原の落胆も最もだと思った。


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