青山とその後
また、話が進まない病が……
かつ、量が少ないので重ね重ね申し訳ない。
どのくらいの分量が適正か計りかねておりますが、毎日更新するには私にはこれが限界です。
*14青山とのその後
「ありがとう。本当に助かった。」
傷ついたメンバーの治療が終わり、一息つくことができた頃、青山が自分の集団から前に出てきてこちらに深々と頭を下げた。
「まぁ、気にすんな。持ちつ持たれつってやつだ。」
どこらへんを青山たちが持ってくれているのか僕には理解しえないが、男同志だから通じ合えるみたいな空気を発している。
「なぁ、そうだろ、長谷部」と僕に賛同を求めるような視線を送ってくるが、冗談ではない。
僕ははっきり言ってそいつもその後ろにいる奴らも嫌いだ。
一度、こちらを見捨てた相手を僕は簡単に許すことはできない。
はっきりと嫌悪感を示そうと、芦原をみやると、僕より前に後藤田さんがおそらく僕よりも強烈に芦原に対して不満をぶつけていた。
鋭い眼光は『死ね』という呪詛がこもられたかのようだった。
僕と後藤田さんの態度から何かを察したのかトボトボと芦原がこちらに帰ってくる。
「ねぇ、芦原君。あの守られていた子たちの顔が見える?」
「ん。ああ。視力もあがってるみたいで、表情までばっちり見えるぜ。」
「なら、よかったわ。」
「でも、不思議ね。それなのに、あなたはまだあの子たちと一緒にいたいの?」
「見えているのに気づいていないのかしら。」
そういわれて芦原はまだ何を言われているのかはっきりとわかっていないようだ。
かくいう僕もわからない。
僕の視力は上がっているわけではないので、細かい表情まではとらえきれない。
おぼろげに見えるおびえるその表情に見覚えがあった。
「あの子たちが私たちを見る目はモンスターを見る時と一緒よ。」
そう言われて気づく。
驚きと恐怖とおびえ、転生直後に襲ってくるオオカミたちを見ていたあの顔がそのままそこに並んでいた。
僕たちと青山の集団の間には大きな距離がひらいている。
それがそのまま心の距離を示しているのだと思った。
襲われても逃げ延びることができるように開かれた距離かと思いついた時、そんなことはないだろうと思ったが、それでも沸いた怒りは収まらなった。
「休憩は終わりだ。先に進もう。」
「それでいいか、芦原?」
同行することが当然のように出発の合図を出す青山に、芦原は言葉につまる。
僕や後藤田さんが青山たちを良く思ってはいないというのを理解しているようで、芦原は返事に困っている。
僕を見つめる目が痛い。
「わたしは嫌よ。」
後藤田さんの声が冷たく響いた。
僕たちが青山に同行することを拒む声があちらに届いたのか、遠巻きにこちらを見ていた目線の色がかわった、こちらを怯えるような眼差しから、こちらをすがるような眼差しに。
その姿が、僕をはっきりと苛立たせた。
利があると彼らについていき、僕たちを見捨てた奴らが、守られて当然だという顔でこちらを見ている。
腹が立つ。
「僕も嫌だ。」
さっきは助けたいとも、助けなければとも思っていたけれど、助けられて当然だと思っているやつらの面倒なんて僕はみたくない。
この気持ちをきっと青山は理解しているだろう。
なんせ、彼らが初期の集団から抜けていったのは足を引っ張る存在を煩わしく思ってのことだったろうから。
スッと後藤田さんが、前に出て、そのまま洞窟の奥に進んでいく。
僕はあわててその後を追う。
芦原は名残惜しそうに僕に続く。
青山たちは断られるなんて想像してなかったのか立ち尽くしたままだ。
数歩進むごとに振り返る芦原に、後藤田さんはつぶやいた。
「そんなにあの人たちが心配なら、この蛍たちを追うようにして進むように言ってきてあげたら?」
「いままで通り、殲滅しながら進んでいくから彼らが襲われるようなことはないでしょう。」
芦原の心配そうな顔がパァっと華やいだ。
「そうしてくる。」
「ちょっと待っててくれ」
「いえ、待たないわ。面倒くさいもの。」
「わかった。急いでいってくるから、見失わない程度の速度で頼むな!」
後藤田さんは返事はしなかったが、歩く速度を少しだけ下げた。
彼女の優しさが幼虫以外にも向けられることがあるのだと驚いていた。
「いま、失礼なこと考えなかった?」
「そんなこと考えてないよ」
他人の優しさを目の前にして、僕の怒りはいくらか休まった気がした。
「閑話 青山とその後」でした。
次回は書ければいいなと思っていた別の人間視点(青山)の話になります。
同じ話を蒸し返してまた話が進んでいない気がしないでもないですが、けっこう楽しんで書き上げれました。
閑話ということで、今日すぐ投稿しようかと思っています。
今後ともよろしくお願いします。




