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国語力でテッペンとれ!  作者: 霧ヶ原 悠
第四章  ものども刮目せよ! 国語力とはこういうものだっ!
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 高校生活が始まって最初のイベントと言えば。

 『遠足ですよねー!』

 ネムとアヤナとハレの声が揃った。大型バスの前で、くるくると手を取り合って踊っている。

 よく晴れた初夏の日。第三国語力行使者養成所下級部一年生は遠足に出かけていた。

 「盛り上がってるとこ悪いけどさあ……」

 バスのステップに足をかけたマツリが振り返って言った。

 「これ、どこに行くかあたしら知らされてないじゃん。変なとこだったらーとか思わないの?」

 ピタッと動きを止める三人。落ち込むかと思えばそんなはずもなく。

 『行き先未定のミステリーツアー!』

 と、喜ぶ始末だ。そしてまた踊り出す。もはやマツリは何も言わないことにした。

 「あっそ……」

 「けどさ、『未定』じゃなくて『不明』だよね。『未定』じゃ困る」

 「ぶはっ! たしかに、言えてる」

 脱力したマツリの隣で、アサトがそう言ってのどを鳴らした。思わずマツリも吹き出してしまう。まったくもって、アサトの言う通りだ。


 流れていく窓の外を、ハレは目を爛々と輝かせて見つめていた。

 「ねえねえ、マツリちゃん! これどこに行くと思う? 海かな? 山かな? ツカサ君たちのときは、バーベキューをしたんだって。ボクたちもバーベキューしたいよねー」

 「どうかねー。この学校のことだから、動物の言葉を学びましょうっていって、動物園や水族館に行ってもおかしくないかもよ」

 「あ、それいい! ネコちゃんとかと話せるようになりたい!」

 「もしくは、感性を鍛えましょうってことで、音楽鑑賞会か美術館見学か……」

 「音楽鑑賞は、座る場所が悪いと眠くなるからな〜」

 「そんなに変わる? どこなら寝ないのよ」

 「うん。一番前のど真ん中で、音を全身に浴びれるところじゃないとダメ……ん?」

 軽快に走るバスの窓の景色は、一瞬で移り変わっていく。その中で、ハレはある一軒の店の看板を捉えた。

 「ああーーーー!」

 「うわっ、びっくりした!」

 「今の! 今のお店見た!?」

 「え? どれよ」

 「もう過ぎちゃったよー! カフェ&バー『ジャポニカ』の一号店!」

 『うそっ!?』

 ハレの大声はバス内の隅々まで行き渡り、クラスメートたちは一気にわきたち各々窓にへばりついた。

 「ちょ! 今の国語力タレントの写真館じゃん! 超行きたいんだけど!」

 「おい! あれ! あの城みたいなのって国語力歴史博物館じゃね!?」

 「あっ! 国際国語力交流センター本部見えた!」

 めざとく色んな建物を見つけるクラスメートたちだったが、それらは全て国語力を学ぶ人間にとってはよく知られた場所だ。中でも『ジャポニカ』は、国語力のよさを活かしたサービスを行う新しいタイプの店で、様々なところから注目を集める店だった。

 (『ジャポニカ』一号店がある大通りを北上……。立体交差の下を抜けて……右へカーブすれば……!)

 そんな店が建ち並ぶ中で、ハレの胸を大きく高鳴らせていたものは……

 「キタコレ国語力学生競技大会会場ーー!」

 ビル群を抜けて、巨大な銀色に輝くドームがバスのフロントガラスに映った。

 「くぉら立つなっ!」

 バスの座席からひとつ飛び出したハレの体は、一瞬のうちにマツリの手で鎮められたのだった。まるでギャグのような一幕だったと、一番前からバス内の様子をうかがっていたハルカは後にそう語った。



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